ビタミンCはやっぱりあまり必要ではない?

ビタミンCは本当に必要なのでしょうか?糖質制限をしている人にはやっぱりあまり必要ではないと考えます。以前の記事「ビタミンCはそんなに必要なのか?」で書いたように、糖質を制限していれば、吸収も良く、抗酸化作用はケトン体にも尿酸にもあるのですから、必要量が少なくて済むと考えられます。

人間がビタミンCの合成する能力を失ったのは、それを失うことによる利益がなくてはならないと思います。つまり、人間にとってはビタミンCの合成能を失った方が進化の上で有利だった可能性が高いのです。

多くの動物はビタミンCの合成能を維持していますが、実はその合成量は糖質摂取量と相関していると言われています。つまり、糖質摂取量が多ければ、ビタミンCを多く作り、糖質摂取量が非常に少なければ、ビタミンCの合成量も少なくなるのです。(この文献を参照)ビタミンCが糖質のグルコースから合成されるから、ということだけかもしれません。しかし、実際には糖質摂取量が少なければそもそもビタミンCがほとんど必要ないのではないでしょうか?

グルコースの代謝だけに、とまでは言わないまでも、グルコースの代謝にとってビタミンCがより必要なだけであり、それ以外の代謝にはあまり重要ではないということが考えられます。

もともとの人類はほとんど糖質は摂取しておらず、糖質の供給源の多くは果実だったと思われます。そうすると、糖質を摂取するときにはほとんど必ずそこにはビタミンCが入っています。

ビタミンC欠乏症状として有名な壊血病ですが、組織間をつなぐコラーゲンなどの生成に重要なヒドロキシプロリンの合成にビタミンCが必須であり、ビタミンCが欠乏するとコラーゲンが上手く生成されなくなることで、歯肉などの出血、骨折などを起こします。壊血病の一般的な症状には、出血や骨折、傷の治癒の遅延、歯の脱落などがあり、これらはすべて結合組織であるコラーゲンの欠陥で起きる症状です。壊血病の血管病変は基底膜のコラーゲン構造に関与し、これは糖尿病性の細小血管の病変の部位でも同じことが起きていることが、電子顕微鏡で確認されているそうです。つまり、糖尿病は壊血病の一種、または壊血病が糖尿病の一種であるとも考えられます。高血糖はコラーゲンおよびプロテオグリカン合成に対するビタミンCの作用を阻害するとされています。高血糖の状態はビタミンC欠乏状態と非常に似ているのです。

また、ビタミンCは抗酸化物質としての役割がありますが、人類は自前で強力な抗酸化物質を合成しています。一つは先ほどにも書いた尿酸であり、血液中では最も抗酸化物質としては高濃度です。もう一つがグルタチオンで、こちらは肝臓で最も多く認められます。(他にもビリルビンなども抗酸化作用があります。)グルタチオンはアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)から合成され、抗酸化作用のほか解毒作用も持っています。

先ほどビタミンCを自前で合成できる動物のことを書きましたが、そのような動物では実はビタミンCを合成するほど、グルタチオンの消費量が増加するのです。(図はこの文献より)

横軸がビタミンC(アスコルビン酸)の合成量、縦軸がグルタチオンの消費量を表しています。きれいに直線を描き、ビタミンCがたくさん合成されればされるほどグルタチオンの消費量が増加しています。つまり、抗酸化物質であるビタミンCの増加は、同じく抗酸化物質のグルタチオンの減少を起こしてしまうのです。これは、ビタミンCをリサイクルするためにグルタチオンが使われてしまうからだと考えられています。

モルモット(モルモットは人間と同じようにビタミンCを自分で合成できません)の実験ではビタミンCが入っていない食事を与え続けると、通常21~22日で死んでしまうのですが、グルタチオンを投与すると40日経っても壊血病の症状が現れないのです。

つまり、人類やそのほかのビタミンC合成能を失った動物は、ビタミンCが合成できなくて不利な状況に陥ったわけではなく、グルタチオンを十分に使用できる有利な状況になったわけです。グルタチオンは抗酸化作用を示し、最低限のビタミンCをリサイクルして有効利用しているのです。ただし、これは糖質摂取がほとんどないことが前提です。糖質制限をしていなければ、先ほど書いたように、高血糖がビタミンCの作用を阻害するので、非常に多くのビタミンCを摂取しなければならないことになります。これまでのビタミンCの様々な有益な作用の研究は、すべて糖質過剰摂取が大前提にあります。

糖質制限はグルタチオンの合成を増加させるとも言われていますし、酸化ストレス自体も減少すると言われているので、食事から摂取する抗酸化物質が少なくて済みますし、グルタチオンや尿酸という自前の抗酸化物質は十分だと考えられます。

だから、ビタミンCを頑張って摂る必要はあまりないということになります。人間も糖質をほとんど摂取しなければ、恐らく壊血病にはならないでしょう。

逆に先ほどの動物実験から考えると、大量のビタミンCサプリメントの摂取は、折角の自前のグルタチオンを無駄に消費する可能性が高くなるかもしれません。糖質制限をしていれば、野菜などから自然と摂取できるビタミンCで十分なのです。サプリに頼っている方は、もっと自分の体を信じてみてはいかがでしょうか?人類の進化の中でこれだけ多くの糖質を摂っているのも現代だけですし、サプリメントという工業製品を摂っているのも現代だけなのです。

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