農林水産省の砂糖の需要拡大情報サイト「ありが糖運動」

前回の記事「「天下糖一プロジェクト」 堂々と大ウソ!時代に逆行過ぎる!」ではJA北海道という企業の砂糖消費拡大・イメージアップに取り組むとんでもないプロジェクトについて書きました。それに対してコメントをいただきました。ありがとうございます。

シミズ先生、こんにちは。

以前にも「ありが糖プロジェクト(?)」みたいなキャンペーンがありましたね。
砂糖業界は必死ですね。
砂糖大好き糖質中毒患者は大喜びですね。

私はこんなCMには惑わされませんが、一般の方は鵜呑みにしてしまうのでしょうね…。

それにしても「砂糖の湯」はなんだかべたつきそうで入りたくないです 笑

コメントにあった「砂糖の湯」というのは、札幌市西区発寒にある「湯屋・サーモン」で2日間限定で行われたシュガーバス(砂糖の湯)というものです。中身はよくわかりませんが、恐らくお湯の中に砂糖を溶かしているのでしょう。

JA北海道中央会のホームページより

それについて、JA北海道のホームページで記事がありました。(その記事はここ)その記事にはこんなことが書かれています。

普段口にする白糖が、天然の保湿剤でもあることをご存知ですか?

お肌の角質を柔らかくし、新陳代謝を促進。傷を治す効能があることから、薬の原料として認められています。そんな白糖のしっとりやさしいスキンケア効果を、「砂糖の湯」でゆったり実感してみてください!!

砂糖って天然の保湿剤なんですか?お肌の角質を柔らかくし、新陳代謝を促進するんですか?傷を治す効能があるの?初めて知りました。ただ根拠は別として、実際にシュガースクラブというスキンケアが存在します。(ここを参照)摂取するわけではないので、皮膚に使っても問題は無いでしょうか。

「薬の原料として認められている」というのはもちろんウソではありませんが、それはあくまで錠剤やシロップ剤のことではないでしょうか?傷を治すことに有効という根拠はあるのでしょうか?ただ、この論文のように傷に砂糖を塗ることが傷の細菌の成長を阻害しているのではないかというものもあります。私が無知なだけかもしれません。他の根拠を知っている人は是非教えてください。夏井先生の湿潤療法でも有効なのでしょうか?まあ、皮膚に砂糖を塗っても血糖値が上がるわけでもなく、インスリンも分泌されないでしょうから、問題は無いと思いますが。

コメントにもう一つ書いてあった「ありが糖プロジェクト」ではなく「ありが糖運動」というものがあります。それは国が行っています。

企業だけでなく国も砂糖の需要拡大を目指しています。(「農林水産省の無理矢理なキャンペーンが笑えない 税金を使って国民を不健康へ導く」参照)

農林水産省は昨年10月からその「ありが糖運動」を行っています。その概要は次のようです。

農林水産省は本日、砂糖の需要拡大を目的に、砂糖に関する総合的な情報サイト「ありが糖運動」を公開しました。
本情報サイトでは、
(1) 関係業界による全国での活動やイベントに関する情報
(2) 砂糖を使用したスイーツ及び生産地に関する情報
(3) 砂糖を用いた甘味文化、和食文化、おみやげ文化等に関する情報
(4) 砂糖の基本的知識や疑問・質問についての解説
(5) 砂糖を上手に使った料理のレシピの紹介
などを掲載し、砂糖関連業界による主体的な取組を応援するとともに、消費者にとって有益な情報を広く紹介し砂糖の需要拡大に繋げてまいりたいと考えております。

国も税金を使って、砂糖の需要拡大に頑張っています。

「桜を見る会」、センター試験の後継である「大学入学共通テスト」問題、「大嘗祭」、そしてこの「ありが糖運動」など、税金は湯水のように使われていますし、国は国民の方を全く向いていません。それが我々国民の本当の幸福や健康につながるのであれば良いのですが、全くそのようにはなっていません。

以前の記事で書いた「みんなのチャレンジにシュガーチャージ」を行っているシュガーチャージ推進協議会は、2年目の活動をしています。その中でも「お砂糖について学ぼう」には「天下糖一プロジェクト」と同じようなウソがいっぱい書かれています。国は農林水産省を通じてこのような砂糖の需要拡大、消費拡大を推進し、厚生労働省を通じて糖質の割合をエネルギー摂取量の50%以上にするように推奨しています。しかし、このような食事の基準を決めるのにあたっての科学的根拠は全く存在しません。そうであるのに病院でも学校でも糖質50%以上の食事を出されます。WHOでさえ砂糖の摂取量を大きく減少させるように提言を行っているにもかかわらず、国は砂糖を「いっぱい摂れ!」と推進しています。スイーツは国がお墨付きを与えているのです。「ありが糖運動」の最初には「大切な人への「ありがとう」をスイーツで」と書かれているのですから。

国のこのような栄養、食事に対する政策が、どれほど多くの人を苦しめ、病気を生み出し、医療費・税金の無駄遣いをしているか考えてほしいものです。

8 thoughts on “農林水産省の砂糖の需要拡大情報サイト「ありが糖運動」

  1. シミズ先生、こんにちは。

    コメントを記事に取り上げていただきありがとうございます。

    夏井先生の『傷はぜったい消毒するな』だったと思いますが、「傷を洗い流す時に使うのはペットボトルのお茶でもいい。ただ、砂糖の入った水分で洗うと痛い」との記述があったように記憶しています。

    痛いと言うことは砂糖には細胞傷害性があるような気がします。
    (砂糖が細胞内の水分を奪うのでしょうか??)

    科学的根拠のない素人考えですが…

    1. ミホさん、コメントありがとうございます。

      傷を砂糖の入った水分で洗うという人体実験は、自分ではやりたくないですね。

  2. 傷は水で洗っても沁みますが、洗い続けていると沁みなくなります。この痛みの原因は浸透圧だと何かで読んだことがあります。洗い続けて浸透圧がなくなれば痛くなくなると言う事です。
    このことから、想像できることは砂糖水で洗っても塩水であらっても痛い事には変わりがないと言う事です。私も砂糖水で洗いたくないのであくまでも想像です。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      記事の中で示した論文には「傷に白いグラニュー糖を塗ると、痛みと悪臭が著しく減少した」と書いています。
      要約だけしか読んでいませんので、詳細は不明です。
      でもやっぱり傷に砂糖を塗る気にはなれません。

  3. いつも知的刺激に満ちた情報のご提供、ありがとうございます。
    先生の、主に糖質制限に関連した文章を読んで色々考える事が日課になっています。

    先日、女優の沢尻エリカさんが、合成麻薬を始めLSDやコカインまで常習していたとの疑いで逮捕されたニュースがありましたが、やはり糖質セイゲニスト(©️江部先生?)としては近未来「精製された砂糖摂取の常習で逮捕⁉︎」などと、妄想してしまいました。

    一緒にしては方々から大変なお叱りを受けそうですが、
    身体に害があることに関しては砂糖も負けてはいないとは思います。
    政府挙げて(税収を見込んで?選挙対策も?)業界を応援、の現状ではありえないでしょうか。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      世の中の大半はいまだに砂糖好きですから、恐らく逮捕はないどしょうけど、
      他国を見習って「砂糖税」の導入ぐらいはする可能性はありますね。
      まだまだ先でしょうけど。

  4. いつも楽しくブログ拝見させて頂いております。
    私の父はある田舎町の個人医院の医療事務をしておりました。そこのドクターが摂りすぎてはいけないものは白米、白糖、MSG、これらは人間にとって良くないと常々患者さんに言ってると父から良く聞きました(もう半世紀も前のことです)根拠となるエビデンスや論拠は無かったのかもしれませんが患者さんの回復具合からそう直感したのかもしれません。父もドクターももう故人ですが今思えば糖質制限のはしりですね。
    清水先生のブログの読者なら知ってる方も多いと思いますが、Netfrixのドキュメンタリー『甘くない砂糖の話』この映画を全国の小中学校の視聴覚教室で絶対取り上げるべきですね。日本の役人の時代錯誤と不勉強は全く犯罪ですね。

    1. 田村 治さん、コメントありがとうございます。

      素晴らしいお父さんですね。そして、その医師も半世紀前にわかっていたんですね。
      私自身は昔は糖質大好き依存症だったので、やっと約10年前に気付いたばかりです。
      「あまくない砂糖の話」は小中学生やその親にとって必見でしょう。
      日本の役人は不勉強で正しいと思っているのではなく、糖質が健康に悪いとわかっていると思います。
      国民の健康より、管轄している業界の利益が優先です。

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