インスリン抵抗性は腹囲やBMIではなく、脂肪肝と関連している

インスリン抵抗性は、様々な疾患のもとのなっています。多くの場合インスリン抵抗性があると内臓脂肪が多くなり、お腹がポッコリと出て、腹囲が増加します。また肥満になるのでBMIも増加します。しかし、実際には腹囲やBMIよりももっと関連しているのが脂肪肝のようです。

今回の研究では、BMIが30未満の人、つまり過体重(BMIが25~29.9)と痩せ(BMIが19.5~24.9)の人を対象としています。「lean」を痩せと日本語にしましたが、決して痩せているわけではなく、正常な体重です。白人が対象ですが、日本人にも当てはまると考えられます。

それで分かったのは、インスリン抵抗性に最も関連しているのは肝臓の中性脂肪の量だったのです。つまり、脂肪肝があるとインスリン抵抗性が起こるリスクが非常に高くなることになります。

下の図は上から順にアディポネクチン、インスリン抵抗性の指標のHOMA-IR、肝臓の中性脂肪含量のグラフであり、左側が痩せ群、右側が過体重群です。そして、濃いグラフが脂肪肝のある場合、薄いグラフが脂肪肝がない場合を表しています。(図は原文より)

そうすると、脂肪肝があるとアディポネクチンは低下し、HOMA-IRは増加し、肝臓の中性脂肪量は増加します。これは痩せ群でも、過体重群でも同じなんです。つまり、体重なんてあまりあてにはならず、肝臓の脂肪が多いかどうかが最もインスリン抵抗性に関連するようです。

これまでも記事で、脂肪肝の危険性は書いてきました。(「脂肪肝は脳を小さくするかもしれない」、「脂肪肝はがんのリスクを高める」など参照)

そして、太っていない脂肪肝の方が心血管疾患の危険が高いという研究もあります。(「太っていない脂肪肝の方が危険!」参照)

脂肪肝の最大の原因は、果糖の摂り過ぎだと考えています。「太っていないから安心」とは言えません。まずは以前の記事の脂肪肝指数計算フォームで計算してみましょう。この脂肪肝指数が低くても、中性脂肪値とγGTP値が高い人は注意が必要です。脂肪肝の手前かも知れません。

「Insulin resistance in lean and overweight non-diabetic Caucasian adults: Study of its relationship with liver triglyceride content, waist circumference and BMI」

「痩せおよび過体重の糖尿病ではない白人のインスリン抵抗性:肝臓の中性脂肪含量、腹囲およびBMIとの関係の研究」(原文はここ

要約

目的
インスリン抵抗性は、2型糖尿病の病態生理学的な前段階であり、非アルコール性脂肪肝疾患との関係は、肥満またはメタボリックシンドローム患者において、肝脂肪含量を評価するために超音波のみならず肝臓生検やプロトン磁気共鳴分光法(H1-MRS) を用いて広く研究されている。。対照的に、肝臓の中性脂肪含量の定量のために(H1-MRS) や肝生検を使用した、痩せまたは過体重の白人の人におけるインスリン抵抗性と非アルコール性脂肪肝に関する研究はない。私たちの目的は、痩せと過体重の白人のインシュリン抵抗性の存在を研究し、肝臓中性脂肪含量、腹囲(内臓脂肪の代わりとして)、BMI、心代謝リスク因子との可能な関係を調べることである。

方法
過体重(BMI 25~29.9)または痩せ(BMI 19.5~24.9)と分類された113名の肥満ではなく非糖尿病患者を対象とした横断研究を実施した。肝臓中の中性脂肪含量を(H1-MRS) により定量した。非アルコール性脂肪肝疾患は肝臓中性脂肪含量> 5.56%と定義された。インスリン抵抗性(HOMA-IR)、血清アディポネクチンおよび腫瘍壊死因子(TNF)を決定した。

結果
HOMA-IRは肝臓中性脂肪含量と有意に相関した。非アルコール性脂肪肝疾患を有する痩せ群は、非アルコール性脂肪肝疾患のない過体重群より有意に高いHOMA-IR、および低い血清アディポネクチンを有していた。インスリン抵抗性は、非アルコール性脂肪肝疾患と独立して関連したが、腹囲またはBMIとは関連していなかった。回帰分析は、肝臓中の中性脂肪含量がインスリン抵抗性の最も重要な決定因子であることを示した。

結論
私たちの知見は、肥満ではない、非糖尿病の白人の人では、一度確立された非アルコール性脂肪肝疾患は、腹囲およびBMIよりもそれ以上に、インスリン抵抗性および心代謝リスク因子に関与するようであることを示唆している。

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