いまだに、脳の「唯一の」エネルギーはブドウ糖だ!と言っている人は、ただの無知か、それともあなたを騙そうとする「詐欺師」かどちらかです。
ケトン体を代謝するのに必要な脳内の酵素の量と活性は、空腹時または飢餓時でも脳のエネルギー需要を供給するのに必要な量を常に上回っています。脳のケトン体の利用は、脳の構造的な特徴であり、適応応答ではありません。つまり、脳はケトン体を代謝することに慣れていて、利用可能になるとすぐにそれらを使用する準備がいつでもなされているのです。
ケトン体の脳への取込みは、通常少なくとも0.02~12mmol/L(20~12000μmol/L)の範囲にわたって、ケトン体の血漿濃度に正比例しています。血漿濃度に比例して脳に「押し込まれる(プッシュ)」ケトン体とは対照的に、ブドウ糖は、星状細胞およびニューロンによるその利用に比例して脳に「引き込まれる(プル)」のです。「押し込み-引き込み(プッシュプル)」というメカニズムは、ブドウ糖の利用可能性が低下してケトン体の合成が刺激される条件でケトン体が脳に入ることを保証してくれるのです。(下の図、図は原文より改変)
糖質制限をしていない人であっても12~24時間の絶食で達成され得るような、血中のケトン体のほとんどを占める血漿β-ヒドロキシ酪酸の濃度が0.3~0.5mmol/L(300~500μmol/L)である場合、β-ヒドロキシ酪酸は全脳エネルギー要求量の3~5%を供給します。ケトン体の濃度が上昇し、約1.5mmol/L(1500μmol/L)になるとケトン体は約18%を供給するようになり、6mmol/L(6000μmol/L)まで上昇すると脳のエネルギー要求量の約60%を供給するのです。
上の図は、横軸が血中のケトン体の濃度、縦軸が左側の二つが脳のケトン体の取込み量、右側の二つが全脳のエネルギー要求量に対するケトン体の割合を表しています。全てのグラフは血液のケトン体の濃度が増加すると、脳の取込み量や利用量が比例して増加することを表しています。
つまりケトン体は、成人の脳のエネルギー要求量の2/3を満たすために不十分なブドウ糖の供給にスムーズに置き換わることができるのです。
ケトン体を成人の脳の主要な代替エネルギーとすることには3つの重要な利点があります。
第1に、人間は通常、かなりの体脂肪を蓄えています。ケトン体を製造するのに必要な脂肪酸は十分にあるのです。
第2に、脳のエネルギー要求量の最大で約2/3、ケトン体を使用することは、数時間続く絶食でブドウ糖を作るために、有害な筋肉が崩壊する、または臓器の機能が低下するリスクを大幅に減少させます。
第3に、ケトン体を使用することによって、脳は、赤血球のようにブドウ糖しか使えない細胞と競合することが少なくなるのです。
脳がケトン体を利用することは、人間にとってオプションの装備ではなく、標準装備です。生まれつき持っている機能です。何ら特別なことではありません。宗田先生の著書でも書いてあるように、ケトン体は胎児や新生児にたっぷりあります。
もうこれで、「無知な専門家」や「詐欺師」に騙されることもありません。
「Can Ketones Help Rescue Brain Fuel Supply in Later Life? Implications for Cognitive Health during Aging and the Treatment of Alzheimer’s Disease」
「ケトン体は、人生後半で脳の燃料供給を救うことができるか?高齢化の間の認知機能の健康とアルツハイマー病の治療への示唆」(原文はここ)
私が現在知りたいことをご教示いただけました。またまたありがとうございます。
自弁できるコスト(経済的・環境的・心理的)の中で、如何にケトン体質を維持するか、また、理想的と考えられる(目安・目標)血漿ケトン体濃度とはどの程度の範囲なのかということが気になっています。
一生継続する覚悟なら出来るだけ楽に(笑)出来るだけ効率、コストパフォーマンスの良いケトンエンジンの回し方を見つけたいと試行錯誤を続けております。
個人の体質差や環境差が大きいでしょうが、自分の性格上、やる気のあるうちに(笑)基本を身につけておきたいと考えています。
先生が提供下さる情報、今後もアテにさせていただきます(笑)
ねけさん、コメントありがとうございます。
情報がお役に立てたようで、幸いです。
今後もアテにされるよう、頑張ります。
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