カロリーが同じでも砂糖入りドリンクと牛乳がもたらす様々な違い

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

新型コロナウイルスによってアメリカでは年末に死者が3,000人を超えているのですが、日本では東京でPCR検査陽性者が1,000人を超えたくらいで大騒ぎしているのはなぜなのでしょうか?今年はどんな年になるのやら。早く落ち着きを取り戻してほしいものです。

今年の箱根駅伝のラストは衝撃的でしたね。まさか3分以上の差が逆転するとは。創価大学はこれまでの成績を考えたら大躍進でしたが、最後は一体、何が起きていたのでしょうかね?応援していた駒沢大学が優勝したので良かったです。

さて、今年の第1弾の記事は、カロリーについてです。いまだにエネルギー量(カロリー)が同じであればどのような食べ物でも体重などに同じ効果があるかのような話をされている方もいます。カロリー量は燃焼についてのものであり、人間の体の中で起きている代謝とは別の現象です。

実際にはエネルギー量をどれだけ摂るかが重要ではなく、何を摂るかが重要です。

今回の研究では、BMIが26〜40、年齢が20〜50歳の非糖尿病の人47人を対象に、砂糖入りドリンク(レギュラーコーラ)、牛乳、ダイエットコーラ、水の4種類の飲料を毎日1リットル6か月間飲んでもらいました。さて、どうなったでしょう。(図は原文より、表は原文より改変)

4つのドリンクの組成とエネルギー量です。

砂糖で甘くしたレギュラーコーラ牛乳アスパルテームで甘くしたダイエットコーラ
炭水化物(g/100 mL)10.64.700
タンパク質(g/100 mL)03.4<0.10
脂質(g/100 mL)01.500
エネルギー(kcal/d)4304543.60

レギュラーコーラ、牛乳はほぼエネルギー量は同じです。当然、ダイエットコーラと水はエネルギーはほとんどまたは全くありません。

レギュラーコーラ牛乳ダイエットコーラ
体重1.28±1.11.36±1.10.114±1.10.576±1.0
総脂肪量3.14±2.71.42±2.5−0.52±2.50.490±2.6
腹部皮下脂肪4.98±2.83.10±2.9−2.79±2.7−4.30±2.7
内臓脂肪/腹部皮下脂肪18.1±6.0-12.5±6.14.59±5.5 3.90±5.7
除脂肪体重0.423±0.81.43±0.80.951±0.8−0.189±0.8
レプチン25.2±9.79.11±8.6−2.20±8.63.72±8.2
総コレステロール11.4±3.20.634±3.0−5.89±3.0−0.159±2.8
中性脂肪32.7±8.6−0.301±8.1-14.1±8.1-14.2±7.7
HDLコレステロール6.24±4.17.93±3.91.03±3.96.38±3.7
空腹時血糖3.4±3.45.7±3.2−1.0±3.22.3±3.2
空腹時インスリン17.7±25.433.1±24.0−5.0±24.013.7±23.5
HOMA-IR21.6±18.45.0±16.2−0.4±15.716.8±15.3

上の表は体重、体組成、代謝危険因子のベースラインから6カ月後の変化率を示しています。体重の違いはありませんでした。レギュラーコーラを飲むと内臓脂肪/皮下脂肪が高くなりました。また、総コレステロールと中性脂肪もコーラで有意に増加しました。ただ、有意差はないのですが牛乳で空腹時のインスリン値が33%増加しているのはちょっと気になりますね。

上の図は上から内臓脂肪、肝臓脂肪、筋肉脂肪の相対的変化です。異所性脂肪蓄積を示しています。つまり、皮下脂肪以外の場所にどれだけの脂肪が付いているのかです。どの部位でも、レギュラーコーラで大きく脂肪蓄積が増加しました。特に肝臓脂肪は100%以上増加、筋肉脂肪も200%近く増加しました。

上の図は血圧の変化です。黒いバーは収縮期、グレーのバーは拡張期です。牛乳では、収縮期血圧5.7mmHgと拡張期血圧5.1mmHg低下しました。レギュラーコーラと比較して、収縮期血圧の平均相対変化は、牛乳およびダイエットコーラで10〜15%減少しました。

まあ、当然と言えば当然の結果です。糖質、特に果糖は内臓脂肪を増加させ、血圧を上げます。

エネルギー量、カロリー量が同じであっても、それによる体に与える影響は全く異なります。今回の研究のように、体重という意味では違いが認められないとしても、体組成は全く異なり、糖質でエネルギーを摂れば摂るほど有害な作用があります。

様々な有害な変化は大人だけでなく、子供にも起こり得ます。以前の記事「子供の非アルコール性脂肪肝に糖の摂取を減らしてみると…」で書いたように、非アルコール性脂肪肝は子供の糖質を減らせば、脂肪肝は改善していきます。食育は親の仕事です。

今年も糖質制限で行きましょう。

糖質過剰症候群

「Sucrose-sweetened beverages increase fat storage in the liver, muscle, and visceral fat depot: a 6-mo randomized intervention study」

「ショ糖で甘くした飲料は、肝臓、筋肉、および内臓脂肪蓄積における脂肪蓄積を増加させる:6カ月のランダム化介入研究」(原文はここ

6 thoughts on “カロリーが同じでも砂糖入りドリンクと牛乳がもたらす様々な違い

  1. 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

    カロリーが多くても肥満に繋がらない食材もあり、逆に0㌍食品でも腸内環境を始め自律神経等に悪影響を及ぼしてしまうものもありそう、ですね。

    1/3(日)東京都の新型コロナウィルス感染症による感染者800人超え、死者数は1名との報道を 見ました。当事者にとって、統計上の数などとは関係なしに大変な出来事に違いなく、
    ご心痛はさぞかしとお見舞い申し上げます。ただ、 外国と日本の特に死者数の違いは、不思議です。

    箱根駅伝、9区までは余裕のペースでしたが創価大学10区小野寺選手苦悶の表情でゴール後は担架に載せられていました。体調どうだったのでしょう?

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      今年もよろしくお願いいたします。
      カロリー理論が広まり過ぎていて、カロリーが低い=ヘルシー、なんていうよくわからないことを平気で言う人もいますからね。

      箱根駅伝はビックリでしたね?
      しかし、何人かの選手がタスキを渡した後、その場で倒れこんでいましたが、あれはあまり好きではありません。
      そのようになるまで頑張って力尽きた、というのは理解できますが、せめてコースから外れたところで倒れてほしいものです。
      急にエネルギーゼロになるわけではないので、それくらいは動けますから。
      本当に速い選手ほど倒れこみません。

  2. 清水先生、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

    これまで普通のコーラーだけでなく、ダイエットコーラーも避けていましたが、このデーターからすればダイエットコーラーを飲むことは問題なさそうですね。

    牛乳でインスリンが増加したのは、タンパク質の影響でしょうか?

    いずれにしても糖質を摂ることは避けないといけませんね。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      人工甘味料は別の問題があるかもしれませんね。
      牛乳でインスリンが増加したのは、対象が過体重および肥満の人であり、タンパク質に反応したのかもしれません。

  3. 遅ればせながら、新年おめでとうございます。
    今年もDr.Shimizu の記事を読んでいきたいと思います。
    (正直、少し難解ですが…)
    今回の記事、結論は納得できますが、牛乳については、いわゆる低脂肪乳というものですね。一般的なものは4%ほどの脂肪率ですし、乳糖も3%くらいかと思います。
    一昨年から体重がやや増加傾向となったため、それまで毎朝300ml程牛乳を飲んでいたのを、やめて、自家製ヨーグルトを多くしました。
    とういうのも、これでは乳糖だけで10g近くの糖を摂取することになると思ったからです。その他はチーズというのが定番の食事です。
    糖質制限を始めて3年くらいでですが、今後も色々参考にしながら生活したいと思います。

    1. Kazuさん、コメントありがとうございます。

      この研究は低脂肪乳ですね。いずれにしても、カロリーが同じでも体にもたらすものは当然全く違うということです。

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