我々はいつから健康のために「水分補給」をしなければならなくなったのか?

私が生まれた昭和40年代には、まだスポーツドリンクはありませんでした。名古屋で生まれましたが、非常に夏は暑かったのですが、エアコンもありませんでした。飲み物は母親が作ってくれる麦茶以外はあまりありませんでした。子供時代は暑い夏でも汗だくになりながら外で遊んでいました。部活などもやっていました。今のように「脱水予防に喉が渇く前に水分補給」という考えもありませんでした。喉が渇けば、学校の水道の水を飲んでいました。

しかし、誰も脱水症状で倒れる人はいませんでした。電解質不足で具合が悪くなる人も見たことはありませんでした。

人類はアフリカで誕生し、恐らくは非常に暑い環境で進化してきました。その後もちろん氷河期などがあったり、アフリカから全世界に人類が広がっていくときには、涼しい環境で進化した人類もいたでしょう。しかし、もともと暑い環境で進化した狩猟採集時代のことを考えれば、「水分補給」がいつでもできたとは考えられません。獲物を追って、何時間も熱い太陽が照り付ける環境で過ごしていました。人類は汗をかくことが可能なため、汗によって体温を下げることができるので、長時間の高温下での活動が可能です。

その時、電解質(特にナトリウム)が汗と一緒に失われることは当然あります。しかし、ポカリスエットの自販機が発明されるまでは、まだ200万年ぐらい待たなければなりません。そこで、彼らは電解質が不足して、死に絶えてしまった訳ではなく、それに適応するように進化してきたのです。

糖質が豊富に得られなかったことと同じように、特定の電解質を意識して得られることなんてありません。知識もなかったでしょうから。水分もすぐに手に入る場所にいたかどうかもわかりませんし、現代のように水道もないわけですから、川や池から離れたところで活動していれば、多少脱水になったでしょう。しかし、それでも生き延びてきています。汗がたくさん出て、多少脱水になり、多少塩分が失われても大丈夫なように進化しました。そして、体の水分補給が必要な場合には「喉の渇き」が起こり、必要なだけ水分補給をするメカニズムを進化させました。

だから、敢えて健康のために必要もないのに「水分補給」は必要がありません。ましてや「電解質や糖質」を含んだ水分が必要な場面は日常生活では存在しません。

現代の日本で水分が手に入らないことの方が珍しいと考えられます。高齢者は喉の渇きに対する感覚が鈍くなっていると言われています。また元々の水分量が少ないので、脱水になりやすいとも言われています。確かにそうかもしれません。しかし、おしっこをしたくないからと無理に水分補給を抑えている場合は別として、実際には重度の認知症の高齢者や意識の状態が悪い人以外は、喉の渇きを訴えることが可能です。言葉がしゃべれない赤ちゃんも泣くことにより喉の渇きを訴えることができるでしょう。(親がそれを理解できるかは別の問題ですが)また、余程のことがない限り赤ちゃんが脱水になる環境は親が作り出したもの以外にはあり得ません。例えば、真夏に長時間高温の車の中に放置されるような場合です。(実際にはこれも脱水なのか熱中症なのかはわかりませんが)言葉が喋れても、小さな子供が長時間親に放置された場合には脱水になる可能性が高くなります。その場合は喉の渇きを訴えることができないのではなく、水分を摂取する方法が自分でわからないだけのことです。

飲料メーカーは必死に水を飲むように洗脳してきました。「喉が渇いたときにはすでに脱水になっている。だから喉が渇く前にこまめに水分補給をしよう!」というスローガンです。しかし、喉が渇いたときには軽度の脱水にはなっていますが、これにより健康を害するという明確な証拠は全くありません。喉が渇いてから水を飲んでも全く遅くはありません。

また、「熱中症予防のために十分な水分補給を!」と言って、さらに汗には電解質も含まれているので電解質を補うためにスポーツドリンクを勧めています。実際には熱中症は体温が下げられない状況、環境で起こることがほとんどです。先ほどの車の中の赤ちゃんのように、風などもなく、汗により効率的に体温が下げられないような環境に長時間置かれることが最大の原因です。あらかじめの水分補給で熱中症が予防できるという証拠はありません。軽度の脱水時には血中のナトリウムは逆に高くなっています。つまり、人類は脱水に対して十分適応しているので、汗と一緒に電解質が失われても、大量でなければ問題はありません。

そして、失われた分は通常では食事やその時の飲み物で補給されます。食事を食べなくても、水分も喉の渇きに応じて摂取すれば、脱水はその時点で補正されます。

つまり、いつでも水分にアクセスできる環境にいる限り、健康を害したり、命に関わるような脱水になることはありません。逆に喉の渇きを信じることなく、脱水を予防するためだと勘違いして、どんどん水分を補給してしまうことの方が危険です。その過剰な水分が血液を薄めてしまい、血中のナトリウムを低下させるのです。このような過剰な水分摂取により実際にスポーツの場面では死者も出ています。それは摂取された水分が水であっても、スポーツドリンクであっても同じです。スポーツドリンクに入っているナトリウムなんて非常に少ないですから。

水分補給やスポーツドリンクに関する有効性を唱えた研究は非常にたくさんありますが、実際にはその研究のお金を出しているのは飲料メーカーであることがほとんどです。ちゃんとした証拠はほとんど皆無と言われています。

水分も糖質と同じ図式です。人類の進化を考えれば企業が言うような「健康のための水分補給」が必要がないことは明白です。ましてや「スポーツドリンク」が必要な人はこの世にほとんど存在しません。砂漠で1日以上水分もなく、さまよって、やっと見つけたのがスポーツドリンクであれば飲んで良いとは思いますが。

運動するときでさえ、スポーツドリンクはいりません。ましてや日常生活でスポーツドリンクを飲むのは絶対にやめましょう。

そして、「水分補給」に「予防的摂取」は全く必要ありません。

喉が渇いたら飲む!渇きが癒されたら飲むのをやめる!これだけです。

 

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