多くの人が20代の頃よりも中年期に体重を増加させています。そして、その多くの人の言い訳は、年齢のせい、基礎代謝が落ちてきた、最近運動していないなどでしょう。そういう私も40代前半までかなりの体重がありました。若い頃と比較してどんどん体重が増え、それが中年になることだ、と勝手に納得していました。
しかし、血液検査で異常があり、糖質制限を始めると、どんどん体重が減少しました。運動もしていません。年齢は低下することはないので、食事の変更だけで体重が大きく減少したのです。
若い成人の時期(女性は18歳、男性は20歳)以降に増加した体重と、糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、胆石症を発症するリスクとの間に強い関係があります。(図は原文より)
上の図のAとBはBMIと糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、胆石症を発症するリスクの関連を示しています。Aが女性、Bが男性です。●が2型糖尿病、■が胆石症、☓が高血圧、△が冠動脈疾患です。どれもBMIが増加するに従いリスクが増加しています。特に2型糖尿病は非常にリスクが高いのがわかります。
CとDは若い成人の時期と比較した中年期での体重変化とリスクの関係です。男性も女性も当然、若いときよりも太るほど様々な疾患のリスクが高くなっています。
老化の成功を、主要な慢性疾患がないことだけでなく、健全な認知、身体、およびその他の機能の維持を含んだものとして定義すると、女性において18歳でのBMIとその後の中年期での体重増加が老化の成功をもたらす可能性は下の図のようになりました。
上の図は横軸が18歳時のBMIです。縦軸は老化の成功、健康な生存の可能性です。●は若いときと中年期ので体重がそれほど変化がなかった人、▲は4~9.9kg増加した人、🔹は10kg以上増加した人です。18歳時の体重も重要ですが、その後の体重増加も老化の成功の可能性が大きく低下しています。私は10kg以上の増加なので、かなりハイリスクでした。
BMIが1単位増加するごとに、健康な生存の可能性が12%減少しました。痩せた女性(BMI 18.5–22.9)と比較して、肥満の女性(BMI≥30)は、70歳以上(95%CI 71–85%)までの健康な生存の可能性が79%低くなりました。4〜10 kgの適度な体重増加でさえ、健康な生存の可能性の低下と有意に関連していました。
もちろん、運動することで、太りすぎや肥満が健康に及ぼす悪影響を減らすことができます。しかし、運動は、病気のリスクに対する肥満の悪影響を完全に排除するわけではありません。また同様に、痩せていることは、運動不足に関連するリスクの増加を完全に打ち消すことはありません。健康のために運動は必要です。運動しても健康的な食事、糖質制限は必要です。
「Optimal body weight for health and longevity: bridging basic, clinical, and population research」
「健康と長寿のための最適な体重:基礎、臨床、および人口のブリッジング研究」(原文はここ)
「健康のために運動は必要です。運動しても健康的な食事、糖質制限は必要です。」
あまりに当たり前のことではありますが、実行するのは(正しく実行するのは)
そして継続するのは難しいですね。
医療機関や健康食品業界が潤うわけですね
(受診や健康食品で健康になるとは限りませんし)。