前回記事にした洞爺湖マラソン2017ですが、ペース配分を間違えた、という内容を書きました。間違えたというとちょっと違うのですが、これでも行けるのでは?と勘違いしたというのが正しいと思います。
今年の伊達ハーフマラソンの記事で書きましたが、今年はスピードを上げるために1歩の歩幅、ストライドを広げることを目標にしていました。しかし、これには一つ問題がありました。心拍数が上がってしまうのです。伊達ハーフマラソンでも途中から心拍数が170を超えました。ハーフなので大丈夫でしたが、フルマラソンではこの170以上の心拍数で走り切れるのか?ということが大問題だったのです。
ランナーにとって心拍数は重要です。最大心拍数は測定がなかなか難しいので、測定できない場合は通常、206.9-(0.67×年齢)または220-年齢で計算します。
目的 | 最大心拍数に対する% | VDOTとの関係 | 運動強度 | |||
瞬発力・運動能力向上 | 90~100% | インターバルペース(97~100%) レペティションペース(99%~) | スレッシュホールドペース(82~88%)
| ゾーン5 | 最大強度 | 最大 |
筋力・基礎代謝量向上 | 80~89% | マラソンレースペース〈80~85%) | ゾーン4 | 無酸素 | きつい | |
持久力・有酸素運動能力向上 | 70~79% | 60~79%がイージー/ロングペース(最も練習に重要) | ゾーン3 | 有酸素 | ふつう | |
脂肪燃焼・体重減量 | 60~69% | ゾーン2 | 脂肪燃焼 | 軽い | ||
ウォーミングアップ・運動不足解消 | 50~59% | ゾーン1 | ウォーミングアップ | 非常に軽い |
表は最大心拍数の50%以上から、最大心拍数までをゾーンとして5段階に分けたものです。
また、ジャック・ダニエル氏が提唱するVDOTという指標があります。Wikipediaからそのトレーニング内容を抜粋すると、
イージー/ロング(E / L)ペース
最大心拍数の60〜79 %で、ウォームアップ、クールダウンおよびロングランに使用されます。主な目的は、心機能を強化し、筋肉の酸素使用能力を高め、激しい運動の間に回復することにより、より激しいトレーニングのための基盤を構築することです。ダニエル氏は、ほとんどのトレーニングはこのEペースで実行することを推奨しています。
マラソン(M)ペース
最大心拍数の80~85%では、この強度は主にマラソンランナーのトレーニングを目的としています。ペースは、レースペースです。ランナーが疲れを感じておらず、後で回復するのに十分な時間がある場合は、Mペースをより強いトレーニングに含めることができます。
Mランは約2時間まで連続して実行されるか、または長いインターバルトレーニングとして実行されます。
スレッシュホールド(閾値)(T)ペース
最大心拍数の82~88%、この強度は乳酸値の閾値を上げることを目的としています。ランナーは、レース中にこのペースを60分まで維持することができます。ダニエル氏はこの強さを「快適だがきつい」と表現しています。エリートランナーの場合、Tペースはハーフマラソンのペースと一致し、いわゆる市民ランナーは10km走のペースです。ダニエル氏は、このペースでのトレーニングの恩恵を受けるには、一定のペースを維持することが重要だとしています。
Tランは、典型的には、20分以上の連続的な「テンポ」ランとして、またはその間に20%-25%の休憩間隔をとりながら、それぞれ約3〜15分で3〜10回のインターバルトレーニングとして行われます。20分以上のTランは少しだけペースを落として行うことができます。
1週間の走行距離の10%以上をTペースで走るべきではありません。
インターバル(I)ペース
最大心拍数97~100%の強度。この強度は、最大酸素摂取能力であるVO2maxを向上させるためのペースです。このペースは非常に激しいので、レース中は最大12分間しか持続できません。文字通りインターバルのトレーニングです。各ランのインターバルの間隔は、実際に走っている時間よりも少し短くする必要があります。最適な間隔は3〜5分です。ダニエルズの理論の下で、このペースで5分以上走ることによる利益はありません。
Iペースは1週間の走行距離の8%以内にすべきです。
レペティション(反復)(R)ペース
Rペースは、スピードとランニングエコノミーを向上させることを目的とした非常に速いペースのトレーニングです。典型的には200m~400mのランとその間に完全な回復のための間隔を置いてのトレーニングです。
Rペースは1週間の走行距離の5%以内でなければなりません。
ゾーン3(70~79%)は持久力を向上させるため、練習に最適なペースであり、VDOTのダニエル氏もほとんどのトレーニングはこのペースですることを推奨しています。トレーニングしているランナーにとってはゾーン4(80~89%)がフルマラソンのレースペースとして最適だと言われています。ダニエル氏の理論で言えば80~85%程度がフルマラソンのレースペースです。
そこで今回の私のフルマラソン時の心拍数を見てみましょう。
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16キロから心拍数は170を超えています。そして徐々に増加し、34キロではとうとう180に達してしまいます。そして足が止まったのです。
年齢から求めた最大心拍数は173.4または170です。今回のレースでの最大値は190を一度超えていますが、その時の心拍数のブレ幅が非常に大きいので、これは誤った数値の可能性が高いと思います。29キロから34キロまでの最大の心拍数は180以上になっているので、恐らくはその中でも一番大きな数字である189が私の最大心拍数ではないかと考えます。計算式とはかなりの差があります。これは個人差が大きいものだと思うので、189を基本で考えると、
189の90%は170、85%は160、80%は151です。つまり私のマラソンペースは151~170未満(ダニエル氏の理論では151~160)であるべきなのです。そして心拍数180というのは最大心拍数の95%を超えています。Tペースも超えてしまっていますので、非常にオーバーペースです。Tペースは82~88%なので、私の心拍数が155~166であっても1時間程度しか持たないようなペースですが、6km過ぎにはこのTペースを上回る心拍数になっています。
こんなペースでは耐えられるはずがなかったのです。はっきり言って無謀なのです。
そうすると、私は今のままでは当然サブ3.5はかなり厳しい、とわかります。がっくり。
次回はその無謀なオーバーペースの結果、フリースタイルリブレはどのような反応を示していたのかを書きます。乞うご期待!