フェリチン高値とインスリン抵抗性 その2

先日の記事で、フェリチン高値とインスリン抵抗性に関する研究を取り上げたつもりでしたが、いまいち、インスリン抵抗性の部分がクローズアップされていなかったかもと思い、今回は別の研究を取り上げます。

「Ferritin and transferrin are both predictive of the onset of hyperglycemia in men and women over 3 years: the data from an epidemiological study on the Insulin Resistance Syndrome (DESIR) study.」

「フェリチンおよびトランスフェリンは、3年間にわたる男性および女性の高血糖発症の予測因子である:インスリン抵抗性症候群(DESIR)研究に関する疫学的研究からのデータ。」(原文はここ

要約

目的:本研究の目的は、男性および女性の集団において、フェリチンおよびトランスフェリンがグルコース代謝に関連するかどうか、およびそれらが3年後に高血糖の発症を予測しているか否か(空腹時血糖障害または2型糖尿病)を判定することであった。

研究デザインと方法:インスリン抵抗性症候群(DESIR)コホートに関する疫学研究のフランスのデータからの4,501人の被験者のうち、ベースライン時および3年後の鉄バイオマーカーの分析のために1,277人の被験者(男性644人および女性633人)がランダムに選択された。さらに、これらのパラメータが病理学的変化に関連しているかどうかを判断するために、ベースライン時には正常血糖値で3年後に高血糖症になった患者231人の鉄バイオマーカーについて分析した。

結果:ベースライン時に、1,277人の被験者で、血漿フェリチン濃度は、空腹時インスリンおよび空腹時血糖と正の相関を示した。トランスフェリンとフェリチンとの間には負の相関があったが、トランスフェリンも空腹時インスリンと正の相関があった。ベースラインのフェリチン濃度は、3年間にわたるインスリン濃度の増加の独立した予測因子であった(P = 0.002)。さらに、ベースラインのフェリチンおよびトランスフェリンは、全集団そして男女両方において3年間にわたって高血糖の発症と独立して関連していた。(両方ともP <0.001)。

結論:負の相関関係はあるものの、トランスフェリンとフェリチンの両方が、前向き研究においてグルコース代謝異常の発症と正の関連があった。これらの結果はさらに、インスリン抵抗性および2型糖尿病の発症において、鉄代謝が原因となる仮説を支持する。

(図は原文より)

図を見ると、空腹時高血糖や糖尿病発症のオッズ比(起こりやすさ)はフェリチン、トランスフェリンともに高くなっています。ただ、高血糖を来さなかった通常の血糖値の人と、空腹時高血糖の人、2型糖尿病を発症した人のそれぞれのフェリチン値(μg/lで表していますが、これは日本の単位ng/mlと全く同じです。)を見てみると

通常血糖値空腹時高血糖2型糖尿病
男性169 (109–264)209 (138–307)270 (171–442)
女性49 (29–88)97 (47–164)67 (34–111)

ちなみにフェリチンの基準値(単位:ng/ml)は
男性:20~280
女性:5~157
であり、そこに納まっています。(基準値に意味がないかもしれません。)

男女差がかなりあります。またもちろん個人差も大きいです。しかし、前回の記事にも書いたように、女性がフェリチン値を低く保っている(?)ことにより、女性の体を守っている可能性があります。

女性のフェリチン値は50を超えないようにした方が良いのかもしれません。男性も若いアスリートでない限りあまり高くない方が良いかもしれません。もちろん、鉄欠乏の症状が何かあったり、はっきりしない症状がある場合はフェリチン値を上げてみることも必要な場合があるでしょう。しかし、闇雲に上げれば良いってもんじゃなさそうです。気を付けましょう。

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