家族性高コレステロール血症の食事は低飽和脂肪酸、低コレステロールではなく、糖質制限にすべき その2

以前の記事「家族性高コレステロール血症の食事は低飽和脂肪酸、低コレステロールではなく、糖質制限にすべき その1」では、家族性高コレステロール血症(FH)でもLDLコレステロールと関係なく、中性脂肪値が高いと心血管疾患のリスクが高くなることを書きました。今回はその続きです。

まずはフィブリノーゲンとの関連を見てみましょう。(図はその1の論文より)

上の図は赤いバーが冠動脈疾患あり、青いバーが冠動脈疾患なしです。左からホモ接合体FH、ヘテロ接合体FH、FHでない人の血漿フィブリノーゲン値です。フィブリノーゲンが300未満は冠動脈疾患の発生率の低下に関連しています。FHの冠動脈疾患はLDLコレステロールによるものではなく、凝固亢進が原因であることが示唆されます。

フィブリノーゲンの増加はインスリン抵抗性と大きく関連しています。(この論文この論文)つまり、糖質過剰摂取で高血糖、高インスリン血症、そしてインスリン抵抗性となり、炎症を起こし、フィブリノーゲンが増加し、凝固系の亢進と線溶系の抑制が起きて、冠動脈疾患が起こる可能性が高くなると推測されます。(「高血糖は凝固を促進し、高インスリン血症は線溶を阻害する」参照)

では、FHのインスリン抵抗性との関連を見てみましょう。(図は原文より)

上の図は1本以上の冠動脈に50%以上の狭窄が起こる相対的な可能性を示しています。左がFHでない人、右がFHの人です。横軸は腹囲の(Low:95cm未満)と(High:95cm以上)で分けています。Z軸は空腹時のインスリン値です。手前が(Low:15mU/L未満)と奥が(High:15mU/L以上)です。LDLコレステロールで調整をしているので、LDLコレステロールとは無関係です。

そうすると、インスリンが低値の場合、FHの人とFHではない人で、腹囲にかかわらず有意差はありませんでした。しかし、インスリン値が高値の場合どちらの人も、冠動脈疾患の可能性は2倍以上となり、インスリン高値+腹囲高値であるFHの人では、7.6倍にもなっていました。

つまり、腹部肥満と高インスリン血症は相乗的に作用して、FHの人の心血管疾患のリスクを大幅に増加させると考えられます。LDLコレステロールではなく、内臓脂肪とインスリンを低下させることが重要です。そうすれば、FHであろうとなかろうとリスクは低くなるのです。

腹部肥満と高インスリン血症は糖質過剰摂取で起こります。

さらに、少し古い研究ではFHの人に高脂肪食、高コレステロール食を摂取させて、その時の血液データを分析しています。(この論文参照)

FHの人4人に通常食(15%タンパク質、30%脂質、55%炭水化物、300mg/日コレステロール)、高脂肪食は、脂質が55%、炭水化物が30%であることを除いて通常食と同一、高脂肪高コレステロール食は、約750または約1,500mg/日のコレステロールが追加されたことを除いて高脂肪食と同じ、という3種類の食事を摂取してもらいました。

その結果、高脂肪高コレステロール食では空腹時VLDLは低下、LDLは変化なし、HDLは上昇しました。VLDLの組成が変更され、中性脂肪の割合が低下し、コレステロールが上昇しました。つまり、通常よりも炭水化物の割合を低下させ、脂質とコレステロールを増加させた食事では、FHの人でも中性脂肪が低下し、HDLコレステロールは増加し、LDLコレステロールに変化はなかったのです。

糖質制限を行うと、小さな危険なsdLDLは低下、HDLは増加、中性脂肪は低下します。さらに体重、炎症、空腹時血糖、インスリンなども大きく減少します。これらは全て心血管疾患に有利なことばかりです。FHでもインスリン分泌を低下させ、中性脂肪を低下させることが大きな利益をもたらすはずです。LDLコレステロールは関連していません。

FHでもそうでなくても、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を減らす必要はありません。FHではしっかりと糖質制限をすべきです。

糖質過剰症候群

「Relationships of Abdominal Obesity and Hyperinsulinemia to Angiographically Assessed Coronary Artery Disease in Men With Known Mutations in the LDL Receptor Gene」

「LDL受容体遺伝子に変異がある男性における腹部肥満および高インスリン血症と血管造影で評価された冠動脈疾患との関係」(原文はここ