「天下糖一プロジェクト」 堂々と大ウソ!時代に逆行過ぎる!

北海道在住の方は見たことがあるかもしれませんが、最近非常に怪しいテレビのCMを見かけました。俳優を使ったCMだったのですが、その名も「天下糖一プロジェクト」

「国内の原料生産者や製造業者の支援と生産量減少を防止するため、砂糖に関する正しい知識を発信し、砂糖の消費拡大・イメージアップに取り組むプロジェクトです。」

これを発信しているのは、JA北海道です。このまずは下の動画を見てください。



この他にも北海道日本ハムファイターズやレバンガ北海道の選手を使った動画を配信して砂糖のPRしています。

世に流布している間違った噂として、3つのことが掲げてあります。一つ目は「砂糖を食べると太る」というのが間違っているというのです。

「砂糖はご飯やパンと同じ炭水化物で、エネルギーは1gあたり約4kcal。他の食品と比べて、特別高カロリーというわけではありません。体重の増加は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで引き起こされるため、砂糖だけが肥満の原因とは言えません。どんな食品も適切な量を摂取し、適度な運動を心がけることが大切です。」

正しい部分と完全に誤っている部分があります。エネルギー量は確かにごはんやパンのに含まれる糖質の部分では1gあたり4kcalです。しかし、砂糖は100%糖質です。ごはん1gと砂糖1gでは同じエネルギーではありません。砂糖が「だけ」が肥満の原因ではありませんが、砂糖は当然肥満の原因です。また、いまだに肥満をカロリーで説明しようとしています。時代逆行もひどすぎです。

2つ目は「砂糖を摂りすぎると糖尿病になる」というのが間違っていると言っています。砂糖の摂取は直接的な原因ではないと言っていますが、砂糖の摂取は最も大きな直接的原因の一つです。上の動画の中で、WHOが砂糖の摂りすぎることは糖尿病になることは間違いである証明、と言っていますが、大ウソです!

WHOは肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防するため、糖分入りの清涼飲料水への課税を呼びかけています。さらに、単糖(ブドウ糖、フルクトース)、二糖(ショ糖、砂糖)の摂取目標を、成人・小児が1日に摂取する総カロリーのうち5%未満にするようにガイドラインを発表しています。1日5%未満という摂取目標を砂糖に換算すると約25グラムで、小さじ6杯分です。

3つ目は「砂糖は漂白している」というものですが、これはどうでもいいです。

その他に「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という、昭和な知識をいまだに堂々と書いています。

そして、上の動画の中身でさらに問題の内容があります。動画ではなんと「脳の老化防止には砂糖が効果的である」と言っているのです!根拠は?JA大丈夫でしょうか?「高齢者は一度の食事で摂取できるエネルギー量が減る」ので「低血糖やそれによる意識障害で脳の老化を引き起こす」と説明しているのです。そして、食事の合間に甘いものを摂ることで脳にブドウ糖を送りこのようなことを防ぐことができる、というのです。

動画にはさらに、子供たちにも食事の合間に砂糖を使った甘いおやつを摂ることが「重要」とまで言っているのです。恐ろしい内容です。

JA北海道は砂糖の原料となる「てん菜」を作る農家を守ることが必要なのかもしれません。しかし、その目的のために、全く根拠がないばかりか、明らかに間違った大ウソの知識をテレビのCMまで使って広げようとしています。

恐ろしい企業です。すぐにこのプロジェクトを中止していただきたいものです。

10 thoughts on “「天下糖一プロジェクト」 堂々と大ウソ!時代に逆行過ぎる!

  1. 本当に酷すぎますね。どんな産業も時代の流れの中で衰退して行くのは仕方ない事だと思いますが(石炭産業、養蚕業、タバコ産業もしかり)年々落ち込んで行く砂糖の消費量に危機感を持ったJA北海道のやぶれかぶれの無茶振りでしょう。今の消費者はそこまで馬鹿でも無知でも無いと信じています。JA北海道の討死は必至でしょうね。

    1. 田村 治さん、コメントありがとうございます。

      本来であれば、消費の変化に応じて供給側も変化しなければならないのですが、JA北海道にはそのような考えがないようですね?
      それにしてもここまでウソを並べて罪悪感はないのでしょかね?
      JAは全国に100以上の病院を持ち、ベッド数も30,000以上あるのです。砂糖消費増→患者増を狙っているのでしょうかね?

  2. 私は認知症介護を仕事にしています。

    認知症になってもその人らしい生活を、とは言いますが、認知症になるとそもそも普通の生活は成り立ちません。
    介護費用も莫大です。

    原因はもちろん様々ですが、アルツハイマーは、脳の糖尿病とも言われている事を考えると、砂糖の摂取を推奨するもっともらしいキャンペーンは、先生もおっしゃる様に、犯罪的だと思います。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      アルツハイマー病が3型糖尿病という認識を持っている人は少ないでしょうけど、根拠のない間違った情報を伝えることは非常に問題ですね。
      企業は私たちの健康などどうでもいいのでしょう。

  3. シミズ先生、こんにちは。

    以前にも「ありが糖プロジェクト(?)」みたいなキャンペーンがありましたね。
    砂糖業界は必死ですね。
    砂糖大好き糖質中毒患者は大喜びですね。

    私はこんなCMには惑わされませんが、一般の方は鵜呑みにしてしまうのでしょうね…。

    それにしても「砂糖の湯」はなんだかべたつきそうで入りたくないです 笑

    1. ミホさん、コメントありがとうございます。

      「砂糖の湯」もびっくりですね!
      白糖は天然の保湿剤?お肌の角質を柔らかくする?新陳代謝を促進?傷を治す効能?
      驚きの連続です。是非その根拠を見てみたいですね。

  4. いまどき、ここまでひどいのは珍しいですね。

    この動画では、
    (1)肥満の原因への擁護では、「砂糖もご飯やパンもも1gは4kcal」
    と言っておきながら
    (2)必要性を強調するときは「子供の成長では、1度の食事からとるエネルギー量が限られるから砂糖が必要」
    と言っています。完全に自己矛盾に陥っていますね。エネルギーだけで説明するなら、1gが9kcalの脂肪を食べる方が良いと言うべきでしょう。

    この手の根拠のない情報を流すものを法的に取り締まることは難しいでしょうから、「消費者に迷惑や被害を及ぼすウソや大げさ、誤解をまねく広告をなくし。。。」を理念とする自主規制機関であるJARO(日本広告審査機構)に「大げさで、誤解を招く紛らわしい広告」として告発すればよいのでしょうか。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      動画は何も考えない人が見たら騙される可能性がありますね。
      このような情報は国が関与する活動でも流されているので、取り締まりは当然難しいでしょう。
      国が砂糖の需要拡大を目指しているので、非常に問題です。
      明日の記事で関連したことを書きます。

  5. こんにちは、Twitterで公式アカウントに以下のリプを送りました。

    『拝見しましたが「脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけ」という部分は正確ではないと思います。

    脳のうち思考にかかわるニューロンはケトン体や乳酸をエネルギーとして使用でき、グリア細胞のみがブドウ糖をエネルギーとしています。よろしくお願いします。』

    上記を書きこんだのが11/16ですが、その後公式アカウントが私をフォローしてきたので明らかにお読みになったにも関わらずいまだに返信もなければサイトの記述の修正もありませんね…

    1. よっしーさん、コメントありがとうございます。

      彼らに何を言っても変わらないと思います。利益優先ですから。

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