江部先生の糖質制限からはじまり、様々な先生が糖質制限について語るようになってきました。私もその一人ですが、糖質制限は体に良いという方向性は一致していても、それ以外の面では様々な方向性の違いがあります。
その一つがサプリメントです。私はどちらともいえないという立場です。足りなければサプリでも良いですが、基本は食事でと考えています。現代の食事、食材の栄養価は非常に低く、十分に栄養素が摂れていないということでしょうか、様々なサプリを使用することを推奨している方もいらっしゃいます。その中でも最近非常に影響力を持っていると思われる方が藤川徳美先生です。この先生のFacebookは非常に勉強になります。とても納得いく記述や理論が多いのですが、鉄不足に関して、本当に鉄のサプリで大量に鉄を摂取して良いものなのか、最近疑問を抱いています。鉄不足とがんとの関連について次のような記事があります。以下抜粋です。
鉄不足があるとガンになりやすい
鉄不足→好気性解糖の機能低下→嫌気性解糖主導になる
→乳酸蓄積、酸性化、低体温化
これってすなわちガンになりやすいということですよね…
世紀の大発見か!、と思い「ガン 鉄不足」で検索したら、溝口先生がもう指摘されていました
ガン治療に関して鉄不足対策は非常に重要と書かれていました
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
がんへの栄養アプローチでは、鉄が不足している患者さんへは、積極的にヘム鉄の補充を行い鉄欠乏の補正をしています。
体内に存在する鉄のうち、鉄イオンが過剰な状態になることは、体内での活性酸素の発現を増し、さらにフェントン反応というフリーラジカル発生の悪循環のきっかけになるため、当然としてがんだけでなく多くの疾患の原因となることを示します。
つまりここでは鉄の過剰ではなく、鉄イオンの過剰状態は危険であるというように明確に表現を区別しなくてはなりません。それは、その他の存在形式で存在している鉄は、なんの問題を生じることが無いからです。
私達の身体は、鉄が非常に重要でありそして上述のように危険をともなう分子であるため、厳重な調節機構(ホメオスターシス)を持っています。つまり通常であれば鉄を食材やサプリメントで摂取しても、体内の危険な鉄イオンが増えないように、何重にもセーフティー機構が準備されています。
万一の鉄の過剰時には、小腸の粘膜をねこそぎ剥いで貯蔵鉄を便中に排泄するほど厳重なのです。
鉄イオン以外のその他の存在形式で存在している鉄は、なんの問題を生じることが無いのです。
鉄を飲んでもらう代わりに点滴をすることになるのですが、それは鉄イオンを体内で急激に増す可能性がある危険な治療法となるわけです。
鉄の不足によるこれらの環境はガン細胞にとってとても過ごしやすいものになってしまいます。鉄イオンの過剰は、避けなくてはならない状態ですが、鉄の不足はガン細胞にとってすごしやすい環境を作ってしまいます。
鉄は充分にある状態にしながら鉄イオンの発生を抑制することががんの治療には重要なのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
細胞を使った実験で、「鉄が過剰となると毒性がある」と報告されているのは、全て鉄イオンのこと
蛋白と結合していない鉄であるフェジンを頻回静注するは寿命を縮める医療行為
生体内で存在する鉄は常に蛋白と結合しており、鉄イオンではない
これは生体にとって必須であり決して危険なものではない
これを取り違えて”鉄が増えると危ない”という医者が多い
本当に医学部ではウソばかり教えている
しかし、がん細胞が増殖するのに鉄が必要で、鉄を減らすと増殖が抑制できるそうです。岡山大学からその論文が出ています。
原文はここです。
さらに通常は正常と考えられる範囲のトランスフェリン飽和度の人でも、鉄剤を多く摂るとがんになりやすいという報告もあります。
原文はここです。
この論文では1日18㎎という量でも有意にがんのリスクが上がるとしています。海外の鉄のサプリメントは18㎎から36㎎というのもあります。この論文を読む限り、鉄不足の予防として鉄のサプリメントを飲むのは避けた方が良いと思われます。もちろん明らかに鉄欠乏の方は良いかもしれません。(あくまでリスクを分かっての自己判断でしょう。)
鉄分欠乏状態は、癌細胞の増殖を阻害して、血管新生を誘導します。そこで血管新生阻害作用を有する抗がん剤の効果を高め、がんを制圧するということです。
それ以外にもちょっと古い論文ですが、鉄欠乏の人を鉄剤で治療した場合とそうでない場合では、鉄剤で治療した人の方がかなりの割合で感染症にかかりやすくなりました。
原文はここです。
他にも乳幼児に鉄を補給すると感染症に罹りやすくなるという報告もあります。
男性はほとんど鉄不足にはなりませんが、女性の多くは鉄不足でしょう。それは月経があるので仕方ないことなのですが、これは現代に始まったことではありません。我々が狩猟採集をしていたころから不変です。この頃の食材が鉄に満ちていたという可能性はわかりません。動物の肉を食べていたのでそれなりに今よりは豊富に鉄は取れていた可能性はあります。しかし、それでも鉄不足になっていたと思われます。
もしも、女性も乳幼児も鉄不足によって致死的な状況になるとしたら、自然選択で現代にそのような遺伝子は残っていないでしょう。しかし、鉄不足にも何らかの利点があるからこそ現代でも鉄不足が許容されているのではないでしょうか?
男性は外で敵と戦ったり、長時間の移動をして、狩猟をしなければならないので鉄がかなり必要ですが、女性や乳幼児は、生存と子孫を残すために感染症にかかりにくいようにするため、敢えて鉄を減らすようにしているのかもしれません。がんも細菌も鉄が必要です。母乳に含まれているラクトフェリンは鉄を奪い去ることで、細菌の増殖を抑制しています。免疫がまだしっかりしていない新生児を守る防御機構です。
ですから、健康のために鉄をサプリで増やすことは、逆効果になる可能性があります。
もちろん、うつ病など精神疾患を発症するほどの重度の鉄欠乏は積極的に治療が必要でしょう。そのことは賛成です。しかし、ほとんどの男性と閉経後の多くの女性には、食事でしっかり鉄分が摂れているなら、鉄のサプリは必要ないどころかリスクが高いと思います。若い女性にはケースバイケースです。妊娠前や妊娠中は鉄がたくさん必要でしょう。しかし、普段の食事を気を付けているのならサプリまでは必要がないかもしれません。
もちろん、藤川先生も鉄が不足していない人までサプリを勧めているとは思いませんが、一般の方は少しでも鉄を減らさないようにしなければと、積極的にサプリを使ってしまう人もいるでしょう。鉄不足にもメリットがあるように我々は進化してきたのかもしれません。糖質制限をしていて、たっぷり肉を摂っていれば、鉄のサプリメントはいらないと思いますが、みなさんの考えはいかがでしょうか?
こんにちは。
食事はほぼ
「MEC食+大塚製薬ネイチャーメイドマルチビタミン&ミネラル+米100g+野菜茶碗1杯くらい」
で生活してるアラフォーの女性です。
1日の糖質量は60g以下におさまってます。
まさに藤川先生のブログに感化されて
「鉄サプリが必要なのでは?」
「プロテインも飲んだほうがいいのか?」
「ビタミンC、Eも大事なのでは?」
と思っていたところだったので、
こちらの記事はとても参考になりました。
特に鬱とか貧血とかはなく、体調もいいので
焦って栄養補給しなくてもいいですね。
ベビーチーズ(鉄ベビー)といつも飲んでるVittelに
鉄分が入ってるので、
当分はこれでいいかな~と思いました。
ゆうこさん
藤川先生は非常に重要な提言をされていると思っています。ただ、サプリなどを推奨しすぎているのでは?とも思っています。
私は食事でできる限りの栄養を調達するのが自然だと思います。また、十分にできるとも思います。
鉄の良い面悪い面、タンパク質の良い面悪い面、ビタミンの良い面悪い面、それぞれあります。サプリを摂る場合は十分に考えた方が良いと思います。
先生、コメントありがとうございました。
やはり病気でもないのにサプリで栄養補給って
なんとなく不自然な気がしています。
ネイチャーメイドのおかげかわかりませんが
体調はいいので在庫切れまで飲もうと思ってますが、
継続するかはよく考えたいと思います^^
ゆうこさん
サプリは補助的役割だと思いますが、MEC食は栄養的に問題があると思います。MEC食を続けるなら、もしかしたらサプリの力が必要かもしれません。
ちょっと考察した記事を書きたいと思います。
ふとしたきっかけで、鉄剤
(小林製薬ファイチ)を
飲み始めました。
「ムズムズ足」のような
症状が毎晩あったのと、
ランニング時の呼吸が
改善されたような実感があります。
(今年4月の健康診断は赤血球値404、
血色素13.1)。