再三、記事の中でフルーツジュースは飲まない方が良いという内容をお伝えしましたが(例えば「フルーツジュースは所詮、ジャンクフード!認知症になりたくないなら飲むな!」など)、アメリカ小児学会American Academy of Pediatrics(AAP)の新しい勧告では1歳未満にフルーツジュースを与えてはいけないとしています。(勧告の原文はここ)
アメリカ小児学会は2001年にも勧告を出していますが、その時は6か月未満の赤ちゃんを対象としていましたが、今回はそれをさらに広げました。
パッケージの表示に「100%フルーツジュース」と書いてあることを見ると、そのジュースが本物のフルーツの健康的な代替品だと思われるかもしれませんが、実際にはそうではありません。いくつかのフルーツジュースはビタミンCやカリウムなどのビタミンやミネラルが高められているものもありますが、砂糖が多く、食物繊維などの他の重要な栄養素も低くなっています。実際、調査によると、フルーツジュースの中には100mlでティースプーン2杯(約8g)の砂糖を含んでいるものがあります。
子供たちのフルーツジュース摂取による健康への影響が懸念されています。2015年に発表された研究では、フルーツジュースが歯の侵食の「最大の犯人」の1つであり、他の研究ではフルーツジュースの摂取が小児肥満に関連しているとしています。
6ヶ月未満の乳児にフルーツジュースを与える栄養学的にすすめていません。固形の食事に導入される前にジュースを子供に提供すると、ジュースが母乳や乳児用人工乳に取って代わり、タンパク質、脂肪、ビタミン、鉄、カルシウム、亜鉛などの鉱物の摂取量を減らす可能性があります。子どもの栄養失調や低身長は、ジュースの過剰消費と関連しています。
アメリカ小児学会は、現在までの証拠に基づき、「フルーツジュースは1歳未満の乳児には栄養上の利益をもたらさない」と結論付けているので、「親はフルーツジュースを健康と認識しているかもしれませんが、新鮮な果物を代用するのではなく、より多くの砂糖とカロリーを詰めこんでいるだけです。」「適度に少量であれば、年長の子供にとっては問題ありませんが、1歳未満の子供にとっては絶対に必要ありません。」と述べています。
1歳以上の小児への推奨量として、
1〜3歳の幼児の場合、1日たった4オンス(約120ml)まで、4〜6歳の子供は1日4〜6オンス(約120~180ml)まで摂取することを推奨しています。(1オンスは約30ml弱です。)7歳から18歳までの小児および青年の場合、1日8オンス(約240ml)に制限する必要があります。
さらに、幼児には1日中自由に飲むことができるボトルや「シッピーカップ」(取っ手とストローのついた小児用のカップ)にフルーツジュースを与えてはいけないということです。これらの器具は、ジュースの糖質への過度の歯の曝露を促進し、これが虫歯を引き起こす可能性があるのです。
勧告の結論は次の通りです。
結論
フルーツジュースは、1歳未満の乳児には栄養上の利点はありません。
フルーツジュースは、乳児や子供にとって本当のフルーツの栄養上の利点を提供していないし、子供の健康的な、バランスの取れた食事としての重要な役割を持っていません。
新鮮な100%フルーツジュースや再構成されたフルーツジュースは、バランスの取れた食事の一部として消費された場合、1歳以上の子供の健康的な食事の一部分になります。しかし、フルーツドリンクはフルーツジュースと栄養的に同等ではありません。
ジュースは脱水や下痢の管理には適していません。
過度のジュース消費は、栄養失調(栄養過多および栄養不足)と関連している可能性があります。
過度のジュース消費は、下痢、鼓腸、腹部膨満および虫歯に関連します。
殺菌されていないジュース製品には、重篤な病気を引き起こす可能性のある病原体が含まれている可能性があります。
子供の年齢に適した量で提供される様々なフルーツジュースは、重大な臨床症状を引き起こす可能性は低いです。
カルシウムを強化したジュースは、生物学的に利用可能なカルシウムとしばしばビタミンDを提供しますが、母乳、乳児用人工乳、または牛乳中に存在する他の栄養素を欠いています。
推奨事項
フルーツジュースは、臨床的に適応でない限り、12ヵ月齢前に乳児の食事に導入すべきではありません。ジュースの摂取量は、1歳〜3歳の幼児では最大で4オンス/日、4歳~6歳の子供の場合は4〜6オンス/日に制限する必要があります。7歳~18歳までの子供の場合、ジュース摂取量は1日8オンスまたは1日の推奨果物量である2〜2.5カップの内の1カップ分に制限する必要があります。
幼児は、1日中簡単にジュースを飲むことができるボトルや簡単に運搬可能なカバー付きカップでジュースを与えてはいけません。就寝前に幼児にジュースを与えてはいけません。
子どもたちは、毎日のフルーツ摂取量を満たすために本物のフルーツを食べるよう奨励されるべきですし、食物繊維を摂ることの利益やフルーツジュースと比較して本物のフルーツを消費するのと同じエネルギーを消費するのにはより長い時間かかることを教育されるべきです。
家族は、水分の要求を満たすために、乳児には母乳や乳児用人工乳で十分であり、低脂肪/無脂肪乳および水はさらに大きな子供に十分であることを教育されるべきです。
滅菌されていないジュース製品の消費は、乳児、小児、および青年では強く避けられるべきです。
グレープフルーツジュースは、CYP3A4によって代謝される薬を服用している子供では避けるべきです。
栄養失調(栄養過多や栄養不足)の子供を評価して、小児科医は消費されるジュースの量を決定する必要があります。
慢性下痢、過度の鼓腸、腹痛および鼓脹を伴う子供を評価して、小児科医は消費されるジュースの量を決定すべきです。
齲蝕リスクの評価において、小児科医は、フルーツジュースと歯の腐敗との関係を日常的に議論し、ジュース消費の量と摂取法を決定するべきです。
小児科医は、フルーツジュースやフルーツドリンクの使用について定期的に話し合い、子供、青少年、両親に両者の違いについて教えるべきです。
小児科医は、幼児の食事中のフルーツジュースを減らし、体重の異常(過少または過剰)の小児へのフルーツジュースの排除を主張すべきである。
小児科医は、フルーツジュースの消費量を減らし、既にジュースに曝されているよちよち歩きの子供やび幼児(例えば、託児所/幼稚園)に、the Special Supplemental Nutrition Program for Women, Infants, and Children (WIC)を含めて、本物のフルーツの消費を促進する方針をサポートすべきである。
この記事の原文(Medical News Today)はここです。
私の結論は、「フルーツジュースは大人にとっても、子どもにとってもジャンクフード」です。