飽和脂肪酸と心血管疾患の関連はいまだにはっきりしません。私は全く関係していないと思っています。ほとんどの研究では、質の低い、食事アンケートをもとにした研究でしかないので、結果は信頼できません。
今年の5月にコクランで飽和脂肪酸と心血管疾患の関連に関する新しい報告が出ました。この研究は15件のランダム化比較試験(RCT)のメタ分析で約59,000人の参加者です。それは、すべての食糧を提供することから、飽和脂肪を減らすことについてのアドバイスまで、さまざまな介入を使用した試験です。食事介入の予定期間は少なくとも2年でした。エビデンスレベルは最高です。
しかし、2020年に発表されたのに、含まれているRCTは1966年から2006年に公開された研究です。ここ10年以上はRCTが存在しないのか、意図的に外したのかはわかりません。
結果は次の通りです。(図は原文より)
上の図の表の3つ目、心血管イベントの組み合わせについては有意差がありました。食事からの飽和脂肪酸を減らすと、心血管イベントの組み合わせのリスクが21%減少することが示されました。リスク比(RR)0.79です。やっぱり飽和脂肪酸は悪いのでしょうか?
心血管イベントの組み合わせというのは、心血管死、心血管疾患罹患率(非致死性心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全、末梢血管イベント、心房細動)および計画外の心血管介入(冠動脈バイパス手術または 血管形成術)です。このように全ての心血管イベントを集めると有意差が出てくるようです。心房細動まで含める必要があるかどうか…?心房細動と脂肪酸の関係ははっきりしないと思いますが…?心房細動を含めないと有意差が出ないのかもしれません。
また、心血管イベントの減少の分析に含まれる試験を見ると、12件の試験のうち9件は低飽和脂肪酸グループと高飽和脂肪酸グループの間で心血管イベントに差はありませんでした。つまり、心血管イベントの減少を示す試験は3つしかなかったということです。
NNT(治療必要数:ある結果に到達する患者を1人減らすために、何人の患者の治療を必要とするかを表したもの)は56でした。つまり心血管イベントの発生をたった1人回避するには、56人が約4年間、飽和脂肪の摂取量を減らす必要があります。
しかし、それ以外の個々の心血管疾患の罹患率や死亡率では有意差はありませんでした。全原因死亡率も、心血管疾患での死亡率も飽和脂肪酸の摂取と関連していないのです。
上の図は横軸が飽和脂肪酸からのエネルギー摂取量の割合です。縦軸はイベントのリスクです。CVD events(心血管イベント)で7%と8%でリスクが0.2と低いように見えますが、非常のデータのばらつきが大きく有意差はありません。そしてほとんど全てで有意差がありません。日本の厚労省の基準では飽和脂肪酸はエネルギー摂取量の7%以下としています。
つまり、厚労省が掲げている飽和脂肪酸の摂取割合を大きく上回る13%であっても、様々な心血管疾患の罹患率や死亡率の上昇は認められていないのです。
いつも書いているように、この研究はすべて糖質過剰摂取によるものです。糖質を過剰摂取しながら、飽和脂肪酸を増やしたり減らしたりして研究しているのです。それでこのような実に微妙な結果でしかありません。
糖質制限の有無で心血管疾患のリスクを評価してみないとはっきりしたことはわかりませんが、私は糖質制限ではっきりしたリスク低下が認められると思っています。心血管疾患は糖質過剰症候群ですから。
飽和脂肪酸摂取量を減らして得られるのはNNT56です。4年間飽和脂肪酸を減らしてやっと1人心血管疾患のリスクが回避できるのです。56人の中の1人に入る自信があるのであれば、飽和脂肪酸を減らしてみてください。
私は今日もたっぷり飽和脂肪酸を摂取します。
「Reduction in Saturated Fat Intake for Cardiovascular Disease」
「心血管疾患のための飽和脂肪酸摂取量の削減」(原文はここ)
ネット情報ですが、筋トレ後は炭水化物を積極的に摂取しないと筋肉量が減ってしまう
(「オリーブイルをひとまわし」というサイトでした)。
という記事もあれば、(偏見かもしれませんが)炭水化物大好きそうな蛭子能収(エビスヨシカズ)さんの認知症カミングアウトの記事もあり、色々考えさせられます。
脂肪=悪、炭水化物(日本人は特にお米!)=必須、
という偏見のほうはなかなか改善されませんね。
どうぞ、ご自由に、という感じですが、、、
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
このブログもネットの情報です。情報はあふれているので、何を選ぶかが重要でしょう。
脂肪酸と言えばトランス脂肪酸は気にしてます。マーガリンは食べない。その他は油で揚げたもの、フライドポテト、ケーキ、ドーナツ等も食べない。脂肪というより炭水化物の問題でしょうか。バター、肉料理等は良く食べます。肉に飽和脂肪酸が多く含まれているので注意が必要などとの記事が多いですね。何故か理解出来ません。牛肉、豚肉共に不飽和脂肪酸の方が多く含まれています。特に高級和牛肉はオレイン酸が50%以上はあります。と言ってもそうそう買えませんが。
Kazuさん、コメントありがとうございます。
トランス脂肪酸は論外ですが、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合がどれが好ましいかはわかりませんし、気にもしていません。
世の中は脂肪悪玉説からなかなか脱却はできないでしょう。
68歳の男です。35年前に胆嚢をポリープで摘出。コレステロールが高くて食事の肉と卵をやめて魚と野菜中心でコレステロールが240にまで下がりましたが、「うつ」になりました。スタチンを勧められ飲んで170にまで下がり喜んでいましたが、筋肉痛に悩まされ、胸の筋肉がつってしまって息ができなくなって、スタチンはやめました。ピロリ菌除菌後に胸やけから喘息になって、ステロイド吸入を3年間は一日も欠かさずやりました。その間は地獄でした。医者通いもステロイドもすっぱりとやめて4年になります。いまは糖質制限と筋トレとうつ伏せ寝で発作からは解放されました。スタチンで筋肉が溶解し、ステロイドでうつになりました。栄養療法ができる医者はいません。薬を勧めることしかできない医者。喘息は完治せず、逆流性食道炎と慢性副鼻腔炎が喘息の要因ではないかと疑っています。喘息は呼吸器内科とアレルギー内科、逆流性食道炎は消化器内科、副鼻腔炎は耳鼻科・・・。ジプシーはもうやめました。
アラジンさん、コメントありがとうございます。
大人になってから発症する喘息の中には逆流性食道炎によるものが結構知ると思っています。
糖質制限で改善良かったですね。
医学が専門化されすぎて、それぞれが勝手に薬を処方するものですから、医師に任せてしまうとどんどん薬が増えてしまいます。