ときどき、かなりの肥満にも関わらず、血液検査などを行っても全く異常が見つからない方もいます。そのような「健康な」肥満というのは本当は健康のリスクは高くはないのでしょうか?

そのことを調査した研究がヨーロッパで発表されました。かなり大規模な研究で、350万人を対象としています。

ポルトガルで行われた今年の欧州肥満会議で発表された研究では、いわゆる「代謝的に健康な」肥満の人々が、心不全や脳卒中などの心血管疾患のリスクが依然として標準体重の人と比べて高いことがわかりました。

代謝的に健康な肥満を有する人々(BMIが30以上)は、臨床的には肥満であるのですが、脂質異常や砂糖のコントロール不良または糖尿病、および高血圧など、通常であれば肥満に伴う合併症がない人たちです。代謝的に健康な肥満が心血管疾患イベントのリスク増加と関連するかどうかは議論となっています。

この研究者は、1995年から2015年にかけて、健康増進ネットワーク(THIN)(英国の大規模なデータベース)にリンクされた電子健康記録を使用して、18歳以上で最初は心血管疾患がない350万人の集団を集めました。代謝的に健康を判断するために、BMIと3つの代謝異常(糖尿病、高血圧、高脂血症)の有無をグループ化し、代謝異常を作り出したスコア化(0,1,2および3)しました。代謝的に健康な肥満として分類されるのは、これらの代謝異常のいずれも有していない人だけです。

この研究では、4つの心血管疾患(冠状動脈性心疾患、脳血管疾患(一過性虚血発作または脳卒中)、心不全、および末梢血管疾患について、代謝異常のない標準体重の人と代謝的に健康な肥満の人で比較しました。

代謝異常のない標準体重の人と比較して、代謝的に健康な肥満の人は冠状動脈性心疾患のリスクが50%増加していることがわかりました。人口統計および喫煙行動を考慮した後でも、脳血管疾患のリスクが7%増加し、心不全のリスクが2倍(すべて統計的に有意)でした。また、代謝的に健康な肥満の人は末梢血管疾患のリスクが9%低かったのですが、喫煙者を除外したさらなる分析では、代謝的に健康な肥満の人は、代謝異常がない標準体重の人と比べて末梢血管疾患を発症するリスクが有意に(11%)高かったのです。

また、肥満における心血管疾患イベントのリスクは、その人が持っている代謝異常の数の増加と共に増加することを示しました。例えば、代謝異常がない標準体重の人と比較して、3つの代謝異常を有する肥満の人では、冠状動脈性心疾患のリスクが2.6倍に上昇しました。脳卒中を含む脳血管疾患リスクが58%増加、心不全のリスクが3.8倍、末梢血管疾患のリスクが2.2倍に上昇しました。

これらのデータは、代謝的に健康な肥満の人は、標準体重の代謝的に健康な人よりも冠状動脈性心疾患、脳血管疾患および心不全のリスクが高いことを示しています。代謝異常の有無にかかわらず、肥満者の体重減少は非常に重要であることを意味しています。

これからは、いわゆる「代謝的に健康な」肥満は無害な状態ではないので、安易に「健康」という言葉を使わない方が良いかもしれません。

 

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