SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は糖尿病患者の転倒を増加させる

以前の記事「GLP-1受容体作動薬によるサルコペニアと骨粗鬆症」では、GLP-1受容体作動薬により筋肉が大きく減少することを書きました。「糖尿病においてGLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬で起こる筋肉量の減少」では、GLP-1受容体作動薬だけでなく、SGLT2阻害薬でも筋肉の減少が起きることを書きました。

筋肉の減少は転倒リスクを高める可能性があります。

今回の研究では、GLP-1受容体作動薬およびSGLT2阻害薬と2型糖尿病患者の転倒との関連性を分析しました。歩行や日常生活動作に完全に自立している2型糖尿病患者471人(平均年齢63 歳)を対象で、追跡期間の中央値は2年で転倒発生率は100人年あたり17.1人でした。15人が転倒により骨折を経験しました。(図は原文より、表は原文より改変)

モデル1
SGLT2阻害薬/両薬剤とも使用しない1.80 (1.10–2.92)
GLP-1受容体作動薬/両薬剤とも使用しない1.61 (0.88–2.84)
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の併用/両薬剤とも使用しない2.89 (1.27–6.56)

(0.992)

入院時の転倒歴2.26 (1.57–3.26)
性別(女性/男性)1.73 (1.03–2.89)
1.02 (1.01–1.04)
身長1.00 (0.97–1.03)
BMI1.02 (0.99–1.06)

上の表のように、転倒の可能性はGLP-1薬の服用は有意なリスク因子ではありませんでした。SGLT2阻害薬の使用は1.80倍、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用は2.89倍でした。

転倒歴は2.26倍、女性は1.73倍でした。

SGLT2阻害剤は尿量を増加させるため、体液量が減り、排尿頻度が増加します。頻尿、特に夜間頻尿は転倒のリスクを高めます。さらに、体液量減少は起立性低血圧の危険因子であり、転倒のリスクを高めます。

また、両薬剤による筋肉の減少も転倒リスクを高めます。そして、今回の研究の結果のように、両薬剤を併用するとさらに転倒の危険が増加してしまいます。

薬によって血糖値が低下し、体重が減少して、喜んでいる場合ではないかもしれません。特に高齢になってくると、転倒は骨折のリスクがあります。

2型糖尿病患者の筋力低下を軽減し、転倒リスクを低下させるために、適切な食事療法と運動療法を実施すべきである、と言うかもしれません。しかし、そうであるならば最初から薬なしで、食事療法と運動で十分ではないでしょうか?適切な食事療法というのが、1日3回きっちりと、バランスの良い食事、カロリー制限などという効果の乏しい食事を推奨しているから問題なのです。糖質制限をすれば、薬なしで血糖値の低下や体重減少が得られます。

糖尿病は糖質過剰症候群です。薬に頼っていては、副作用の心配が絶えません。

ところで、昨日、フルマラソンのレースがあったのですが、その数日前から右膝の痛みが出現しました。特に歩き出しが痛かったのですが、とりあえずシップを張って様子を見ていました。しかし、レース当日まで痛みは変わりませんでした。でも、そのまま走り始め、レースを終えると、あら不思議、右膝の痛みは消えていました。以前もフルマラソン前日や富士山登頂の数日前にぎっくり腰になっていますが、いずれもレースや登山終了後に腰痛は消失しています。人間の体って面白いですよね。医療よりも過酷な運動の方が効果的なんて。脳が痛みよりも優先的に様々な運動に必要な命令をずっと出しているうちに、痛みの信号を出すことを忘れてしまうのでしょうかね?

できる限り医療に頼るのはやめましょう。

「Longitudinal association of SGLT2 inhibitors and GLP-1RAs on falls in persons with type 2 diabetes」

「2型糖尿病患者の転倒に対するSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の長期的関連性」(原文はここ

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