アメリカとヨーロッパの糖尿病学会は糖質制限を正式に食事療法の一つと認定! 日本糖尿病学会は遅れている!

すでにアメリカの糖尿病学会は2008年から方向転換をはじめ、糖質制限を少しずつ認め、2013年から正式に低炭水化物食を認めています。今回「2型糖尿病における高血糖の管理2018 米国糖尿病学会(ADA)および欧州糖尿病学会(EASD)によるコンセンサスレポート」というものが発表されました。

そこでは、生活習慣の項目での食事療法では次のようになっています。

重要なのでアップにしましょう。

地中海食、DASH食、そしてその次に「低炭水化物食」、ベジタリアン、その他となっています。「低炭水化物食」は「糖質制限食」とイコールではありませんが、糖質を制限することが糖尿病の食事療法として推奨されていることは確かです。

食事療法に関する米国糖尿病学会と欧州糖尿病学会のコンセンサスの文章は次の通りです。

コンセンサス勧告医療栄養療法(以降、栄養療法)の個別プログラムは、すべての患者に提供されるべきです。

医療栄養療法

栄養療法は、患者が健康な摂食パターンを採用するのを支援するための教育と支援で構成されています。栄養療法の目標は、糖尿病関連合併症のリスクを減らし、食べることの楽しさを維持しながら血糖値と心血管リスク因子を管理することです。栄養療法の2つの基本的な側面には、食事の質とエネルギーの制限があります。各側面に向けられた戦略は、血糖コントロールを改善することができる。

食事の質と食事のパターン

2型糖尿病のすべての人に最適な炭水化物、タンパク質、脂肪摂取量の比率はありません。代わりに、多くの良い選択肢があり、プロのガイドラインは通常、健康に良い効果を示す食品を強調し、害のある食品を最小限に抑え、患者の嗜好や代謝的な必要性に対応し、実現可能で持続可能な健康的な食生活を特定することを目標とする個々の選択された摂食パターンを推奨します。地中海食パターンの3つの試験では、軽度の体重減少と血糖コントロールの改善が報告されています。これらのうちの1つでは、低炭水化物の地中海食パターンに割り当てられた新規発症の糖尿病の人は、低脂肪食に割り当てられた患者と比較して、血糖低下薬を4年間にわたって必要とする可能性が37%低かったのです(HR 0.63)。2型糖尿病患者のRCTのメタアナリシスは、地中海食パターンが対照群よりもHbA1cを減少させることを示していました(平均差-3.3mmol/mol、-0.30%)。

低炭水化物食、低GI食、高タンパク食およびDASH食の食事療法は、すべて血糖コントロールを改善しますが、地中海食パターンの効果は最大であるようです。低炭水化物食(全エネルギーの26%未満)は、3ヶ月後のHbA1c(-5.2mmol/mol、-0.47%) 、6ヶ月後で(-4.0mmol/mol、-0.36%)であり、12ヶ月または24ヶ月効果が減少しました。中程度の炭水化物制限(26〜45%)の利益は観察されませんでした。ベジタリアンの摂食パターンは、HbA1cを低下させますが、空腹時血糖は低下させないことが示されました。 2型糖尿病の異なる摂食パターンの最近の試みには、体重減少が含まれており、食事の品質の明確な貢献に関する確固たる結論を妨げています。

コンセンサス勧告:糖尿病のすべての過体重および肥満の患者は、減量の健康上の利益を知らされ、食物代替を含む集中的な生活習慣管理のプログラムに従事することを奨励されるべきです。」

まずは冒頭で、「最適な炭水化物、タンパク質、脂肪摂取量の比率はありません」と言い切っています。これは評価すべきでしょう。人間の最適なPFCバランスというのは全く根拠がありませんから。炭水化物50~65%が最適という日本の推奨は馬鹿げています。

さて、今回のコンセンサスではヨーロッパの糖尿病学会が強く推奨しているのか、「地中海食推し」の内容です。低炭水化物食は短期では効果を認めるけれども12か月や24か月では効果が無くなるという内容となっています。しかし、これは実際に糖質制限をしている人の感覚とは大きなズレがあるのは確かです。今回のコンセンサスで「低炭水化物」というのが「全エネルギーの26%未満」という定義になっているのが影響しているのでしょう。例えば2000kcalの25%の糖質は125gです。かなり多い糖質量です。糖質制限食の2倍以上の糖質量です。1日60g以下の糖質、またはケトン食で行った研究の場合は全く違った、非常に有益な結果が出ると思われます。以前の記事「中途半端な糖質制限では中途半端な結果になる」で書いたように、中途半端に糖質を制限しても結果は中途半端に終わるのです。もう少し摂取する糖質量の検討が必要であると思われますが、かなりの前進したコンセンサスではあるでしょう。日本糖尿病学会に比べればかなりマシな内容です。

このコンセンサスで非常に残念なのは、食事療法の立ち位置です。記述として非常にわずかしかありません。33ページある中の1ページの半分ほどです。ほとんどのページが薬物療法です。そうでないと医師も製薬会社も儲かりませんからね。しかし、最も重要なのは食事です。

治療は根本的な原因を改善させて初めて治療です。原因に対処せずにその症状だけ抑え込むのは対症療法と呼ばれます。風邪をひいたときに熱が出た場合、解熱剤で熱を下げるのは対症療法であり、治療ではありません。(風邪の多くの原因はウイルスであり、風邪ウイルスを殺す薬は現在のところ存在しないので根本的な原因の治療ができません。)同じように、糖尿病では血糖値を下げることは対症療法でしかありません。血糖値が上がる原因は血糖値を上げる食事にあるのです。ですから根本的な治療は食事の改善です。薬物はあくまで対症療法であり、食事療法が治療なのです。

前回の記事「食事を変えれば糖尿病を逆転できる」で書いたように、10年も20年も薬で治療してきた人が、食事を変えるだけでどんどん改善していくのです。数日から数週間で大量に必要であったインスリンから離脱できるのです。これを治療と言わずに何を治療というのでしょう。

まだまだの感は否めませんが、少しずつは良い方向に向かっているのではないかと思います。これはアメリカとヨーロッパのコンセンサスなので、ほぼ世界的なコンセンサスと言っても良いと思います。日本はまだ糖質制限を認めていません。しかし、このまま否定ばかりでは日本糖尿病学会も無理でしょう。来年あたりには必殺の「手の平返し」をすると思われます。これまで糖質制限を否定してきた糖尿病専門医はどのような言い訳をするのでしょうか?

「Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD)」

「2型糖尿病における高血糖の管理2018 米国糖尿病学会(ADA)および欧州糖尿病学会(EASD)によるコンセンサスレポート」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする