新型コロナウイルスと肥満

やはりどうやら政府は緊急事態宣言を5月6日で解除するつもりはないようですね。ある記事によると、橋下徹さんの話で「政府専門家会議の西浦さんは、緊急事態宣言の解除は、クラスター対策が機能する感染者数に落ちることが目途と発言。目安として挙げた1日10人程度は、全国でなのか東京でなのか不明だったが。」と書かれていました。(記事はここ)専門家はまだクラスター対策に固執しているようです。FAXやハンコという昭和文化が日本でいまだに残るわけですね。この専門家の先生は自分の数理モデルを修正するという考えもないのでしょうか?自分の理論が国を動かしているのを楽しんでいるのでしょうか?

日本は明らかに緊急事態宣言の効果が出る前から減少傾向にあります。死者数も4月29日現在で435人でしかありません。高齢者を中心に3~4か月間で400人肺炎で亡くなっても、全く不思議なことではありません。通常の状態です。いつもの年に1月に肺炎で1万人死んでいることを思い出してください。もちろん、重症者もかなりいて、医療を圧迫し、各地で医療や介護崩壊状態です。(図はここより)

上の図は上が全国の人工呼吸器装着者の推移、下が東京の人工呼吸器装着者の推移です。全国のピークは4月27日で315で、4月29日では293となっています。東京は4月24日がピークで88ですが、4月29日では大きく減って65となっています。東京以外の関東ではまだ減少傾向となっていませんし、北海道は増加しています。この中での年齢分布はわかりません。

感染による死者のほとんどは高齢者、しかし今後増えるであろう経済的な死者の多くは比較的若い世代です。親である比較的若い世代が死に追いやられれば、その子供たちも普通に生きていくことが困難になります。犠牲者をできる限り少なくすることは重要でしょうが、一人の犠牲者も出さずに今を乗り切ることはできません。これからの日本を考えて、全体的な犠牲を少なくする方向は明白です。医療現場で命の線引きは難しいでしょうが、将来を考えて敢えて国が示すべきでしょう。

多くの感染爆発国でさえ、経済活動を再開させようとしています。日本は補償も出さずに経済をストップさせています。パチンコ屋を擁護したいとは思いませんが、自粛しないパチンコ屋を非難するのは間違っています。休業要請に応じない店に罰則を検討?マスコミもこぞって報道しています。マスコミは国営でしょうか?補償を出さない国を責めるべきでしょう。要請に従って休業したところは経済的に苦しくなります。このままでは正直者がバカを見ます。

あと1か月緊急事態宣言を延長するとしたら、どんな根拠で、そしてその間の国民に対する補償はどれだけするか?を明確に説明することが、今の政府にできるのでしょうか?現状であと1か月なんて多くの国民は耐えられません。

最近の安部さんは、覇気がなくなっているように見えます。責任から逃避し始めているのかもしれません。もう退場していただきたいですが、その後もいないし…

さて、新型コロナウイルスの重症化のリスクは、高血圧や糖尿病、心血管疾患など様々な基礎疾患と共に肥満が挙げられています。CDCの発表では入院の89.3%に1つ以上の基礎疾患がありました。最も一般的なのは高血圧(49.7%)、肥満(48.3%)、慢性肺疾患(34.6%)、糖尿病(28.3%)、心血管疾患(27.8%)です。(ここ参照。表もここから改変)ただ下の表のように、比較的若い世代では肥満が最も多く、18〜49歳の患者では、肥満が最も一般的な基礎疾患であり、続いて慢性肺疾患(主に喘息)と糖尿病が続きました。50〜64歳の患者では、肥満が最も多く、高血圧、糖尿病が続きました。

 
年齢層、人数/合計(%)
全体18〜4950〜6465歳以上
基礎疾患あり159/178(89.3)41/48(85.4)51/59(86.4)67/71(94.4)
高血圧79/159(49.7)7/40(17.5)27/57(47.4)45/62(72.6)
肥満73/151(48.3)23/39(59.0)25/51(49.0)25/61(41.0)
慢性代謝性疾患60/166(36.1)10/46(21.7)21/56(37.5)29/64(45.3)
 糖尿病47/166(28.3)9/46(19.6)18/56(32.1)20/64(31.3)
慢性肺疾患55/159(34.6)16/44(36.4)15/53(28.3)24/62(38.7)
   喘息27/159(17.0)12/44(27.3)7/53(13.2)8/62(12.9)
   慢性閉塞性肺疾患17/159(10.7)0/44(0.0)3/53(5.7)14/62(22.6)
循環器疾患45/162(27.8)2/43(4.7)11/56(19.6)32/63(50.8)
   冠動脈疾患23/162(14.2)0/43(0.0)7/56(12.5)16/63(25.4)
   うっ血性心不全11/162(6.8)2/43(4.7)3/56(5.4)6/63(9.5)
神経疾患22/157(14.0)4/42(9.5)4/55(7.3)14/60(23.3)
腎疾患20/153(13.1)3/41(7.3)2/53(3.8)15/59(25.4)
免疫抑制状態15/156(9.6)5/43(11.6)4/54(7.4)6/59(10.2)
胃腸/肝臓病10/152(6.6)4/42(9.5)0/54(0.0)6/56(10.7)
血液疾患9/156(5.8)1/43(2.3)1/55(1.8)7/58(12.1)
リウマチ性/自己免疫疾患3/154(1.9)1/42(2.4)0/54(0.0)2/58(3.4)
妊娠3/33(9.1)3/33(9.1)なしなし

ニューヨークの報告では、BMIが30未満の人と比較して、BMI30~40では入院の可能性が4.26倍、BMI40以上になると6.2倍でした。重症化はBMI30~40で1.38倍、40以上で1.73倍でした。(この論文参照)

アメリカでは必ずしも高齢者だけの問題ではありません。他の報告では、60歳未満であってもBMI30未満の人と比較して、BMIが30~34ではICU入室の可能性は1.8倍、35以上になると3.6倍と倍増していました。(この論文より)

アメリカほど肥満が多くないアジアでも体重が多いことはリスクのようです。中国の報告でも肥満と肺炎の重症化との関連を認めています。(この論文参照)BMIが24未満の人と比較して、肺炎の重症化の可能性はBMI24~27.9で1.86倍、28以上で3.42倍でした。男女別にみると、女性はBMIによる有意差は無く、男性ではBMI28以上で5.7倍にもなっていました。

フランスの報告でも肥満は重症化のリスクでした。対象となった人は、平均年齢60歳で51~70歳の人でした。(この論文参照)

人工呼吸管理を必要とする可能性は、BMI25未満の人と比較して、BMI25~30で1.69倍、BMI30~35で3.45倍、BMI35以上で7.36倍と倍々に増加しました。また男性は2.83倍でした。(図はこの論文より)

上の図はBMI別のICU入院中に人工呼吸管理が必要になった割合です。BMI25未満では約47%であったのに対し、BMI35以上では85.7%もの人が人工呼吸が必要でした。

肥満では、ウイルスを長く保持しているかもしれません。以前の記事「肥満はA型インフルエンザウイルスを長期間排出する」で書いたように、肥満だとインフルエンザのウイルスを42%も長期間排出している可能性があります。

しかも、脂肪組織は病原体のリザーバーの役割を担っている可能性もあります。脂肪組織は、ヒトアデノウイルス、A型インフルエンザウイルス、エイズウイルス、サイトメガロウイルス、結核菌、リーシュマニア寄生虫などのリザーバーとして機能しているという研究があります。(この論文参照)そうであれば、新型コロナウイルスも脂肪組織にも感染し、他の臓器に広がる可能性があります。

肥満は様々な病気に関連しています。今回の新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症でも肥満はリスクとなります。肥満は糖質過剰摂取、高インスリン血症により起こっています。今からでも糖質制限は遅くはないでしょう。

アジア人、BCGなど日本人に有利な点はいくつもあります。ただ日本人でもBMI25以上で特に男性は十分に注意が必要でしょう。糖質制限をしている人にはほとんど関係ないですが。

糖質過剰症候群

「Risk of COVID‐19 for patients with obesity」

「肥満患者のCOVID-19のリスク」(原文はここ

コメント

  1. ぱぱろー より:

    シズミ先生
    いつも拝見させて頂きありがとうございます。

    上記CDCの「年齢層、人数/合計(%)」のグラフはアメリカからの出典でしょうか。
    (ここ参照。表もここから改変)が開く事が出来ません。
    nの178はCOVITー19の重症者の数だと思いますが、ランダムな抽出と理解して宜しいでしょうか。

    お忙しい所誠に申し訳御座いませんが、何卒宜しくお願い申し上げます。

    • Dr.Shimizu より:

      ぱぱろーさん、申し訳ありませんでした。

      リンク修正しました。リンクのTableをご覧ください。