製薬会社や医療機器企業からの主要医学雑誌査読者へのお金の流れ

医療でエビデンスと言えば、論文が医学雑誌の投稿されて、査読というプロセスを経て、ちゃんとした内容であるとお墨付きをもらって出版されたものだと思われています。

でも、世の中はお金です。査読を行う査読者にも大金が流れていてもおかしくありません。研究を行う人にももちろんお金が渡りますが、その内容を精査する人にもお金が流れれば、誰にとって都合の良い論文ができるか、小学生でもわかります。

論文の著者に対して利益相反方針を定めている一方で、査読者にまでこの方針を適用している医学雑誌は少ないのではないでしょうか?一流の医学雑誌の査読者は、その学術的専門性が高く要求されるために、その業界とのつながりが強い人が多いと思われます。

今回の研究では、BMJ誌、JAMA誌、Lancet誌、New England Journal of Medicine誌(NEJM誌)の査読者を、各誌の2022年査読者リストを用いて特定しました。これらの雑誌は、インパクトファクターが高く、いわゆる一流誌で、医学研究の主要な出版物としての評判が高いものです。

オープンペイメントデータベースから、2020年から2022年の間に特定された査読者への一般的な支払いと研究費の支払いを抽出し、医薬品・医療機器の企業からアメリカで認可を受けた医師への支払いを調べました。 研究費の支払いには、医師個人への支払いと、医師が研究責任者を務める研究機関への支払いが含まれます。 研究機関への支払いは研究責任者の数で割りました。

重複を含む7021人の査読者名のうち、検索できなかった332人、アメリカ以外の査読者3257人、非医師1325人を除外しました。この結果、1962人の査読者が残り、このうち145人(7.4%)が2誌以上の雑誌で査読を行っていました。(図は原文より)

上の図はお金の支払いの詳細です。2020年から2022年の間に、1155人の査読者(58.9%)が少なくとも1件の業界から、何らかの支払いを受けていました。 半数以上(54.0%)の査読者が一般的な支払い(一般的というのが何を指すのか?というのは恐らく研究費以外ということでしょう)を受け、31.8%が研究費の支払いを受けました。

査読者は2020年から2022年にかけて、10億6,000万ドルの業界からの支払いを受けており、その内訳は個人またはその所属機関への支払いが10億ドル(94.0%)(1500億円くらい?)、一般的な支払いが6,418万ドル(6.0%)(100億円弱かな?)でした。継続的医学教育プログラムとは無関係のコンサルティング料が3431万ドル、講演料が1180万ドルでした。 3年間で、一般的な報酬を受け取った査読者のうち、その中央値は7614ドル(114万円くらい?)、研究報酬の中央値は153,173ドル(2300万円くらい?)でした。

上の図のように、男性査読者は女性査読者に比べ、総支給額中央値(38959ドル対19586ドル)、一般支払額中央値(8663ドル対4183ドル)が有意に高くなりました。専門分野間でも統計的に有意な差があり、外科は少ないようです。

研究に対する⽀払い、特に機関に提供される研究に対する⽀払いは、利益相反に対する⼀般的な⽀払いとは異なる意味合いを持つ可能性があるかもしれません。でも私は同じだと思います。研究にお金を出すだけで口を出さないわけではないでしょうし、研究機関を企業にとって都合の良い研究、論文出すためのエビデンス製造施設と化すためにお金を出しているはずです。

査読というプロセスは重要ではありますが、そのシステムを悪用しようと思えば、お金で何とでもなるということでしょう。

今回の研究ではアメリカ人の査読者だけです。世界全体を見れば、もっと莫大なお金がマーケティング費として使われています。企業からお金をもらった人がお金をもらった企業の薬などを研究し、論文として雑誌に投稿し、その企業からお金をもらった査読者が内容を精査して、お墨付きを与える。これがエビデンスと言われるものとなるのです。

そして、企業は査読者だけでなく、雑誌社に対する影響も莫大です。雑誌社は企業のお金なしでは運営は難しいでしょう。そうすると、どうして、効きもしない薬、副作用が酷い薬、人を死に至らしめるワクチンなどが、いかに効果があり、いかに安全で、副作用なんて取るに足らないものであるか、というエビデンスがこれほど多いのかがわかります。

エビデンス、エビデンスという専門家には注意が必要でしょう。

アメリカ大統領選まであと少し。トランプさん、ケネディさん、イーロン・マスクさん、はどこまでダークサイドを崩せるのかな?世界を変えられるラストチャンスなのかもしれません。頑張って欲しいですね。その前に暗殺されないように祈ってます。

「Payments by Drug and Medical Device Manufacturers to US Peer Reviewers of Major Medical Journals」

「医薬品・医療機器メーカーによる米国の主要医学雑誌査読者への支払い」(原文はここ

2 thoughts on “製薬会社や医療機器企業からの主要医学雑誌査読者へのお金の流れ

  1. 最高峰の科学賞と看做されている
    ノーベル賞も、やはり利益誘導からは
    自由ではないのでしょうかね?

    イーロン・マスクのような
    一見破天荒、でも誰もが
    大人になると忘れてしまう
    「理想」「夢」「人類の福祉」
    を追求し続けている
    傑物なね、期待してます。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      お金が支配する世界は終わらないでしょうけど、もう少しまともな世界になってほしいです。

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