マラソンの代表選考は明確になりましたが、強化策はさっぱりです。
そんな中、大迫傑選手がボストンマラソンで、初のマラソン挑戦で3位に入りました。彼は3000m及び5000mの日本記録保持者。日本に見切りをつけたのか、ナイキオレゴンプロジェクトに所属しています。このチームは長距離選手を強化する目的でナイキが作りました。同じチームのゲーレン・ラップは2012年ロンドンオリンピック10000mの銀メダル、そして2016年リオオリンピックでは10000m5位、マラソン銅メダルなんです。アフリカ勢が上位のほとんどを占めるマラソンにおいて、白人のアメリカ人がオリンピックのマラソンでは銅メダルを取っています。今回のボストンマラソンでも2位に入っています。
そんなラップと一緒に練習して、いきなり初マラソン3位。しかも気温は20度を超えていました。マラソンとしては厳しい条件です。やはり世界の練習は違うのかもしれません。日本の精神論や、距離重視だけではダメでしょう。もっと科学的な分析をしなければ勝てないと思います。彼の別の記事を読むと、練習で35㎞以上は走ったことがないそうです。「100㎞走れ!」という日本の指導者とは全く考え方が違うのでしょう。
ただ、大迫選手も終盤追い上げでのレースなので、日本的な走りです。ペースの上げ下げやもっと高速のレースになれば全くついていけないかもしれません。それでも初マラソンですから。これから楽しみです。
ちなみにボストンマラソンの記録は公式記録でにはならないそうです。理由はコースが全体的にみると下りになっているからだそうです。ボストンマラソンは、東京マラソンも含まれているアボット・ワールドマラソンメジャーズの中の一つになっているにもかかわらず、記録が公式記録ではないなんて何か不思議な気がしますが。
大迫、終盤追い上げ世界と勝負 ボストン・マラソン3位
2017年4月18日 朝日新聞デジタルより
レースは序盤、2時間3分台の自己記録を持つムタイ(ケニア)、リオ五輪3位のラップ(米)が引っ張った。世界トップクラスの彼らは、細かくペースを上げ下げして揺さぶった。
先頭集団にいた大迫は冷静だった。「いちいち対応する力はまだないので、1キロ3分4秒ぐらいのペースで淡々といこうと思った」。32キロ過ぎで優勝したキルイに離されても、慌てて追わず、リズムは決して乱さない。33キロを過ぎて3番手に上がると、35キロから40キロまでは15分7秒と、その前の5キロより23秒も上げてそのままゴール。「3位はうれしい」と笑顔が絶えなかった。
早大時代は4年連続で箱根駅伝を走った。2015年から米オレゴン州を拠点にプロとして活動する。ロンドン、リオ五輪で5000、1万メートル2冠のファラー(英)やラップとともに、スピードを重視した練習を積んできた。
リオ五輪はトラックの2種目で出たが、2020年東京五輪はマラソンで出場を目指す気持ちが強い。「ひとつの過程としてはよいスタートが切れた」。久々に、世界と勝負できそうなマラソンランナーが誕生した。