大人になってからの喘息は本当の喘息か?

気管支喘息は空気の通り道である気管や気管支に炎症が続き、さまざまな刺激に敏感になって発作的に気道が狭くなることを繰り返します。ハウスダストやダニやカビなどによるアレルギーであることが多いと思われます。以前は子供に多く認められる病気でした。しかし、最近は大人になって、しかも中年や高齢になってから発症することが珍しくありません。

しかし、私はちょっとこの大人の喘息に疑問を持っています。つまり、大人になってからの喘息の多くは本当のアレルギーなどによる喘息ではないのではないか?と思うのです。

大人になってから発症したとされた患者さんを見ると多くは糖質過剰摂取による肥満気味の方が多いのです。一部の患者さんに話を聞くと、胸やけがしたり、喉の違和感があるという方がいます。咳症状は比較的持続していいるものの、深刻な発作というものではなく、呼吸音も問題なかったり、呼吸も安定しています。呼吸機能が正常の方もたくさんいます。中には喘息の薬を飲んでもあまり咳が改善しないという方もいます。

私はこの方たちの喘息のような症状の犯人は以前から、逆流性食道炎ではないかと思っています。逆流性食道炎は喉まで逆流し、それが気管を刺激したり、直接気管に流れ込んだりして、喘息様の咳を起こす可能性があります。「咳が持続する」=「喘息」という単純な診断で喘息のための治療が開始されていることが珍しくありません。

アメリカのメイヨークリニックから最近、このことに関する記事が出ました。

「Why antacids – not your inhaler – may be the key to treating your asthma」

「なぜ、吸入器ではなく、胃酸を抑える薬があなたの喘息を治療するカギとなるのか?」(記事の原文はここ

胃酸の逆流が気管を刺激しているので、胃酸を抑える薬、つまりPPI(プロトンポンプ阻害薬)などを使って治療することの必要性を書いています。

なぜ、このようなことを内科医は知らないふりをして喘息のための治療をしているのか不思議でしたが、本当に一部の医師は知らないのかもしれません。

ただ、私は胃酸を抑える薬、つまりPPI(プロトンポンプ阻害薬)などを使うことはお勧めしません。特にPPIは絶対にお勧めしません。その理由は「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の暗黒面 その1」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の暗黒面 その2」などを参考にしてください。

お勧めは当然、糖質制限です。糖質制限をすればほとんどの逆流性食道炎は改善します。そうすればこのようなことで起こる喘息様の症状も改善するはずです。もし、大人になって喘息と診断され、それが咳が続くということだけで診断されたのなら、一度糖質制限を試してみてください。

8 thoughts on “大人になってからの喘息は本当の喘息か?

  1. 小児喘息、気管支喘息をへて、成人後、忘れていた。
    60を過ぎて、喘息になったらしい。呼吸器内科でステロイド吸入1年で寛解。
    単に、成人前に現在行われているまともな治療を受けていなかったので、成長とともに症状はおさまったように見えて、潜んでいたらしい。当時は吸入ステロイドというすばらい薬はなかった。
    ともかく、今は問題ない。
    大人の喘息にはこういうパターンもあると思う。
    逆流性食道炎はあいかわらずある。十二指腸潰瘍をなんども再発し、ピロリ菌除去に成功し潰瘍からは解放されたが、逆流性食道炎がやってきた。
    糖質制限はしている。主には糖尿病の治療の為であるが、脂質と、たんぱく質の摂取量の割合の増加と逆流性食道炎は関係している感じがある。

    1. takaikuさん、コメントありがとうございます。

      もちろんすべての大人の喘息が逆流性食道炎によるものとは思っていません。
      また、ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎を起こす方がいるようです。
      統計的には除菌は関連していないとはしていますが、実際に起こす人がいるので、ピロリ菌の何らかの役割があるのでしょう。
      糖質制限が無効な例として、非常に参考になります。

  2. はじめまして。昨年の11月から糖質制限を始め、江部先生のブログからこちらのブログにたどり着きました。
    今年の寒かった冬に、清水先生のこのブログ、過去記事をすべて読破しました。内容は素人の初心者にはチンプンカンプンも多かったですが、今も毎朝開いて勉強しています、ありがとうございます。

    私は昨年6月に、胃カメラ検査で「逆流性食道炎(中程度)」と診断されました。診断後、「今は新しい良い薬があるんですよ」ということで、ネキシウムカプセル20㎎を処方されました。飲むとずいぶん楽になり、記憶ではたしか3か月ぐらい服用し、治まりましたので服用をやめました。今思えば、止めた時に症状が少しぶり返しましたが、あれがリバウンドだったのですね。そのときは「まだ治ってない?」と思ったり、苦痛から逃れようと「良い薬」に頼ろうとする気持ちがわきましたが、幸いあまり重症ではなかったり手元に薬がなかったりが幸いして、薬が復活することなくいつのまにか治っていました。

    この経過の後、昨年11月から、糖尿病予備軍との自覚から糖質制限を始めました。本やブログで学びつつの自己流ですが開始後は順調にいろいろ改善し喜んでいます。また多数の方の逆流性食道炎の改善例も読みましたから、私もあの不快感とはこれで縁が切れるとすっかり思い込んでいました。…ですが、今、再発しています

    ちょうど1年後の再発。「再発、多いんですよね」とのことで、ネキシウムカプセル20㎎をまた飲み始めました。
    私の場合は、子どもが不登校でストレス強という背景があります。やはり胃はストレスには弱いんですね。

    今回は痛み(背中痛)がかなり強く生活にも精神的にも支障がでているので、たまらず薬を飲んでいます。飲み始めて1週間ですが痛みは少し楽になってきています。治まるまで(前回のように数ヶ月ぐらい?)服用するしかないようです。ですが先生のブログで勉強しましたから、長く飲み続けるつもりはありません。治まったところで薬を止めるつもりです。やめた時にはまたリバウンドがあるでしょうが、それも先生のブログでわかっていますから、なんとか服用せずやり過ごせればいいなと思っています。

    とりあえず今はこのように考えていますが、このやり方で大丈夫でしょうか。また、先のことはわからないとはいえ、私のようなストレスとつきあいつつの生活では、糖質制限をしていても再発は今後も繰り返すかもしれず、そのときは再発のたびに薬(ネキシウム)を飲んで治し治ったら薬を止める、この繰り返しが考えられる最善の方法なのでしょうか。

    先生はどのようにお考えになりますか。また妙案や何かアドバイス等ありましたらご教示いただけるととてもありがたいです。ぶしつけなお願いですがよろしくお願いいたします。

    1. milkさん、コメントありがとうございます。

      今回再発ということですが、今回も胃カメラでの診断でしょうか?
      ストレスは胃だけではなく、全身に良くありません。私はストレスで不整脈が出たこともあります。
      今回、ストレスによる痛みであり、逆流性食道炎の痛みではないのではないでしょうか?

      私もストレスフルのときは胃が痛み、PPIを一時的に使ったこともあります。(数日間ですが)

      いずれにせよ、ストレスマネジメントが重要です。それが上手く行くまでは一時的な薬の服用も
      仕方がないのではないでしょうか?

      なぜ不登校が起きているのかはわかりませんが、すぐにストレスが無くなるような状況ではなさそうなので、
      まずは今の状況を改善することに全力の方が良いと思います。

      情報があまりないので、これくらいのことしか言えません。申し訳ありません。

  3. 先生、お返事ありがとうございます。返信遅れすみません。それに答えにくい質問で申し訳ありません。

    今回、胃カメラ検査はやっていません。前回の病院へ行って、「再発かな」と言われ、そう言われれば「そうか、これは再発だったんだ」と思い、「薬、出しますか?」と聞かれて、(飲みたくないなぁ、でも再発ならしかたないか)と思いつつ「はい」と答えた、そんな流れでした。振り返ってみたら、「再発」、きちんと確認してない…。

    症状を冷静に自己観察してみたのですが、胃の不調が確かにあります、これは胃カメラ検査、受けようと思います。加えて違う他の不調も全身いろいろあるようです(そういえば以前から高めの血圧も糖質制限で改善しないので「?」と思っていました)。きっと大きなストレス負荷が仰る通り全身に影響を及ぼしているのでしょう、ストレスとはそういうものだったはず。ただ、内科のドクターに症状を各種訴えれば薬が増えます、それはちょっと違うという思いもあります…。

    ストレスマネジメント。そうですよね、そこが根本解決ポイント。自分のことをかまう余裕やエネルギーがないのか、おおもとのストレスに対処するという当たり前のことをすっかり忘れ置き去りにしていました、そのことに気づかされました。ともかくある程度の期間は、薬の悪い側面にも気をつけつつ薬の助けを借りながらやっていくことが必要ですね、先生のブログで得た知識も味方に。

  4. ツベルクリン反応陽性で6か月間の抗生物質投与。3か月くらいして胸やけが始まり。投薬が終わるころには夜中の呼吸困難が始まりました。ピロリ菌除菌・胃酸過多・胸やけ・喘息というパターン。5年間のステロイド吸入でも改善せず医療機関を4つ変えても処方薬は同じ。「こんな無意味で苦しい投薬を続けるのなら死んだ方がましだ。」と一大決心で全ての薬をやめて4年経ちました。完治はしていませんが、はるかに改善されています。極端な糖質制限では胃酸が多くなります。未だに仰向け寝はできません。成人喘息が「非アトピー性」といわれる理由は「喘息ではない」という証拠。成人喘息は治らないと言われる理由は間違えた治療薬で悪化させているからで、勧められるままにステロイド吸入を始めると迷路に入ってしまう気がします。

    1. アラジンさん、コメントありがとうございます。

      ツベルクリン反応陽性で6か月間の抗生物質投与、というのは日本ではないということでしょうか?それとも本当に結核だったのでしょうか?
      ピロリ菌除菌後に胃酸が多くなることはよくあるようですね。
      長年ピロリと共存して、それに適応した体になってしまっていたとも考えられます。

      1. 早速のご返事ありがとうございます。日本国内でのことです。出不精の僕がどこで感染したかもわかりません。子供に感染させたらいけないと医者に言われるままに薬を続けました。子供の頃はいつも陰性でBCGのお世話になりました。同級生の中にもピロリ菌除菌後に喘息になった者が何人かおります。還暦を過ぎてからの喘息で、恐怖のあまりステロイド吸入をやめられないでいる人がほとんどです。僕も胃が丈夫なら糖質制限を続けたいです。

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