サロマ湖100kmウルトラマラソン分析 その3 先行研究との比較

サロマ湖のウルトラマラソンで持続的にグルコース値(血糖値)を測定しながら走ったのは、もちろん私が初めてではなく、論文になっています。(原文はここ

今回はその先行研究と比較をしてみたいと思います。まずは今回の私のラップタイムとグルコース値(血糖値)のグラフです。

 

 

 

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ご覧のように、前回の洞爺湖マラソンと比べると急激なグルコース値(血糖値)の変動は少なく、安定しています。最低値は70台なのでそれほど変わりませんが、洞爺湖マラソンのグルコース値(血糖値)の低下の仕方は非常に急で、それに体がついていかなかったのだと思いますが、今回は前半90台、後半80~70台です。洞爺湖マラソンと違い、グルコース値(血糖値)とスピードの低下はリンクしていません。(ちなみに今回のフリースタイルリブレのグルコース値(血糖値)簡易式血糖測定器の値よりも低めに出ています。)

先行研究のグラフと重ね合わせてみたのが次のグラフです。

 

 

 

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黒いグラフが、先行研究で、色のついたものが私のデータです。時間は大体で合わせているので少しずれています。エネルギー摂取は細かい果物を食べたのは省略しています。

先行研究のランナーは、十分なトレーニングを積んだ市民ランナーで、年齢30歳、身長170cm 、体重60.3kg、体脂肪率8.8% )

5年間の走歴を有し, 100㎞マラソンの参加経験はなかったものの過去に9回フルマラソンを完走した経験を有していました(最高記録 2時間44分58秒)

レースまで半年間の平均トレーニング量は66.9km/週でした。

ちなみに私は十分かどうかはわかりませんがトレーニングを積んだ市民ランナーで、年齢50歳、身長162cm、体重54kg、体脂肪はタニタの体重計で12%前後です。(アスリートモードでは一桁ですが)

トレーニング量は60km/週前後です。

6年ぐらいの走歴かな?100km3回目、フルは10回くらいかな?最高記録は3時間35分です。

先行研究で使った装置はメドトロニック社の古いタイプのもので、私のフリースタイルリブレとは違いますが、持続的に血糖値を測定するものです。1日4回の補正が必要で、72時間しか連続測定できません。フリースタイルリブレは14日間連続測定で、補正は必要なしです。非常に楽です。

先行研究のランナーは65kmから急激にスピードが落ち、90km以降で持ち直しています。体重が3.3kg減少したそうです。

そして、80km地点、ワッカの入り口でセンサーが脱落!というハプニングが起きました。

私のフリースタイルリブレは12時間以上のレースの後もしっかりくっ付いていて、そのまま作動し続けています。フルマラソンでも問題なく、ウルトラマラソンも耐え抜くフリースタイルリブレの粘着力は凄いですね!

先行研究ではカーボローディングを意識して、1日の炭水化物量が500gを超える日もあります。(恐ろしい!)

レース前のエネルギー摂取量は530kcal(タンパク質12g、脂肪11g、炭水化物119g )でした。

レース中に消費したエネルギーの推定値は7955kcal(炭水化物1567g、脂肪219g)でした。(これはどのように計算するのか知りません)

レース中に補給したのは1209kcal(炭水化物275g、脂肪8g)でした。

ちなみに私はカーボローディングは一切しませんでした。レース前もいつものように糖質制限なので1日量の炭水化物量は60g前後でしょう。レース前のエネルギー摂取量は821kcal(タンパク質35.54g、脂質73.6g、炭水化物3.08g)で、かなりの違いがあります。

レース中に消費したエネルギーの推定値は私なりの計算では6363kcal(炭水化物159g、脂肪636.3g)です。何と炭水化物で先行研究の10分の1、脂肪は3倍です!

レース中に補給したのは335.25kcal(炭水化物82.67g、脂質0.99g)で先行研究の3分の1程度。

 

先行研究では60kmから急激に血糖値が低下してスピードが落ちています。60kmと言えば、レストステーションのすぐ後です。55kmで434gという大量の水分を摂取していることを考えると、恐らく54.5kmのレストステーションでスポーツドリンクを1本分ほど一気飲みしたのではないでしょうか?そして、レストステーションでは恐らくデータを取るために多少の時間の休息があったと思われます。そうすると休息時に液体の糖質が大量に入り、インスリンが分泌されてしまい、急激にそのあと血糖値が低下してしまったと考えられます。

考察では65kmや70kmのエネルギー摂取量が少なく、エネルギー枯渇が起きたと考えていますが、私は上記のように、悪いタイミングでの悪いエネルギー摂取により、インスリン分泌が起き、血糖値が低下、そしてパフォーマンスが低下したと思います。

そして、先行研究で必要とした炭水化物量は実に1567gです。白米で考えるとお茶碗28杯以上。ポカリスウェットで補給するなら500mlのペットボトル50本飲まなければなりません。25リットルの水分が同時に摂れます!

もちろんとちゅの炭水化物摂取がありますので、その275gを引くと1292g足りません。蓄えを292g使ったと考えるてもまだ1000g足りません。白米で考えるとお茶碗18杯以上。ポカリスウェットで補給するなら500mlのペットボトル32本飲まなければなりません。16リットルの水分が同時に摂れます。これなら現実的…でもありません。

その分、事前にカーボローディングで蓄えれば良いと考えますが、蓄えられる量はたかが知れています。しかも、蓄えたものの多くは脂肪に変わっています。グリコーゲンばかりが増えるなんてことはありません。しかもレース中に消費するのは糖質がほとんどです。これではエネルギーがいくらあっても足りません。糖新生だけで賄えるでしょうか?

カーボローディングがいかに意味がないかわかっていただけますでしょうか?気休め程度の効果でしょう。

レース中の水分補給の量も気にかかります。もちろん今年も去年も寒かったので、それほどの水分補給は必要ありませんでした。2年連続でレース中の水分補給量は1リットル未満だと思います。しかし、この先行研究では2.5リットル以上飲んでいます。それにも関わらず、体重が3.3kg減ったのはそれだけ汗をかいたのか、それとも別の要因なのかはわかりません。ちなみに私はちゃんとした体重測定はしていませんが、レースよりも前の日の体重とレース後食事前にホテルの風呂場で測った体重は体重計が違いますが、±0でした。しかも、前回書いたように次の日の夜は1.1kgの増加です。

とはいっても、今年の記録では何も言えません。惨敗ですから。でも、エネルギーについては良いデータが得られました。

ケトン体ランニング「ケトラン」をこれからも続けます!

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