頻繁に食べること自体が有害である

間食を含めた1日の食事回数は何回ですか?私は通常の食事はほとんどの場合2回です。朝と夕食です。昼はチーズやナッツの間食を食べることもありますし、食べないこともあります。それ以外は栄養素の入っていない水分以外は何も口にしません。

同じエネルギー量、同じ糖質量であれば、頻回に食事をした方が1回の食事で摂取するエネルギーと糖質量が少なくなるので、インスリンの分泌量も減って、有益ではないか?と考える人もいるでしょう。

2型糖尿病の人で、カロリー制限+食事回数を変えたことによってどのように違いがあるかを調べた研究があります。(図は原文より)

エネルギー量は同じで1日3食の群と、3食+間食3回の1日6食の群とで比較をしています。上の図のEは1日のエネルギー量に対する割合、CHは1日の炭水化物の量に対する割合を示しています。1日の総エネルギー摂取量は個人個人で計算された必要なエネルギー量から500kcalを減らした量となっています。1500kcal±300kcalです。PFCバランスはタンパク質25%、脂質35%、糖質40%です。6食群では3回の食事で1回の炭水化物量は23%ずつで、間食は10%ずつです。一方3食群では朝に1日の炭水化物の50%、昼に40%、夕方に10%摂取しています。体内時計の影響を考慮して朝の炭水化物が一番多くなっています。

その結果は次のようです。

グラフの黒い方が6食群、白い方が3食群です。Aは体重、BはHbA1c、Cは空腹時血糖値、Dは24時間の平均の血糖値、Eは夜間(0時~6時)の平均の血糖値、Fは1日のインスリン注射の総量、Gは空腹スコア、Hは1日の平均の渇望スコアです。そうすると、体重は明らかに3食群で低下し、12週間後には5~6㎏減少しています。6食群では体重変化は認められませんでした。

HbA1cもそれぞれの血糖値も、またインスリンの量も3食群で低下しています。

空腹スコア、渇望スコアともに3食群で低下しています。どれも6食群では大きな変化はありませんでした。

上の図は24時間平均血糖値(左)と夜間の血糖値(右)です。それぞれの左側が6食群、右は3食群で、上からベースライン、2週間後、12週間後です。血糖値が180以上というグラフの黒い部分は6食群よりも3食群ではどんどん減少しています。夜間の血糖値が70以下となる割合は両群で変化なく、軽度または重度の低血糖エピソードは記録されませんでした。3食群の24時間および夜間血糖の著しい改善にもかかわらず、低血糖イベントの数の増加とは関連していなかったのです。

さらに体内時計に関連する遺伝子の発現は朝食でたくさんのエネルギー、炭水化物を摂る3食群で増加しました。3食群では夕食でのエネルギー量、炭水化物量が少ないにも関わらず、低血糖をもたらさずに肝臓の糖産生を減少させる可能性があります。

そうすると、糖質制限+食事回数の減少+午前中のみの食事を実践することにより、もしかすると暁現象も少なくなり、早朝の空腹時血糖を低下させる可能性はあるかもしれません。午前中のみの食事というのはなかなか難しいかもしれませんが。

しかし、現代では3回の食事だけでなく、間食などで糖質を口にする回数が異常に増加しています。糖質を含んだ飲料やスナック菓子など、食事と食事の間に何度も摂取している人も多いのではないでしょうか?

今回の研究では、カロリー制限をしているにも関わらず6回の食事は、多くのパラメーターで改善が認められていません。つまり、1回の食事のエネルギー量や糖質量だけでなく、食事の摂取回数は非常に重要だということがわかります。回数が増えれば、インスリンが分泌される時間帯も増加します。1日6食も食べれば起きている間は1日中インスリンが分泌され続け、血糖値の乱高下が続き、空腹を強く感じるのでしょう。

糖質制限をすると血糖値の乱高下がなくなり、本当に空腹感を感じにくくなります。また、しっかりと脂質とタンパク質を摂取することは、これも空腹感の減少につながると思います。

人類は進化の過程で食事は何回も食べることなんてできませんでした。1日に全く食べない日もあったかもしれません。当然間食なんてできるわけがありません。そのように進化したのに、現代では暇さえあれば口に何かを入れている人がたくさんいます。ジュースもケーキもお菓子も人間には必要ありません。

企業やマスコミなどに踊らされて、頻繁に食べていること自体が人間の体に有害なのです。

「Reduction in Glycated Hemoglobin and Daily Insulin Dose Alongside Circadian Clock Upregulation in Patients With Type 2 Diabetes Consuming a Three-Meal Diet: A Randomized Clinical Trial」

「3食の食事を摂っている2型糖尿病患者の概日時計アップレギュレーションに加えて、糖化ヘモグロビンと毎日のインスリン投与量の減少:無作為化臨床試験」(原文はここ

2 thoughts on “頻繁に食べること自体が有害である

  1. いつも、為になる情報、有り難く拝読しております。

    筋トレしている人とか、その専門書にも、少量ずつ頻回の食事のメリットばかり述べられていることが多いですが、今回のが記述で、ヤッパリという感じです。

    なんなとなく、良いとされている、そして検証もされずにそれが定説になってしまっているものは多いと感じています。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      人類は本来1日に1~2回の食事だと思います。
      もちろん、タンパク質のみの頻回摂取でどうなるかは不明ですが、
      インスリンが分泌されることには変わりありませんので、健康面ではマイナスではないかと思います。

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