頻尿、過活動膀胱は糖質過剰症候群である

過活動膀胱は「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿と夜間頻尿を伴うものであるが、切迫性尿失禁は必須ではない」と定義されています。

拙著「糖質過剰症候群」でも、過活動性膀胱について書きましたが、さらに詳しく見ていきたいと思います。

(下の図はここより)

(下の図はここより)

過活動性膀胱は多因子性だと考えられています。上の2つの図の通り、加齢は大きな因子です。明らかな脳や神経疾患により起こる場合もありますが、原因のはっきりしない特発性も多く認められます。男性では前立腺肥大との関連も強いでしょう。

韓国の成人女性の研究(その論文はここ)では、加齢、高BMI、ストレスレベル、睡眠時間、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳卒中の病歴などは、女性の過活動性膀胱と有意に関連していました。また、メタボリックシンドロームと女性の過活動性膀胱の関連も認めています。

肥満やメタボ、糖尿病などは糖質過剰症候群であるので、過活動性膀胱にも糖質過剰摂取が大きくかかわっているのは十分に考えられます。

今回の研究では、インスリン抵抗性と女性の過活動膀胱との関連を調べています。(図は原文より)

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はinj-16-181-i002.jpgです
上の図のOABは過活動性膀胱です。過活動性膀胱がある人とない人の比較では、過活動性膀胱がある人の方がインスリン値は約1.8倍も高く、インスリン抵抗性を表すHOMA-IRも2倍以上も高く、空腹時血糖も高く、HDLは低い結果となりました。
つまり、糖質過剰摂取で起こる状態がまさに関連しているのです。加齢のせいばかりにしていては、どんどん悪化してしまいます。頻尿があるのであれば、まず糖質制限をしてみる必要があります。薬でごまかしていては、治るものも治らなくなる可能性もあります。症状を抑えるのが治療ではありません。
まずは糖質制限をして、インスリン抵抗性を減少させることを考えましょう。
次回以降にはメカニズムをもう少し考えてみたいと思います。
「Association of insulin resistance with overactive bladder in female patients」
「インスリン抵抗性と女性患者の過活動膀胱との関連」(原文はここ

2 thoughts on “頻尿、過活動膀胱は糖質過剰症候群である

  1. はじめまして
    愛媛の松山市でペインクリニック(麻酔科出身)を開業(7年)しておりますものです。
    53歳です。私自身、糖質制限を初めて3年過ぎました。

    「糖質過剰症候群」大変感銘を受けました。また、ブログを最近一通り読ませていただき、新たな発見がたくさんありました。

    趣味はマラソンで、前年の函館マラソンで初めてサブ4になりました。

    大変失礼かもしれませんが、清水先生と共通点が多いなあと勝手に感じております。

    過活動膀胱が「糖質過剰症候群」とは知りませんでした。また、勉強させていただきました。

    今後ともよろしくお願いします。

    1. 三世 敏彦さん、コメントありがとうございます。

      拙著をお読みいただきありがとうございました。
      本当に共通点が多いですね。いつかどこかでお会いできれば良いですね。

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