レムナントは酸化LDLとほとんど同じ?

インビトロ(試験管などでの実験)研究では酸化LDLの特性とレムナントの特性は非常に似ています。その類似した特性は

・マクロファージの泡沫細胞形成を助ける
・単球、T細胞および組織マクロファージについて走化性である
・単球および血管内皮上の接着分子の発現を増強する
・血管平滑筋細胞およびマクロファージに対して分裂促進性である
・酸化還元感受性のメカニズムを介して血管細胞における炎症性遺伝子発現を変化させる
・組織因子およびプロトロンビン生成分子発現および血小板凝集を誘導する
・NO(一酸化窒素)活性を変化させることによってEDR(内皮依存性血管弛緩)を損なう
・細胞傷害性であり、血管内皮細胞および血管平滑筋細胞においてアポトーシスを誘導し得る

などです。難しい言葉が並んでいますが、簡単に言えば、酸化LDLは血管に対して悪さをし、アテロームを発生させると考えられているのですが、レムナントもその悪い性質をほとんど同じように持っているということです。

人間の体の中では本当に同じかどうかはわかりませんが、十分可能性はあるでしょう。

酸化LDLは血液中には非常に微量です。以前の記事「LDLコレステロールは本当に動脈の血管内腔から血管内皮を通って、アテローム性動脈硬化を起こすのか? その7」で書いたように、酸化LDLが血管内で悪さができるほど多くは存在していません。そして、酸化が必須のことではなく、糖化が悪さをしているのであれば、酸化LDLよりもかなり大量の悪いLDLが存在することになります。さらに、レムナントも酸化LDLと同類だとするとかなりの悪いリポタンパク質が存在することになります。

そうであるならば、重要なのは、LDLを減らすということよりも、酸化LDLを減らす、糖化を減らす、レムナントを減らす、ということになります。しかし、酸化LDLは血液内では微量であり、また酸化LDLは原因ではなく結果であると考えられることから、標的は糖化とレムナントということになります。

糖化もレムナントも原因のひとつは同じです。高血糖です。糖化は高血糖そのもので起こりますし、レムナントは、高血糖によりapocⅢが増加し、レムナントの増加を起こします。そして心血管疾患のリスク因子として最も重要と考えられるsdLDLも増加します。sdLDLは恐らくそのものだけが悪さをするのではなく、レムナントが増えるとsdLDLも増えるので、一つの重要な指標となると考えられます。

糖化とレムナントの増加を防ぐ糖質制限が最も効果的な食事ではないでしょうか?

「The oxidative modification hypothesis of atherosclerosis: the comparison of atherogenic effects on oxidized LDL and remnant lipoproteins in plasma」

「アテローム性動脈硬化症の酸化修飾仮説:血漿中の酸化LDLおよびレムナントリポタンパク質に対するアテローム発生効果の比較」(原文はここ

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コメント

  1. 松田 より:

    清水先生 いつも「ひとりごと」楽しく拝見させていただいております。
    さて、6月16日の「レムナントは酸化LDLとほとんど同じ?」を見せていただき、?の残りの半分が解決しておりません。
    何故かと言いますとレムナントは、アポB100に反応しないリポ蛋白ですから、LDLや小粒子LDLに反応しないと言うのが測定原理です。
     確かに酸化したLDLは、血管壁の泡沫化を促進しますが、残念ながらレムナントは
    アポB100のないリポ蛋白質ですから、レムナント=酸化LDL100ではありません。
    しかしカイロマイクロン(B48)やVLDL、IDLはアポB100を持っていますから、酸化されるかも知れません。
    レムナントが低いFHの方に心筋梗塞が多い(心筋梗塞の患者の約半数がFHやLDLコレステロールが健常な患者です。)その理由が説明できません。
    したがって「レムナントは酸化LDLとほとんど同じ?」は残念ながら半分だけ正解です。
    ではFHやLDLコレステロールが正常な方に心筋梗塞が何故発生するのかは、もうしばらくすると解明されます。お楽しみに。            2018-6-18 松田

    • Dr.Shimizu より:

      松田さん、コメントありがとうございます。

      いつも勉強になります。検査法に関しては松田さんの方が専門なので、私の認識が間違っていたらご指摘ください。
      レムナントはアポB100がないのではなく、(アポA1とアポB100を持たないカイロミクロンレムナントおよび)
      アポB100は持っているけれどアポE-richであるために、JI-H抗体の抗原認識部位がアポEに邪魔されるVLDLを測定しているのではないでしょうか?
      また、アポB100が糖化などにより改変されてしまい、JI-H抗が認識できない場合もレムナントに分離されると考えますが、いかがでしょうか?
      レムナント=酸化LDLではないですが、ほとんど同様の作用を示すのではと考えています。

      レムナントだけが問題ではないともちろん思っています。FHの心筋梗塞はLDLが多いか少ないかではなく、凝固線溶系の問題だと思います。
      そのさらに原因は糖化だと考えています。

      心筋梗塞の発生の解明、楽しみにしております。