感染症と戦っていても、このままでは一生勝てない(閲覧注意!)

これまでの人類の歴史上様々な感染症が起こり、多くの命を奪ってきました。そして、それに対するワクチンの開発や治療薬の開発も進み、多くの感染症が撲滅や鎮圧されました。このように感染症に対する人類(科学者)の「賢さ」とは裏腹に、何も考えずにやたらに抗生剤を使ってしまう医師の「愚かさ」、抗生剤が万能とでも思っている一般人の「愚かさ」によって耐性菌がどんどん増えています。

ペニシリンが発明されて多くの命は助かりましたが、たった7年で黄色ブドウ球菌による感染症の40%にペニシリンが効かなくなっていたそうです。その数字はさらに10年後には80%までになってしまいました。それに対して医療はメチシリンを使い始めましたが、その2年後には早くも耐性菌が報告されています。いわゆるMRSAです。さらにそれに対してバンコマイシンという抗生剤を使いましたが、すでに耐性菌ができています。

そもそも、細菌やウイルスが子孫を残す(これが正しい表現かどうかはわかりませんが…)という意味においては爆発的なスピードです。人類の進化とは比べ物にはなりません。そうすると、人間が新しい薬などを開発している間にも、細菌やウイルスは変化しています。到底追いつくことはできません。そのスピードに対して、人類の「賢さ」が勝ることができれば、勝利は見えてくるかもしれません。

しかし、多くの耐性菌は普段は大人しいヤツらが多いのです。どのような生物も自分が生き残ることや子孫を増やすことが第一の目的であるので、自分が住み着いた人間の体をそんなに簡単に殺してしまっては自分も死んでしまいます。だから、普段は共存しているのです。でも、「愚かな」行為によってその大人しいヤツらが暴れ出してしまいます。その一つが抗生剤です。この抗生剤が悪さをしている微生物にピンポイントに効いてくれれば問題はないのですが、悪くないものや人間に利益を与えているものまで殺してしまいます。そうすると生き残った、大人しいヤツが狂暴化してしまうことがあるのです。または悪いヤツはいても、通常は良い微生物がちゃんと守ってくれているのに、その良い微生物を殺してしまえば当然悪いヤツが暴れてしまいます。そうして耐性菌に負けてしまうのです。

WHOも厚労省も抗生剤を適切に使うように再三情報を発信しています。我々医師が「愚かな」抗生剤使用を早くやめないといけません。感染症に抗生剤という武器で戦っても一生勝てません。それは人間以外の微生物がいることが当たり前ですし、常に共存していますし、さらに言えば我々人類だけでなく生物は皆、もともと細菌から進化したのですから。抗生剤というのはある意味自殺行為であったり、仲間を殺しているのと同じかもしれません。もちろん、その抗生剤で多くの命が助かっていることは事実ですが、何か他のアプローチが必要かもしれません。その考え方で言えばワクチンは非常に良い方法です。バランスを崩さずに、戦わずして人間を守る方法ですから。

ただ、子宮頸がんワクチンが問題になっていますが、このワクチンの疑問はまだ残ったままです。インフルエンザのワクチンは効果に疑問があります。難しいところです。医療がビジネスになってしまいましたから。何か違う戦略が必要かもしれません。

みなさんも「かぜ」で抗生剤を医師に求めないようにしましょう。ちょっとしたことで抗生剤を処方されたら、警戒しましょう。

戦いを挑んで、細菌やウイルスを攻撃すればするほどその攻撃に耐えて、ヤツらはどんどん強くなっていきます。そうするのではなく、細菌やウイルスが広がらないようにすることで、弱く進化するようにする方が得策でしょう。感染した人が弱ってしまって、動けなくなってしまうと、空気感染や接触感染では感染の拡大ができなくなります。つまり細菌やウイルスがどんどん子孫を残すことができないのです。するとヤツらは攻撃力の手を緩めて、感染した人の症状を弱くせざるを得ません。症状を軽くすることで、その感染した人が歩き回って、空気感染や接触感染の機会を増やしてくれるからです。歩き回れるぐらいのかぜの症状は許容して、我慢しましょう。治療もしません。これが細菌やウイルスと人類との一番良い共存点ではないでしょうか?そうすることで人体には強い免疫もできます。その点からするとインフルエンザのワクチンも抗インフルエンザ薬も感染の拡大に貢献していることになります。せっかくインフルエンザのウイルスは高熱を出させ、強い倦怠感や関節痛で人間を弱らせているのに、ワクチンや薬で症状を和らげてしまうので、感染した人間が動き回って感染を拡大するのです。しかも、中途半端な免疫しかできませんから、次の年もワクチンや抗インフルエンザ薬が必要になるのです。インフルエンザワクチンは人間の行動を分かっているかのようです。怖がり過ぎることなく、インフルエンザになったら治療せず大人しく寝ているのが一番ではないでしょうか?それを人類が続けていれば、いつかインフルエンザも攻撃を緩めて妥協せざるを得ず、症状の軽いかぜになっていくでしょう。

でも、一番は普段から免疫力を下げないようにすることが大切です。糖尿病は免疫力低下を引き起こします。恐らく高血糖だけでも免疫力は下がるでしょう。(ネットには血糖値120以上で免疫力が75%低下するという記事が見受けられます。その根拠となる論文などは見つけられませんでした。どなたか知っている方は教えてください。)適度な運動と、糖質制限で免疫力を低下させないようにしましょう。

今回は面白い動画を見つけましたので、掲載します。これまで人類が苦しめられてきた感染症の皮膚症状を特殊メークで再現しています。

B型肝炎、帯状疱疹、天然痘、結核、ジフテリア、ペストと続きます。特に最後のジフテリアとペストは凄いです。気持ち悪いと思う方は見ないでください。

 

(閲覧注意!)

 

人類を危機に陥れるスーパー耐性菌 WHOが指定した超危険な3種類

   世界中で抗生物質(抗菌薬)がほとんど効かない多剤耐性菌(スーパー耐性菌)による死者が急増しているが、世界保健機関(WHO)は2017年2月27日、耐性菌の中でも特に危険な12種類の菌のリストを初めて公表した。

   「これらの菌は人類にとって最も危険な病原菌であり、治療の手段が尽きつつある。新たな抗生物質の開発を急ぐとともに、人間や家畜に対して抗生物質を必要以上に使わないでほしい」と各国に警告した。同年2月28日、NHKや共同通信など多くのメディアが報道した。

もともとは人間の口内にいる大人しいヤツ

   スーパー耐性菌については、放っておくと2050年には最大で毎年1000万人の死者が出るという報告が2016年5月に英政府研究機関から出されている。同じ月に日本で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では最重要課題として首脳宣言に対策強化が明記された。

   NHKなどの報道によると、WHOが公表したリストは、危険性の高さから「危機的」「高度」「中位」の3段階に分かれている。「危機的」の中に挙げられたのは「多剤耐性アシネトバクター」「多剤耐性緑膿(りょくのう)菌」「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)」の3つの菌だ。国立感染症研究所や厚生労働省などの「多剤耐性菌」に関するウェブサイトをもとに、その恐ろしさと予防方法を紹介しよう。

【多剤耐性アシネトバクター】

   アシネトバクターは土壌や河川水などの自然環境中に生息する環境菌で、通常は健康な人に感染しても害を及ぼすことは少ない。ところが、病気などで免疫力が弱くなると、肺炎や傷口の化膿など様々な害を及ぼす。自然環境の中に広がった抗生物質に対し抵抗力を身に着けた多剤耐性アシネトバクターが出現し、多数の死者を出す被害が世界中で起きている。

   現在、日本で猛威をふるっている多剤耐性アシネトバクターは、2007~2008年頃に海外から持ち込まれたとみられる。2011年に帝京大学付属病院で46人が院内感染、27人が死亡するなど、院内感染による死者の急増が社会問題になった。多剤耐性アシネトバクターが、特に人工呼吸器のような湿度の高い環境を好むため、集中治療室を中心に院内感染するケースが多い。また、乾燥した環境でも数週間以上生存できるため、患者の皮膚や医療機器、手すりなどの病院施設環境に生息する。汚染された医療器具や医療従事者の手などを通じ、他の患者に伝播する。入院している人を見舞う場合は、病室に入る前後に石鹸で手洗いを行うようにしたい。

【多剤耐性緑膿菌】

   緑膿菌もありふれた菌だ。地球上のあらゆる環境にいる常在菌の1つで、湿った環境を好み、人間の口内にもいる。口内に緑膿菌がいる人の割合は健康な人で全体の5~12%だが、害を及ぼすことはほとんどない。ところが、病気で4週間以上入院すると緑膿菌を持つ人が50%以上に増える。

   抗生物質に対する耐性を身に着けた多剤耐性緑膿菌は、人間の体内に入るとエンドトキシンという内毒素を血液中に放出する。このため、ショック死したり、多臓器不全を起こしたりして死亡する人が多い。多剤耐性緑膿菌による被害も院内感染が中心だ。もともと常在菌なので湿った環境で繁殖できるうえ、抗菌力を身に着けているため、石けんの中や抗菌消毒液の中、殺菌が不十分な医療材料の中でも繁殖できる。また、医療従事者や介護者の手を通じて、保菌者から別の患者にうつることがある。

最強の抗生物質も効かない「悪夢の耐性菌」

【カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)】

   CREは、米国疾病対策予防センターが「悪夢の耐性菌」と名づけ、最近、最も注目を集めている耐性菌だ。日本でも2014年9月にCREが全患者数を報告する疾患に指定され、医療機関が感染を疑われる患者を診断した場合には保健所に届け出ることが義務付けられた。それほど怖い耐性菌なのだ。

   CREは、一言でいえば「カルバペネムに耐性を示す腸内細菌科の細菌」だ。カルバペネムとは、現在のところ感染症に対する「最後の切り札」となる最強の抗生物質だ。神経障害や意識障害の副作用の心配があるため、よほどのことがないと使わない。それが効かない細菌だ。「腸内細菌科の細菌」と言っても腸内に住む細菌とは限らず、大腸菌や肺炎桿菌(肺炎の原因菌)も含まれる。だから、最強の抗生物質が効かない大腸菌や肺炎菌がCREということになる。CREに感染すると肺炎などで死亡率は40~50%に達する。

   ただし、CREもほかの2つの耐性菌と同様に健康な人への被害はほとんど心配がない。免疫力が落ちた病人に猛威を振るうのだ。病院を見舞う際には、手洗いと消毒をしっかり行うようにしよう。また、家族が感染した場合には、患者の便などの処理には手袋を使おう。

 

 

抗菌薬をむやみに出さないポイント提示-厚科審作業部会が手引き案

医療介護CBニュース 2/24(金)  Yahoo ニュースより抜粋

 厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性に関する小委員会の作業部会は、抗菌薬の適正使用の手引き案をまとめた。急性気道感染症のうち「かぜ」と呼ばれる症状には、抗菌薬を使用しないことを推奨。「抗菌薬は必要ありません」といった患者が否定的にとらえる説明ではなく、「最初の2-3日がピークでだんだんよくなる」と肯定的な説明を行い、患者の満足度を損なわずに抗菌薬を減らすよう促している。【新井哉】

 体内に感受性菌と耐性菌が両方ある通常の状態で抗菌薬を投与した場合、耐性菌のみが残って薬剤耐性を拡大している背景があるため、厚労省は外来診療の現場で、抗菌薬の適正使用に関する意識を高めてもらうことが必要と判断。抗菌薬を投与する機会が多いとみられる急性気道感染症と急性下痢症を取り上げた手引きの作成を小委員会に提案した。これを受けて小委員会は、作業部会で手引きに記載する疾患の特徴や患者への説明方法などを検討していた。

 手引き案は、感染症を予防することが抗菌薬の使用を減らすことにつながると指摘。医師らが患者に対し、ワクチン接種や効果が高い手洗いの方法、せきやくしゃみを他人に向けてしないといった「せきエチケット」の重要性を伝えるよう求めている。

 また、疾患ごとの医師による具体的な説明方法も盛り込まれている。例えば、成人の急性気管支炎(百日ぜきを除く)に対しては「抗菌薬投与を行わないことを推奨する」と記載。こうした急性気道感染症の大部分は「自然に軽快する」、「良くなるまでには時間がかかる」といった情報を伝える必要性を示している。

 このほか、薬剤師から患者への説明方法も記載。抗菌薬が出ていない患者に対し、現時点で抗菌薬が必要でないことや、下痢などの副作用を生じる恐れがあることを説明するよう勧めている。厚労省は、この手引き案を来月に開催が予定されている小委員会に報告する方針。

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