残念ですが、医師は栄養や生活習慣についてほとんど知りません

私が医学部の学生であった20数年前、栄養や生活習慣に対する講義はゼロでした。もちろん講義の中で多少の話は出てきました。たばこの害、運動不足やカロリーの摂りすぎなどの影響などありきたりの話はないわけではありませんでした。

しかし、食事や生活習慣が健康に与える影響について、栄養学など系統だった講義としは、ほとんど何も学んでいませんでした。

医学は以前は感染症と外傷の治療が大きな問題であり、その後がんがメインのターゲットとなってきました。

生活習慣病はどちらかというと患者さん本人の「不摂生」が原因であり、言葉は悪いかもしれませんが、「自業自得」のような考えもありました。つまり、たばこは体に悪いのにそれを承知で吸い続けているのが悪い、太っているのは単に食べ過ぎと運動不足だ、糖尿病になるのも甘いものばかり食べているからだ、などのような素人のような考えもベースにありました。これは大きくは現在も変わっていないと思います。

しかし、非常に多くの病気の根本的な原因の一つは、食生活における一部の栄養素が問題であり、決して必ずしも運動しないことや単なるカロリーの摂りすぎが問題ではありません。もちろん、運動をした方が健康増進にはなります。ただ、その運動についてもどのような運動をどの程度するとどの位の影響があるかなど、講義では一切教えてもらえませんでした。

現在医学部で栄養学の講義があるかどうかは知りませんが、恐らくはないと思います。あったとしても古典的な栄養学だとしか考えられませんので、相変わらずカロリーはカロリーであり、肥満や脂質異常症の原因はカロリーや脂肪の摂りすぎだという教育になっていると考えられます。糖尿病はまさに糖質の過剰摂取が最も大きな原因ですが、栄養指導では食事制限は相変わらずカロリー制限であり、60%程度の炭水化物摂取が必要だとしています。

そんな栄養や生活習慣に無知な医師が、患者さんに食事制限の有無を指示したり、運動療法の指示を出します。栄養士は古典栄養学に則って時代遅れの栄養指導をします。その前に、患者さんが診察室に訪れたときに普段の食事について聞くことさえほとんどないかもしれません。

しかし、患者さんが患っている病気の9割程度は、食事や生活習慣が根本的な原因の病気です。そして、医師の興味は治療であり、予防ではありません。病気を如何に起きないようにするかではなく、如何に治療するかです。しかも、ほとんどが対症療法であるのに、治療しているつもりです。つまり、根本的な改善を目指す治療ではない、症状だけを抑える対症療法を治療と考えているのです。

今こそ、製薬会社や食品産業から独立した形で、医学部の学生に栄養に関する教育を始めるべきです。

医師が栄養について話をしたときに、「朝昼晩3食しっかりと」「バランス良く」「カロリーや塩分を控えめに」という言葉が並んでいたら、ほとんどその医師は栄養について知識がないと考えて間違いないでしょう。

欧米でも医学部の学生が栄養や生活習慣についての教育がないことを問題視しているようです。

We learn nothing about nutrition, claim medical students

Doctors ‘know too little about nutrition and exercise’

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