中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる

みなさんはTyGインデックスというのをご存じでしょうか?ここ10年ほど提案されているインスリン抵抗性のマーカーで、この数値が高いと様々な疾患のリスクが高くなることが示されています。

まずはご自身のTyGインデックスを調べてみましょう。

この数値のカットオフ値、つまりいくつ以上が異常でリスクが高くなり、いくつ以下が正常というのははっきり定まってはいませんが、数値があがるにつれ様々な疾患のリスクは高くなります。

例えば、ある研究ではTyGインデックスが8.31以上になると糖尿病のリスクが増加するとしています。たとえ空腹時血糖値が100以下であってもTyGインデックスが最も高い群では最も低い群と比較して、6.84倍も糖尿病発症のリスクが高くなるとしています。(図はこの論文より)

この研究では86より高い中性脂肪値は糖尿病を発症する危険因子であり、96を超える空腹時血糖値は糖尿病のリスクを有意に増加させると結論しています。

また、TyGインデックスは非アルコール性脂肪肝のリスク評価に非常に敏感なマーカだとする研究もあります。TyGインデックスが8.5以上では非アルコール性脂肪肝のリスクが非常に高まります。これは肝機能を表すALTよりも優れたマーカーであり、TyGインデックスとALT両方を評価する方がさらに脂肪肝の検出力は高くなります。(図は原文より)

上の図はaの横軸がTyGインデックス、bの横軸がALTです。縦軸はともに非アルコール性脂肪肝の罹患率です。TyGインデックスの四分位の分類はQ1(〜8.0)、Q2(8.1〜8.4)、Q3(8.5〜8.9)、Q4(9.0〜)で、ALT(U/L)四分位はQ1(〜14.0)、Q2(14.1〜20.0)、Q3(20.1〜29.0)、Q4(29.1〜)です。TyGインデックスが9を超えると7割以上が非アルコール性脂肪肝になる可能性があるということです。

TyGインデックスの上昇は冠動脈疾患のリスクも上げるという研究もあります。

このTyGインデックスというのは、空腹時中性脂肪値と空腹時血糖値だけから導かれるものです。中性脂肪と血糖値という非常に簡便な検査でわかるパラメーターだけで非常に様々な疾患のリスクとの強い相関が得られているのは、非常に重要であり、便利です。こう考えると、インスリン抵抗性や糖尿病、非アルコール性脂肪肝、冠動脈疾患などで最も重視すべきパラメーターは中性脂肪値と血糖値ということになります。どれも糖質過剰症候群なので当たり前と言えば当たり前ですが、もっと中性脂肪を重視すべきです。

中性脂肪を測定しない健康診断があったとすると、非常に多くのことを見逃している可能性があります。医師の中には中性脂肪値は1,000までは問題ないと思っている人もいます。脂質パラメーターに関しては医学教育の中で、LDLコレステロール値重視に偏り過ぎたのが原因かもしれません。

中性脂肪値と血糖値は糖質過剰摂取で高くなります。当然、糖質制限をすると通常はどちらも低下します。ただ、血糖値に関しては体内で狭い範囲でコントロールされているため、大きく低下することはないかもしれません。そうすると、下げることができるのはやはり中性脂肪値です。中性脂肪値を150まではOKとする医師はTyGインデックスで8未満を達成しようとすると、血糖値を40未満にしなければなりません。無理です。

とりあえず、TyGインデックスが8未満というのが一つの目標値ではないでしょうか?8.3以上は注意信号、9を越えたらかなり危険な状態だと思います。

あなたのTyGインデックスはいくつでしたか?ちなみに私は7.32でした。

「The triglyceride and glucose index (TyG) is an effective biomarker to identify nonalcoholic fatty liver disease」

「中性脂肪とグルコース指数(TyG)は非アルコール性脂肪肝疾患を同定するための有効なバイオマーカーである」(原文はここ

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コメント

  1. カーコ より:

    うむむ。
    私は8.45でした。

    • Dr.Shimizu より:

      カーコさん

      中性脂肪が高いのか、血糖値が高いのか?ちゃんと空腹時の値で入力して下さいね。

      • カーコ より:

        空腹時血糖値が高いんですよねー。
        今年は血糖値は106で中性脂肪が88でした。
        去年と一昨年のデータでも8.3超えてますね。

        3年前に脂肪肝と診断され、昨年のドックでは脂肪肝ではないと言われました。
        今年も大丈夫でした。
        自分的には、食べる脂肪の量が少なかったと感じています。
        タンパク質重視で低脂肪に傾いていました。
        低カロリー食を長く続けていたので何も考えなければ低脂肪の食事になってしまいます。
        エネルギー切れのようになることもよくあるので、先月くらいから脂肪を多く摂取するよう心がけています。

        糖質制限する前のデータだと9.37ですから、少しは改善してるのかな?と思います。

        • Dr.Shimizu より:

          カーコさん

          今年の空腹時血糖値はナイアシンを飲んでいるときですよね?
          ナイアシンを止めた後しばらくして、もう一度空腹時血糖値、中性脂肪値を測定してみてください。
          また、おっしゃる通り脂質は大切なエネルギーですので、たっぷり摂りましょう。

  2. 小野洋子 より:

    前略 先生のブログで毎日勉強している薬剤師です。
    早速ですが、TyGインデックスのお話ですが、
    以下でTyGを計算した場合、
    TyG Index Calculator – Burn Fat Not Sugar
    https://burnfatnotsugar.com/TyGIndexCalculator.html
    先生の画面で計算した場合と数値が違うのですが、
    同じTyGインデックスの計算なのに、なぜでしょう?
    お教えいただければ幸いでございます。

    • Dr.Shimizu より:

      小野洋子さん、コメントありがとうございます。

      計算式を示しますと、ln[空腹時中性脂肪値 (mg/dL) × 空腹時血糖値 (mg/dL)/2] です。
      しかし、Burn Fat Not Sugarにある計算式は ln[空腹時中性脂肪値 (mg/dL) × 空腹時血糖値 (mg/dL)]/2 となっています。
      つまり、2で割った値の対数か、対数を求めた後に2で割るかの違いがあります。
      なぜか古めの論文ではln[空腹時中性脂肪値 (mg/dL) × 空腹時血糖値 (mg/dL)/2] と書かれていても、
      実際にはln[空腹時中性脂肪値 (mg/dL) × 空腹時血糖値 (mg/dL)]/2 の値が載っているものもあります。
      最近のほとんどの論文ではきちんとln[空腹時中性脂肪値 (mg/dL) × 空腹時血糖値 (mg/dL)/2] で計算したものがほとんどですので、
      私の記事の式もこれを採用しています。

  3. かぴりん より:

    清水先生、はじめまして。
    中性脂肪が40、空腹時血糖が100くらいあります。7.60になります
    糖質制限で一年かけて7キロ痩せましたが、ヘモグロビンa1cは6.1→5.3〜5.7くらいでなかなか安定しません。
    中性脂肪が低いことと血糖値(ヘモグロビンa1cも)が高いことには
    関連性はあるのでしょうか?
    先生のお考えを教えていただければ幸いです。

    • Dr.Shimizu より:

      かぴりんさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限をしている状態のHbA1cと糖質過剰摂取のHbA1cでは意味、質が異なります。
      食後高血糖があまり起きない糖質制限のHbA1cの方が質は良いので、それほど気にしなくてもいいのではないでしょうか?
      空腹時血糖は、もともと2型糖尿病なのかどうか、もともとの空腹時はどれくらいなのか、糖質制限他に何かサプリなどを使っているのかなどの情報がないのでお答えするのは難しいです。
      中性脂肪が低いこととHbA1cとは関連していないと思います。

      • かぴりん より:

        清水先生、ありがとうございます。

        昨年、健康診断でヘモグロビンa1cが6.1 空腹時血糖が88で糖尿病予備軍といわれ、糖尿病専門医の検査を受けた結果、1型は否定され食後高血糖は若干あると言われました。(ブドウ糖負荷試験で30分後138、その後はしっかり下がりました。)

        空腹時血糖はここ数年は90前後です。また、サプリ?は、毎食前に難消化性デキストリン5グラムづつを摂取しています。

        • Dr.Shimizu より:

          かぴりんさん

          ここ数年90前後で、たまたま今回100だとしても問題ないと思います。
          このままスーパー糖質制限を続ければ、質の良いHbA1cが保てると思います。