やっぱりBCGワクチンが新型コロナウイルスの重症化を妨げているかもしれない

以前の記事「BCGワクチンが新型コロナウイルスから日本人を守っている?」で書きましたが、BCG接種は新型コロナウイルスの重症化と関係しているかもしれません。

私よりも詳細に考察したサイトがありますので、非常に参考になりました。(そのサイトはここ)ブリスベン在住の日本人の方です。そのサイトを参考にBCGと新型コロナについて考察してみたいと思います。

まずは、この地図を見てみましょう。(図はWikipediaより)

上の地図はドイツです。青いところが旧西ドイツ、赤いところが旧東ドイツです。下の図と見比べてみましょう。(下の図もWikipediaより)

図の色分けは新型コロナウイルスの感染者数よって分けたものです。(3月24日現在)色が濃いほど感染者が多いところです。明らかに旧西ドイツでは感染者が多く、旧東ドイツでは感染者が少ないのです。かなりはっきりした違いです。

感染者数10万人当たりの感染者数死者数
Baden-Württem­berg8.1617470
Bayern9.4817355
Berlin1.955528
Brandenburg537211
Bremen241351
Hamburg1.693922
Hessen2.323377
Mecklenburg-Vor­pommern25916
Niedersachsen2.8103510
Nordrhein-West­falen9.2355172
Rhein­land-Pfalz1.971488
Saarland505512
Sachsen1.305327
Sachsen-Anhalt458212
Schles­wig-Holstein812284
Thüringen542254
合計42.28851253

上の表は2020年3月27日午前0時現在のドイツの新型コロナウイルスの感染者数と死者数です。(データはここより)この表で赤い字が旧東ドイツです。人口10万人当たりの感染者だけでなく、死亡者の数も大きく違っています。旧東ドイツの死者数は14人です。一方旧西ドイツでは239人です。

参考にしたサイトによれば、東ドイツはBCGワクチンはソビエト(ロシア)株を使用し、西ドイツはBCGワクチンは西ヨーロッパ株(デンマーク株?)を使用し、1998年に強制的な接種を中止したそうです。BCGワクチンのソビエト/日本株は古いタイプで類似していますが、西ヨーロッパ株(デンマーク株?)は違いがあるようです。1926年以降にパスツール研究所から分与を受けた国々のBCG(例えばデンマーク株など)はDNAのRD2領域という部分が欠損しているのですが、日本株(東京172株)やロシア株などではRD2領域は保持されているそうです。日本やロシアの株はオリジナルBCGに近似していることを示唆しています。(ここ参照)

恐らく東欧諸国は以前はソビエト株、現在のロシアの株を使用していたと思われます。チェコは1994年までロシア株でした。現在はデンマーク株です。チェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリーの死者数はそれぞれ、9人、16人、0人、10人です。西ヨーロッパ諸国とは大きな差があります。

スペインの隣国のポルトガルではBCGワクチンは1965年から2017年まで必須だったようなので、死者数が60人ですんでいるのかもしれません。

フィンランドは2006年にワクチン接種が終了していますが、それまでは98%の摂取率でした。2005年にストップしたイギリスではその頃の摂取率は少し落ちて75%でした。この差がフィンランドの死者数5人、イギリスの死者数578人の違いを生んでいると考えるのは、考えすぎでしょうか?(ここを参照)

イランでは1947年に国内でのBCGワクチンの製造と使用、1984年に定期的なBCGワクチン接種とBCGの再ワクチン接種プログラム(EPI)を開始しました。お隣イラクは確認できていませんが日本株(東京172株)を使用しているようです。自前のBCGワクチンを使用したイランでは死者数2,000人を超え、一方イラクでは36人です。イランの自前のワクチンの質が低い可能性があります。

台湾は1953年にパスツール研究所の株、1965年に新生児と乳児のワクチン接種、1979年日本株を用いたBCG生産となっています。台湾の死者は2人です。

タイは1987年に株をデンマークから日本株に変更しています。タイの死者数は5人です。

アメリカのお隣のメキシコは2005年より日本株を使用しています。死者数は8人です。

BCGの効果は通常10~15年程度続くと考えられています。これは結核予防としての効果ですが、もしかしたらその他の感染症に対する効果はもっと長く続くのかもしれません。そうでなければ、BCG接種を行っている国の新型コロナの死亡率低下が結びつきません。

BCGワクチンの新型コロナウイルスに対する保護効果はワクチンの定期接種が続いている国が強く、さらにその中でもBCGの株が日本またはロシアの株であることが最強であるのかもしれません。

日本人が清潔好きで手洗いなどをもともと習慣的にしているので、感染が拡大しにくいというのも理由にあると思います。しかし、世界の感染者数、死亡者数を見てみると、その数が少ない国は、決して環境的に日本と同様に清潔である国ばかりではなく、むしろ衛生面でも問題のある国も非常に多いのが現状です。他国の手洗いの習慣はよくわかりませんが、日本ほど手を洗う国は他にないでしょう。ということは日本の死亡者数が少ない理由は手洗いばかりではないということになります。

様々なタイプの新型コロナウイルスが確認され、その毒性もまちまちであるかもしれません。そして強毒性のタイプが広がった国では死亡者数が増加し、弱毒性のウイルスが広がった国では死亡者が少ないのかもしれません。しかしドイツの例を見ればわかるように、同じ国の中でも過去のBCGの接種の差で、死者数の差が大きく出ている国もあります。EUの中でも元の東ヨーロッパ諸国はほとんど同じように死者数が少ない状況です。ウイルスは歴史の知識はありませんから、このような違いがウイルスの毒性が違うウイルスによって起きているというのは不自然な気がします。

そうではなく、もしかしたら、BCGワクチンは強毒性のタイプのウイルスにより効果があり、そのような強いウイルスを拡大させていない可能性があるのかもしれません。

日本のBCGが脚光を浴びるかもしれません。また、都合よく考えすぎでしょうか?

「Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus?」

「100年前の結核ワクチンは新型コロナウイルスに対する免疫システムを強めることができるか?」(原文はここ

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コメント

  1. 通りがかり より:

    ナイスな視点ありがとうございます。1点、細かい間違いがあります。
    「100年前の結核ワクチンは新型コロナウイルスに対する免疫システムを退けることができるか?」
    steel the immune system は 鉄の鎧を着せて強くする という意味です。退ける では記事の意味と逆になってしまうことからも、ここは 退けるのではなく強めるだと思います。
    お邪魔致しました。

    • Dr.Shimizu より:

      通りがかりさん、ご指摘ありがとうございます。

      本当ですね、逆の意味になってしまいますね。修正しておきます。

  2. NANA より:

    Dr.Shimizuさん、

    新型コロナウイルスとBCGワクチンの関連をめぐる第2段の記事、興味深く読ませていただきました。大変参考になりました。アップありがとうございます。

    旧東ドイツ圏と旧西ドイツ圏では感染者数および死者数に大きな差が生じていて、それが両地域の人々のBCG接種環境(ワクチン株の違いや接種履歴など)と相関があるというご指摘はかなりインパクトがありました。

    もちろん、相関関係から強い因果推論を導くためには、まだまだ多くのデータや根拠を求められるだろうと思いますが、この件に関しては腰を据えた情報収集の必要性を感じています。

    自分なりに何か新しい事実や情報等が得られたらまたコメントさせてください。

    • Dr.Shimizu より:

      NANAさん、コメントありがとうございます。

      私自身もドイツの内容を最初に見たときには鳥肌が立つような感覚でした。
      中国から他の国に感染が拡大し始めたときに、専門家か誰かが、これが医療が非常に乏しいアフリカ諸国に広がったら、
      ものすごい死者の数になる、というような主旨のことを話していました。
      現実は逆のことが起きています。先進国は全てが進んでおり、発展途上国よりも上の存在だという慢心があったのでしょうね。
      もちろんこれからどうなるかはわかりませんが。

      何か良い情報があれば是非教えて下さい。

  3. 太田 より:

    清水先生は私から見たらやっぱり武闘派です。「ひとりごと」はタイムリーで一番面白いです。凄く興味が湧きます。ちゃかしているわけではないです。毎日、更新なさるご苦労を思い尊敬もしています。
    糖尿病や年輩の方が重症化するみたいですが、年輩の方は持病を持ってらっしゃる方も多いでしょうが、血糖コントロールも良くない方も多いのではと思います。
    インスリンを射っていた時期に、よく50歳代の人達に血糖値を測って欲しいとよく頼まれていました。食後の血糖値180(mg/dl)、とか230(mg/dl)の人達が・・。
    『医者じゃないからコメントしない』で済ませていましたけれども。
    年寄り(69歳)ですが、糖質制限して、血糖コントロールは良好でBCG接種も受けていますので、少しは安心してはいます。もちろん節度ある行動はしています。

    • Dr.Shimizu より:

      太田さん、コメントありがとうございます。

      武闘派ですか?喜んでいいのか、それとも・・・
      今回のBCGの内容は、正直言ってミステリー小説の最後の謎解きよりも面白かったです。(病気、人の生死にかかわることなので、面白いというは不適切ですが。)
      最後の1ページで更なるどんでん返しがあるかもしれませんが。
      最後のページまで糖質制限で免疫力を保ち過ごしていけると良いと思います。

  4. Kazu より:

    糖質セイゲニストです。夏井先生のブログを愛読している中で、ドクターシミズのこのHPを知り、データに基づいた内容に敬意を払いながらこちらも愛読しています。
    ところで、最近、フランスを旅行してきました。こんな時に海外旅行していることに社会的な批判が多いことは甘んじて受けます。しかし、この時しか行けなかった。かなり慎重に行動してました。フランスの感染地図を見ながら、レンタカーの旅でした。3月13日にフランスに着いた時点では日本と大きく変わらなかった。しかし、15日からレストランは閉鎖された。その後、スーパーで食材を買いながら旅行は可能と判断、西部のボルドーなど、旅を継続。しかし、16日の深夜に事態はさらに悪化し、マクロン大統領のテレビ演説があり、その後外務省からの緊急メールを受け、帰国の準備となった。翌朝のスーパーは開店前から行列ができ、買いだめに殺到した市民の姿にどこも同じかと感じました。幸いに20日に帰国でき、現在、自宅待機中です。
    そんな時、この記事に接して、感覚的に「成る程」あるかもと得心してしまいました。フランスの短期での感染拡大と国民の慌てぶりは、今いる日本と比べられない程の状況と思います。
    今後のデータの解析と併せて先生の鋭い見識に期待しております。

    • Dr.Shimizu より:

      Kazuさん、コメントありがとうございます。

      フランス旅行大変でしたね。フランス、イタリア、スペインなどの拡大スピードは凄かったですからね。
      日本でもこれほどのスピードであればパニックです。
      こりもせず、明日またBCG第3弾リリース予定です。よろしければ読んでみてください。

  5. aiai より:

    高血圧と糖尿病で 重症化するのは 減塩食に原因があると思います
    私は 高血圧なので 必死に考えて 自己防衛しようとして 食事にたどり着きました
    塩分は 免疫力を高めるという書籍も出ている様です
    今回 減塩をやめて 少しくらい高血圧でも 塩分を取ろうとしています

    どなたか この仮説を証明してくださる方はいませんか??

    • Dr.Shimizu より:

      aiaiさん、コメントありがとうございます。

      重症化と塩分の関係について根拠を述べていただけると助かります。高血圧の原因はほとんどは塩分ではありません。
      糖質制限をしている限り塩分制限は必要ありません。