フリースタイルリブレを使った人体実験その4 スポーツドリンクは危険なドリンクか?

脱水になっている体を癒す目的なのか、フルマラソンのレース後には通常、スポーツドリンクや水などがゴールしたランナーに配られます。そのまま持っている人もいますが、その場で一気飲みをする人もたくさんいます。珍しい光景ではありません。脱水気味なので500mlの水分はすぐに飲めてしまいますし、非常においしく感じます。

私も以前はゴール後に配られたスポーツドリンクをほとんど一気飲みしていました。それでも足らないくらいで、さらに追加で飲むことさえありました。

しかし、今はスポーツドリンクを受け取らないか、家に持って帰ることもあります。絶対に飲みません。逆にスポーツドリンクを飲まなくなって、レース後に飲む水分の量は減ったように感じます。

今回の洞爺湖マラソンでもゴール後にスポーツドリンクの代名詞でもある、「ポカリスエット」の500mlのペットボトルが配られました。せっかくフリースタイルリブレを付けているのだから、以前のように一気飲みしたらどうなるかを確かめたくて、命がけ(大袈裟?)でやってみました。

そうしたら、見事にすごいことが起きました。予想以上の反応を体は示しました。

次のグラフを見てください。

 

 

(クリックで拡大)

青いグラフがフリースタイルリブレのグルコース値(血糖値)を表しています。ポカリを飲む前は94という値でした。洞爺湖のマラソンはレース後無料で洞爺湖温泉街の温泉に入れます。温泉に入った後のグルコース値(血糖値)は一気に142まで上がっていました。これは先日記事にしたお風呂の血糖値上昇効果です。入浴しなければもう少しなだらかにグルコース値(血糖値)が上昇したと思います。

液体なので吸収も早く、ピークも早く45分~1時間ぐらいだろうと予測していましたが、1時間30分後でも低下してきません。おや?と思っていましたが、その後もさらに上昇を続け、ピークは何と2時間35分後で198という驚きの数値を叩き出しました。その数値を見て具合が悪くなったのか、それともマラソンの疲れなのか、気分が悪いのと、軽い頭痛を感じていました。実際は血糖値が上昇したことによるものかもしれません。

通常の食事をしても血糖値は1時間前後でピークを迎え、3時間後までにはほとんどベースラインに戻ります。しかし、ピークがこんなに遅くなったということは、高血糖がまだ続くということです。4時間後でもまだベースラインには届かず、その後自宅に帰った後、自宅でもお風呂に入りました。そうしたところ、またお風呂の血糖値上昇効果が認められました。

そして、ベースラインにグルコース値(血糖値)が戻ったのが5時間後です。

通常、マラソンや激しい運動の後はグリコーゲンがかなり減少しているので、それを補充するために、糖質をしっかり摂った方が良い、と言われています。本当でしょうか?

ある研究では運動後に減ったグリコーゲンは糖質を摂ろうと、摂ろまいと同じように増加するとしています。狩猟採集生活でグリコーゲンが減ったときを考えると、自然にまたグリコーゲンが補充されないのであれば、大変なことになる可能性があると思いませんか?敵がいつ来るかわからない、いつ戦わなければならないかわからない、全力で逃げなければならないかもしれない。そんな状態で、グリコーゲンは大切なものです。食べ物に関わらず、減ったらすぐに補充される仕組みになっている、と考える方が自然でしょう。

あたかも乾燥した土に水を撒くように、渇いた体、糖質の少なくなった筋肉などの組織に、スポーツドリンクを飲めば、すーっと水や糖質がしみ込んでいくイメージでいませんでしたか?

水分は今回のデータでわかりませんが、糖質だけを考えれば、このすーっとしみ込むことは全くの勘違いだと思います。もちろん実験の対象が一人である、n=1、なので本当のところはわかりませんし、糖質制限をしているかどうかによる違いもわかりませんが、少なくとも私の体にはレース後のスポーツドリンクは毒にしかなりませんでした。

もう2度とレース後にスポーツドリンクを口にすることはないでしょう。

ポカリスエット500mlは糖質31gを含み、スポーツドリンクの中では最も多く糖質を含むものです。31gの糖質で、グルコース値(血糖値)104の上昇です。2型糖尿病のレベルです。人によって上がり方は様々ですから、全ての人に危険という訳ではないかもしれませんが、ほとんどの人はこんなことが起きているということも知らずにガブガブ飲んでいると思います。

もちろん、運動中に飲むことはまた反応が違うかもしれません。運動中は積極的に糖を筋肉に取り込む仕組みがあるからです。しかし、運動を中止してしまうと、それが直後であっても、この筋肉に取り込む仕組みが働かなくなってしまうという予測が成り立ちます。

マラソンをやっている人は多くは中高年です。レースだけではなく、通常の練習後にもスポーツドリンクを飲んでいる人はいるのではないでしょうか?一度、自分で血糖値測定器を用いて、スポーツドリンクを飲んだ後に血糖値がどうなるか調べることは重要だと思います。しかも今回のようにもしかしたら5時間程度の測定が必要かもしれません。そして、測定結果が良くないのであれば、思い切ってスポーツドリンクを廃止してみましょう。そうしないと選手生命だけでなく人間としての生命が短くなってしまうかもしれません。

また、小中高校生、大学生も含めて部活を盛んにやっている子供たちもスポーツドリンクの危険にさらされている可能性があります。もちろん子供たちは血糖値のことなど考えもしていないでしょう。だから、親御さんや先生などがちゃんと教えるべきだと思います。そして、水分補給は基本水やお茶、大量に汗をかいたときには水に塩を溶かして飲ませるようにしましょう。

2 thoughts on “フリースタイルリブレを使った人体実験その4 スポーツドリンクは危険なドリンクか?

  1. 清水先生 
    身体を張った人体実験、ありがとうございました。意味合いが少し違いますが、ご著書のタイトル通り、飲んではいけない!?ものの一つが判明して、有難い限りです。

    それにしても、この実験の結果が恐ろしいのは

    ・身体の筋肉はグリコーゲンが十分補充できるほど、空っぽになってるはず(糖質を引き取る能力が高くなっているはず)

    ・他の先生の投稿にもあるように、もしこれが当該ドリンクに問題があるのではなく清水先生にインスリン抵抗性(分泌遅延タイプ?)があるなら、ガンガンマラソンの練習をしていて身体を作っても、インスリン抵抗性という問題は改善されない可能性があるかも。。。と解釈できること

    ・血糖上昇の波を見ていると、一見すると当該スポーツドリンクは温泉のあとは、温泉入浴分が上乗せられている・・・と思ってしまいますが、いやはや何が何でも上げてやるぞ!の勢いで上がるところまで上がっていること(清水先生の当該ドリンクの耐糖能を試しているかのような限界値まで)

    こんなことが妄想出来て、怖いです。この投稿を何度も読み返していて、もしかすると、身体は細胞レベルで糖も含めたエネルギーの質を見極めてるのかも!?なんて、さらなる妄想をしてしまいました。人工甘味料も含め、身体の細胞は、『糖質かもしれないけど引き取れないよ、そんな質の悪いエネルギー源は!?』なんて言って、延々と引き取りを拒否、だから細胞外や血管内を延々と回されてしまう。コンビニのトラックが、引き取り手の無い糖質製品を延々に次の店、次の店と回ってるようなイメージが。。。いづれにしても、糖質は量も含め、質も見極めないと恐ろしいですね。
    失礼しました。

    1. Youさん、コメントありがとうございます。
      これは、「ポストマラソンパラドックス」と言って、私の体が問題ではありません(笑)
      いろいろな妄想は面白いですが、あながち間違っていないかもしれません。

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