タンパク質はインスリン分泌を増加させるが、健康な人と糖尿病の人ではかなりの差がある

最近、江部先生のブログでタンパク質はインスリンを分泌させて、しかも糖質よりもインスリン分泌が多いのでは、というコメントがありました。

タンパク質は健康な人では血糖値にほとんど影響しませんが、強力なインスリン分泌促進物質であることが示されています。生理学的には、アミノ酸の取り込みおよび新しいタンパク質の合成を促進するためにインスリンが必要であるのは確かで、そのためタンパク質摂取時にインスリンが出ていると思われます。

必須アミノ酸は消化管から吸収されると、一般的な循環に渡され、必要に応じて新しいタンパク質合成または骨格筋燃料に使用することができ、インスリン分泌を刺激するのは、循環するこれらのアミノ酸だと言われています。

タンパク質単体ではグルコースと比較してインスリン分泌に対して比較的弱い刺激であると考えられますが、糖質と組み合わせると、得られるインスリン応答はグルコース単独より有意に増加します。

ある研究では、健康な被験者でインスリンの追加分泌の曲線の下の面積を比較しており、50gのグルコースの摂取後よりも50gのタンパク質の摂取後にかなり小さく、実際には、その面積はグルコース摂取によるもののほんの29%でした。グルコース50gとタンパク質50gを同時に摂取した場合は、グルコース単独の面積と、タンパク質単独の面積を合計したものとほぼ同じでした。

しかし、これが糖尿病の患者となると話が変わってきます。タンパク質単体50g摂取のインスリンの分泌曲線の下の面積は健康な人と比べて糖尿病の人では実に3.8倍にもなるのです。そして、糖尿病の人ではそのタンパク質摂取後のインスリンの面積が、グルコース50gの時のインスリンの面積の実に94%になってしまうのです。つまり、グルコースでもタンパク質でも変わらないぐらいのインスリン分泌を認めてしまうのです。そして、グルコースとタンパク質を同時に与えた場合、平均インスリン面積は、グルコースまたはタンパク質を単独で与えた場合よりも2.5~3倍近く大きかったのです。

健康な人と糖尿病の人ではこんなにもタンパク質に対するインスリンの反応が変わってしまうのです。そうすると、糖尿病の治療で糖質制限をする場合には、タンパク質もそれなりに減らすことが必要になるかもしれません。

ただ、これは恐らくインスリン抵抗性の問題だと思いますので、糖質制限に伴いインスリン抵抗性が改善してきますので、その際にはタンパク質をまたたくさん食べてもそんなにインスリン分泌が増加しないのではないでしょうか?

また、タンパク質の種類によっても反応は異なるようです。この点はまた記事にしたいと思います。

「The effect of protein ingestion on the metabolic response to oral glucose in normal individuals」

「正常人における経口グルコースに対する代謝応答に対するタンパク質摂取の影響」(原文はここ

「Effect of protein ingestion on the glucose and insulin response to a standardized oral glucose load」

「タンパク質摂取が標準化された経口グルコース負荷に対するグルコースおよびインスリン応答に及ぼす影響」(原文はここ

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