マグネシウムは非常に重要なミネラルですが、血中濃度があまり変化せず、その不足を感知することが難しいのが難点です。
しかし、糖尿病では特にマグネシウムが欠乏しやすく、またマグネシウム不足はインスリン感受性を低下させると考えられています。
今回の研究ではマグネシウムの摂取が2型糖尿病の人にどのような影響を与えるか調べています。
マグネシウム摂取群は毎日250mgのマグネシウムサプリを3か月摂りました。ちなみに血中のマグネシウムの基準値は1.8~2.6mg/dLですが、コントロール群もマグネシウム摂取群もこの基準値内に入っていました。(表は原文より改変)
コントロール | マグネシウム摂取 | |||
---|---|---|---|---|
前 | 後 | 前 | 後 | |
空腹時血糖(mg/dL) | 159.05 | 168.6 | 158.6 | 148.05 |
HbA1c(%) | 8.02 | 8.49 | 8.32 | 7.96 |
インスリン値(μIU/ mL) | 13.06 | 16.75 | 15.65 | 12.18 |
C-ペプチド(ng/mL) | 2.19 | 2.49 | 2.28 | 1.90 |
HOMA-IR | 5.14 | 7.15 | 6.16 | 4.44 |
HOMA-β% | 53.24 | 59.21 | 59.99 | 52.37 |
上の表はグループ間の血糖コントロール指標の違いです。マグネシウム摂取群では、空腹時血糖、HbA1c、インスリン値、C-ペプチド、HOMA-IR、HOMA-βすべてが低下していました。ただ、コントロール群の値が3か月でかなり悪化しているので、何を食べたのだか…?
いずれにしても、マグネシウムは重要でしょう。もちろん過剰摂取は危険ですが、多くの人は不足していると思います。私も多くの患者さんに積極的に摂取するように勧めています。
足などどこかが頻繁に攣るようであれば、マグネシウム不足の可能性があります。(「減塩食品があるのに増マグネシウム食品はなぜないのか?」参照)
「The Effects of Oral Magnesium Supplementation on Glycemic Response among Type 2 Diabetes Patients」
「2型糖尿病患者の血糖反応に対する経口マグネシウムサプリメントの効果」(原文はここ)
昨日の機能性低血糖ですが、
糖質制限を始める前、よく寝汗を掻くことがありました。夜中に着替えるほど大量の汗です。
そして、夕食後は毎晩のように急激な眠気でリビングで眠ってしまう事もしばしばありました。
このころは仕事も忙しく、疲れているのかと思っていましたが、他にも手首関節の痛みや手の浮腫みなども整形外科での治療効果が全くない症状も続いていました。
それからしばらくして、75gOGTT(2時間)を受けて、糖尿病と診断されたのですが、検査が終わり、帰宅してOGTT開始から4時間あたりで異様な眠気で起き上がるのも億劫な状態になりました。
この時のリブレの値が測定下限の40mg/dLで、食パン1枚を補食しました。
今、考えると夜中の大量の汗も夕食後の異様な眠気も食後の低血糖だったのだろうと思われます。現在は、糖質制限で全ての症状は解消しています。
そして、本日のマグネシウムですが、
糖質制限を始めてしばらくすると夜中にこむら返りを頻発するようになりました。
最初は水分不足や冷えかと思い、意識的に水分を多く摂取してみましたが、効果があるようには思えませんでした。
さらにサプリメントでマグネシウムを摂取してみました。一応、効果は感じられ、頻度はかなり少なくなりましたが、完全とは言えない状態でした。
その頃、少し便秘気味で腸内環境が良くない事が気になってはいましたが、大したことはなく、放置状態でした。
ある時、マグネシウムは腸内で金属トランスポーターによって吸収されることを知り、その金属トランスポーターは腸管上皮細胞で産生されると分かり、腸内環境の悪化と関係がありそうだと気付きました。
腸管上皮細胞の唯一ともいえるエネルギー源は、短鎖脂肪酸であり、それを産生するのが腸内細菌であることも分かりました。
早速、腸内細菌叢を健全にするために、その餌となるフラクトオリゴ糖(血糖値に影響しない)、エネルギー源の短鎖脂肪酸を含むリンゴ酢の摂取などを試したところ、ほどなく便秘は解消し、それに伴い、こむら返りも発生しなくなりました。
現在は、マグネシウムサプリは摂取せず、フラクトオリゴ糖のみでこむら返りは起きなくなっています。
マグネシウムの吸収率が上がったと理解していますが、不足には摂取量と吸収率の両方を改善する必要性を経験しました。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
マグネシウムは確かに吸収面も重要でしょうね。糖尿病では腸内細菌も悪く、吸収も悪い可能性もありそうですね。
フラクトオリゴ糖興味深いですね。
夜間の低血糖については記事にさせていただきます。
私も物凄い寝汗がありました。寝巻や羽毛布団を雑巾絞りできそうなくらいの量でした。あれは低血糖の可能性が高かったのですか。気づきをありがとうございます。
ほそかわさん、コメントありがとうございます。
私も糖質制限前は寝汗をかくことが多かった気がします。低血糖になっていた可能性大ですね。