またまたBCGワクチンと新型コロナウイルス

新型コロナウイルスに対するBCGワクチンの効果はWHOが「今のところ」根拠なしと発表しました。(ここ参照)もちろん、今の時点では根拠はありません。そして、効果ありとしてしまうと、本来必要な乳児へのワクチンが足りなくなります。

BCGワクチンは、結核以外のウイルス感染に対し非特異的な効果を発揮することが示唆する研究がいくつもあります。(ここなど参照)これは、主に小児に対する効果についてで、成人に対してどうなのかはわかりません。また、この非特異的効果の完全なメカニズムもわかりません。しかし、これまでの記事で書いてきたように、新型コロナウイルスに対してBCGワクチンが保護しているように見えます。(「やっぱりBCGワクチンが新型コロナウイルスの重症化を妨げているかもしれない」「BCGワクチンと新型コロナウイルス 再び」「しつこいけどBCGワクチンと新型コロナウイルス」など参照)

はたしてBCGが新型コロナウイルスから守ってくれているのでしょうか?

現在の各国が発表している数値は正確なのかどうかはわかりません。アメリカでも新型コロナウイルスの死者数は過少申告であると考えられています。(「新型コロナウイルスの死者数は過少申告?」参照)特に日本の感染者数などはPCR検査が非常に少なく、実際の感染者数とは大きく乖離しています。感染者数や陽性者数などに対する死者数の割合である致死率を計算してもあまり意味がないでしょう。

死者数は確かに過少申告ではありますが、感染者数よりはある程度信用できると考えると、人口当たりの死者数を比較することが重要かもしれません。

今回の研究では人口あたりの死亡率でランク付けされた上位100か国に対して、各国の100万人あたりの死亡数0.1人になったところから、100万人あたりの累積死亡数を日数で分析しました。(図は原文より)

上の図は横軸が100万人あたりの死者数0.1人を超えてからの日数です。縦軸は100万人当たりの死者数です。緑色がBCG接種国で、赤がBCG非接種国です。日本は最もグラフが下にあり、死者数が非常に少ないことがわかります。一方現在感染爆発しているスペインやイタリア、アメリカなどは非常に上の方に位置しており、死者数が爆発的に増加していることがわかります。そしてこれらの感染爆発している国はほとんどがBCG非接種国です。

上の図は100万人あたりの死者数0.1人を超えてからの日数が7日間、14日間、21日間の国別の死亡率ランキングです。7日目では緑のBCG接種国と赤の非接種国がある程度混ざりあっていますが、日数が増すにつれ、ランキング上位にBCG非接種国が集まってくることがわかります。例えばスイスは7日間では36位にランキングされていますが、14日間で18位、21日間で7位まで上昇しています。

死亡者数が100万人あたり0.1人に達してからの7日間、14日間、21日間と3週間にわたって相関関係の信頼性が高まり、現在のBCGワクチンプログラムがない国の数は徐々に増加していっています。

BCGによる結核およびその他の疾患からの保護の正確な期間は不明のままです。 アメリカンインディアンとアラスカ先住民で行われた研究では、結核に対するBCGワクチンの有効性が50〜60年間持続していました。(ここ参照)しかも興味深いことに、この研究では、時間の経過とともにワクチンの効力がだんだん低下するのですが、その効果低下は男性でより顕著だったのです。現在明らかに新型コロナウイルスの死亡率は男性で高く、新型コロナウイルスに対するBCGの保護効果ももしかしたら男性で低いのかもしれません。

現在、BCGワクチンが新型コロナウイルスに対して有効かどうか、いくつかの前向き試験が行われています。しかし、この結果が出るころにはもしかしたら多くの国で死亡率が低下しているころではないかと思います。

日本はPCR検査数が非常に少ないので、感染爆発に見えませんが、すでに非常に拡大しているでしょう。しかし、いまだに死者数は1日10数人です。

多くの感染爆発してる国(BCG非接種国)では死者数が10人から100人に達するまでに1週間前後ですが、日本は1か月以上かかりました。100人から200人まで達するのに感染爆発している国では2~3日ですが、日本では5日後でも200人になっていません。スペインでは100人を超えて7日後には1,000人を超えていました。日本も死者数が増加しているとはいえ、日本がデータを隠していなければ、非常に遅いペースではあります。これから日本も加速するのでしょうか?

「COVID-19: A model correlating BCG vaccination to protection from mortality implicates trained immunity」

「COVID-19:訓練された免疫による死亡率からの保護に対するBCGワクチン接種相関モデル」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 鈴木武彦 より:

    新型コロナウィルス肺炎による死者数は日本では他国と比較して非常に少ない状況ですが、

    たとえば新型コロナウィルス肺炎との診断を受けずに、亡くなられた方が実はコロナウィルス肺炎だった
    (新型コロナウィルスの死亡者にカウントされていない)
    場合もあり得るのでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      亡くなった方全てにPCR検査を行う余裕は到底ないと思いますが、疑わしい方、特にここのところの肺炎患者さんには恐らくはある程度検査がされていると思われます。
      亡くなる病院によると思います。
      しかし、カウントされていない死者はどの国でもかなりいると思います。特に感染爆発した都市では、自宅や施設で亡くなった方は
      カウントされていないのではないかと思います。

  2. NANA より:

    >これは、主に小児に対する効果についてで、成人に対してどうなのかはわかりません。

    成人(高齢者)に対するBCGの効果を検証した研究(比較臨床試験)はごく限られたものしかないようですね。

    https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/237265.html

    https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15590794/

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics1964/42/1/42_1_34/_pdf

    高齢者の肺炎予防については定期接種となっている肺炎球菌ワクチンがありますが、私は接種を受けていません。
    接種しなかった理由は同ワクチンには市中肺炎による死亡リスクを下げる効果がないか、あったとしてもごく僅かということと副作用リスクのトレードオフを考えたからです。
    (下記のブログ記事のコメント欄に少し詳しく書き込んでいます)
    https://aasj.jp/news/watch/4288

    ただし、オランダなどで始まった「新型コロナウイルス対するBCG接種の効果を検証する臨床試験」がもし日本でも行われるのなら、私は被験者ボランティアに応募したいと思います。ツベルクリン反応検査も受けて肺炎感染症に対するリスクも知りたいところです。
    今回のCOVID-19は、仮に終息に向かったとしても、いずれ第2波、第3波がやって来ると思っていますので。

    • Dr.Shimizu より:

      NANAさん、コメントありがとうございます。

      いくつかのワクチンは効果がそれほどなくても、企業の利益のために行われていると思います。
      BCGワクチンの非特異的効果について、赤ちゃんに接種したものが、幼少期だけでなく成人になってからも非特異的効果を示す研究は存在していないのではないかと思います。
      今回のウイルスに対する保護効果があれば、かなりの年数で非特異的保護効果があることになります。
      そうだとしたら、どのようなメカニズムなのか非常に興味があります。
      日本ではBCGの臨床試験は無いと思います。ほとんどの人がすでに接種していますから。

  3. 鈴木武彦 より:

    ご多忙の中ご返信ありがとうございます。

    仙台で、感染機会があった無症状の方々の検査実施⇨高割合での感染確認が、報じられていました。

    潜在感染者は多いということで、やはり日本では重症者や亡くなる方々は割合的には少ないということなのでしょうね。

    • Dr.Shimizu より:

      中嶋一雄さん、コメントありがとうございます。

      感染者(陽性者)数は検査数に依存しますので、比較になりません。ただ、人口当たりの検査数でもロシアはアメリカよりも多いのに、
      陽性者は約18分の1です。死者の割合もイタリアやスペインの約200分の1、アメリカの60分の1です。

  4. 種子 彰 より:

    岩手県だけ感染者ゼロの理由は,全国に先駆けてBCG接種率も高く,高齢者でも免疫力が高く感染者が少ない事が考えられます.

     私の母は,岩手県盛岡市の小学校に養護教諭として25年ほど勤務していました.その小学校は学区にサナトリウムが有りました.終戦直後に米軍将校さんが視察来て,校長さんと養護教諭の母が呼び出されて対応したと母から聞きました.母は小柄でしたので,校長は知育のボスで,母は体育のボスと云われて,戦前からの地域ぐるみの予防措置を誉められたと云ってました.後で調べたらテイラーさんだと知りました.

     全国のBCG接種は,GHQの指導で法律1951~,cf.沖縄はアメリカと同じ無接種
     
     実は岩手県は明治維新の時に賊軍で,貧しくて医療後進県であり肺炎も多かったのです.そこで,三田さんが私財を投じて盛岡病院と付属の医学校と看護学校を設立しました.今の私立岩手医大です.
     母は,その産婆看護学校を卒業して,医大の二宮内科に勤務していた時に,予防医学をしたいと作文にしていた関係で,養護訓導の資格を取り,当時結核の権威だった二宮先生がサナトリウムの院長であり校医であった山岸小学校に赴任する事に成りました.児童だけでなく父兄までも講堂にレントゲン機材を持ち込んで地域ぐるみの集団検診をして結核の撲滅のためのモデルケースを行っていました.
     母は昨年三月に94歳で亡くなっております.私も69歳ですがBCG皮下注射をしております. 何か参考に成れば幸甚です.

    • Dr.Shimizu より:

      種子 彰さん、コメントありがとうございます。

      貴重なお話をありがとうございます。
      ただ、BCGを接種したからと言って、新型コロナウイルスに感染しないわけではありませんし、岩手以外にも接種率が高いところもあったと思います。
      岩手がいまだに感染者ゼロなのは、恐らく人口密度が低いこと、旅行者の往来が比較的少ないこと、そしてたまたま、だと私は思います。