閉経後の女性は飽和脂肪酸をたくさん食べよう

閉経前の女性はエストロゲンの保護作用があると考えられ、男性より心血管疾患が少ないとされています。閉経後ではリスクが上昇しますが、どのような食事が良いのでしょうか?

以前の記事「飽和脂肪は心臓の動脈を詰まらせない!」で書いたように、飽和脂肪酸は心臓の血管を詰まらせるわけではありません。飽和脂肪酸は未だに心血管疾患に対して危険だと思い込んでいる人がいますが。

閉経後の女性ですでに心臓の血管が狭窄している人を対象に、食事の効果を研究したものがあります。そこでは飽和脂肪酸が非常に良い効果を示しています。

すでに冠状動脈心疾患を有する235人の閉経後女性を対象として、飽和脂肪酸の摂取量との関連を調べました。飽和脂肪酸の摂取量により四分位に分けられました。もっとも少ない群がエネルギー摂取量の3.5~7.0%、次が7.1~8.6%、8.7~10.5%、最も多い群が10.6~16.0%です。平均して3.1年追跡しました。

その結果、総コレステロール/HDL比は飽和脂肪酸の最も少ない群で5.3でしたが、最も多い群では4.6でした。一般的には、この比は小さい方が心血管疾患のリスクが少ないと考えられているものです。LDLコレステロールは有意な差はありませんが、最も少ない群で141、最も多い群で135でした。

HDLコレステロールは最も少ない群で44、最も多い群で50でした(有意差あり)。中性脂肪も最も少ない群で201、最も多い群で169でした(有意差あり)。このHDLと中性脂肪はHDLは高く、中性脂肪は低い方がリスクが低下します。つまり、飽和脂肪酸をたくさん摂った方がリスクが低くなると考えられます。

食事に含まれるコレステロール量はもちろん飽和脂肪酸を多く摂った方が多くなります。もっとも少ない群の食事のコレステロール量は1日160mgだったのに対し、最も多い群では265mgでした。食事の炭水化物(糖質)の割合は飽和脂肪酸の最も少ない群では67%、最も多い群では48%でした。飽和脂肪酸の量よりも、糖質量の違いが結果の違いに大きく影響している気もします。

そして、冠動脈の評価ですが、飽和脂肪酸の摂取量による冠動脈アテローム性動脈硬化症の進行の違いは次のようです。 最も狭い冠動脈の内径は、飽和脂肪酸の最も少ない群では0.22mm減少しました。つまり進行していました。 その次の群が0.10mm、その次ぎは0.07mmでした。最も多い群では狭窄の進行は認めず、0.01mmの増加でした。改善したとまで言えるかどうかはわかりませんが、数値的には改善しています。

冠動脈の狭窄の割合の変化ですが、これも同様の変化をしています。つまり、飽和脂肪酸の最も少ない群では8.0%狭窄が増加、つまり進行していました。 その次の群が3.6%、その次ぎは2.7%増加でした。最も多い群では狭窄の進行は認めず、0.1%減少でした。

さらにアテローム性動脈硬化進行と他の主要栄養素との関係も評価していました。(図は原文より)

上の図の上のグラフは脂肪酸の種類による冠動脈の最も狭い内径の変化を表しています。グラフのバーが下に行くほど、狭窄が進行していることを表しています。黒いバーが先ほど示した飽和脂肪酸です。グレーが一価不飽和脂肪酸、白が多価不飽和脂肪酸です。そうしてみると、飽和脂肪酸は摂取量が多くなるほど、下向きのバーは短くなり、最も多い群では上向きになっているのは先ほど書いた通りです。一価不飽和脂肪酸は摂取量の増加に伴い、バーが短くなる傾向があります。多価不飽和脂肪酸は逆に、摂取量が増加するにつれ下向きのバーが長くなっています。つまり、多価不飽和脂肪酸はたくさん摂るほどアテローム性動脈硬化症は進行すると考えられます。恐らくはオメガ6によるものだと思います。

図の下のグラフは3大栄養素についてです。白のバーが総脂肪、グレーがタンパク質、黒が炭水化物(糖質)を表しています。脂質、タンパク質は関連を認めませんが、炭水化物は摂取量の増加に伴い、大きく狭窄が進行しています。

同一のエネルギー量で栄養素を交換する場合、飽和脂肪酸の代わりに炭水化物を摂ると、0.18mm狭窄が進行し、一価不飽和脂肪酸を炭水化物に交換しても0.14mmの狭窄の進行が起こります。飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に交換しても0.11mmの狭窄の進行となります。

つまり、閉経後の女性は糖質制限をし、たっぷりと飽和脂肪酸を摂ることがアテローム性動脈硬化症のリスクを低下させると考えられるのです。

「Dietary fats, carbohydrate, and progression of coronary atherosclerosis in postmenopausal women」

「閉経後の女性の食餌性脂肪、炭水化物、および冠動脈アテローム性動脈硬化症の進行」(原文はここ

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