糖質制限とLDLコレステロール上昇2 仮説

糖質制限を行うと、LDLコレステロールが上昇する方がいます。数年で落ち着く方もいますが、上昇したままの方もいると思います。実際にLDLコレステロールの上昇は珍しくないようです。

以前の記事「糖質制限とLDLコレステロール上昇」でLDLコレステロール値は計算式で求めるので、糖質制限時には非常に正確性に疑問があることを書きました。

しかし、なんとなくわかったようでわからない部分もあります。なので、それ以外にもメカニズムを考えてみました。

まず、LDLはVLDLから作られます。VLDLは肝臓で作られ、中性脂肪をたくさん含み、コレステロールも同時に含んだものです。そして、VLDLは様々な組織にエネルギーである脂肪酸を中性脂肪の形で配りに行きます。そして、中性脂肪を配ると荷物が減って、小さくなり、LDLになります。

糖質制限をしていない場合、高血糖になり、インスリンがたくさん分泌され、組織でのエネルギーはブドウ糖である時間が多くなります。筋肉や肝臓ではグリコーゲンとしてブドウ糖をいくらか貯めこむことができます。そのような場合、あんまり頑張って中性脂肪を届ける必要もありません。そうすると、VLDLの中性脂肪とLDLのコレステロールエステルを交換して、LDLのコレステロールが少なくなります。

糖質過剰摂取でインスリン抵抗性があると、さらに肝臓での中性脂肪の合成は促進され、VLDLの中に含まれる中性脂肪が多くなり、VLDL1という大きなVLDLが作られます。このVLDL1にはアポタンパクのApoC-3が増加するようで、このApoC-3がリポタンパク質リパーゼおよび肝臓リパーゼを阻害することによって、VLDL1が組織に中性脂肪を届けられず、血中に長く存在することになります。結果的に血中の中性脂肪値が上昇します。

また、VLDL1が長くとどまっている間に、LDLやHDLに中性脂肪を渡して、代わりにコレステロールエステルをもらいます。そのためLDLもHDL中性脂肪が豊富になります。その中性脂肪は肝臓リパーゼなどの作用で組織に渡され、LDLもHDLも小さくなります。LDLは小さくなり真の悪玉の小粒子LDL(sdLDL)になってしまいます。HDLも小さくなり、ApoA-1が外れてしまい、HDLではなくなってしまいます。そのようにしてHDLが低値を示します。

糖質制限をしてる場合には、インスリン分泌も多くなく、血糖値の上昇も少ないですし、エネルギーとして脂肪をメインで使います。そうすると、組織での脂肪酸の需要が非常に高くなります。しかし、肝臓での中性脂肪の合成は少なくなっていると考えられます。

中性脂肪の合成は少ないけど、組織での需要は高いため、小さなVLDL2をたくさん作る必要が出てきます。それをどんどん送り込んで、中性脂肪を届けるのですが、そうするとLDLもたくさんできてしまいます。糖質制限をしっかりして、さらに組織でのエネルギーとしての脂肪の需要が高くなればなるほどLDLが増えてしまうのです。しかし、VLDL2からできるLDLは通常大きな粒子のLDLです。そのようにしてLDLが増加して、LDLコレステロール値が上昇します。

では、糖質制限の時にどうすればLDLコレステロール値が下がるかというと、二つ方法が考えられます。一つ目は邪道ですが、少しだけ糖質の摂取量を増やすことです。そうすると、組織に少しブドウ糖が取り込まれ、組織での中性脂肪の需要が減るので、VLDLが少なくなり、LDLも減ると考えられます。もう一つの方法は、脂肪をもっと摂取することです。脂肪は吸収されるとカイロミクロンによって組織に運ばれます。カイロミクロンはVLDLと同じように組織に中性脂肪を届けるのが仕事です。食事で摂った脂肪はすぐにカイロミクロンで運ばれますので、その中性脂肪の量を増やせば、おのずとVLDLの負担が軽減されます。そうすればLDLは少なくなります。

もちろん私のおすすめは2つ目です。私もLDLコレステロール値は上昇しました。数年たっても下がってきません。そして私の中性脂肪値は極端に低値です。私はマラソンをしているので、非常に多くのエネルギーを必要としているのでしょう。しかも、そのほとんどを脂肪で賄っていることを考えると、もっと脂肪の摂取量が必要なのだと思います。持久力の運動をしているとリポタンパク質リパーゼの活性が非常に上がり、中性脂肪がどんどん組織に取られます。

私自身は中性脂肪値が低く、HDLは非常に高いので全く心配はしていません。これまでもいろいろ書いたようにLDLコレステロール値は全くあてにならないからです。LDLコレステロール値の正常値はあくまで糖質を普通に過剰摂取している人の正常値です。また、LDLコレステロールを薬で下げても、心血管疾患が防げるわけではないことを考えると、LDLコレステロール自体の測定意義に疑問を持たざるを得ません。つまり、LDLコレステロールは心血管疾患のリスク評価には、不適当なのです。中性脂肪とHDLコレステロール、ApoA、ApoBで評価するのが現在のところ適切でしょう。

LDLコレステロール値が上昇している方は、恐らく、運動をしていて私のように必要なエネルギーが非常に多いか、思ったほど脂肪摂取の量が多くはなく、需要を満たしていない可能性があります。1日の必要なエネルギーを2000kcalとした場合、その90%を脂肪により賄うとすると、脂肪で1800kcal必要です。つまり200gです。200gの脂肪を摂ることは結構大変なのかもしれません。

今度機会があれば自分の体で実験をしてみます。

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