アビガン中間報告 何とも微妙

新型コロナウイルスの治療薬として安倍首相が推している、アビガンですが、この度中間報告が出ました。結果は何とも微妙ですね。5月承認を目指すと言っていましたが、もちろん難しく、対照群と比較したものではないので、効果があるかどうかさえ分かりません。

軽症患者が976人(45%)、中等症患者が947人(44%)、重症患者が235人(11%)で、10~30歳代が10%、40~60歳代が59%、70歳代以上の高齢者は32%、男性が約7割でした。糖尿病が24%、心血管疾患が25%、慢性肺疾患が12%、免疫抑制状態にある人が7%と全体の49%に基礎疾患がありました。(図は原文より)

投与14日目までに軽症、中等症では85%前後改善していますが、重症では60%程度です。入院約1カ月後までの転帰を見ると、死亡率は軽症で5.1%、中等症で12.7%、重症では31.7%でした。

年齢別の経過を見ても、改善は年齢が高くなるにつれ少なくなりますし、逆に死亡率は高くなっていきます。当然でしょう。20代で亡くなった力士にも使用されていたようです。40代で7.5%が死亡または増悪というのはちょっと気になりますね。

上の図は有害事象です。高尿酸血症・尿酸値上昇が15.5%で認められましたが、大きな問題は起きていないようで、安全性は高いと思われます。ただ臨床試験時の尿酸値上昇の割合よりも3倍ほどになっているのは投与量が多いからかもしれません。

もともと8割以上軽症である新型コロナウイルスなので、アビガンが効果があったかどうかは全くわかりません。安全性はある程度わかりましたが、有効性は評価不能です。日本人は重症化も非常に少ないので、もっと感染が拡大し、重症化が多い国で評価しないと何とも言えませんね。

最初目指していた季節性インフルエンザに対する承認に対する臨床試験でも、タミフルに負けていた情けないアビガンですから、本当に期待できるのか?世に出る最後のチャンスかもしれませんからね。他の国の結果を見てみたいですね。

 

「ファビピラビル観察研究中間報告」(原文はここ

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