人間は様々なバイアスに影響を受けます。糖質制限が正しいと思うのも、もしかしたらそうなのかもしれませんし、本当に正しいのかもしれません。それは自分自身で判断するしかありません。もちろん私は糖質制限を正しいと信じています。それは生理学、生物学的に考えて正しいと思われるからです。
我々糖質制限をしている人は精製穀物、いわゆる主食となるような炭水化物(白米、パン、パスタなど)は2型糖尿病のリスクを上げると思っているばかりか、主原因の1つだと思っています。
しかし、糖質が血糖値を上げることは生物学的に事実であるのに、それに抗う人もいるでしょう。
今回の研究では、精製穀物は2型糖尿病のリスクを増加させないと主張しています。メイヨークリニックが出す医学雑誌からです。
上の図は精製穀物の摂取量による2型糖尿病のリスクです。一つだけリスク増加を示していますが、これはインドの研究で精製穀物は主に白米でした。他はリスク増加と関連していませんでした。欧米と異なりアジアの国は主に白米を食べます。アジアと非アジアで違いがあるでしょうか?
上の図は白米摂取量と 2 型糖尿病のリスクの非アジアの研究とアジアの研究についてです。白米の摂取量が最も多いグループで2 型糖尿病のリスクが高いことが、8 つの研究と 3 つのメタアナリシスで示されました。白米の最も摂取量の多いグループでは600~900gでした。
上の図は精製穀物(緑)、全粒穀物(青)、全穀物(茶)による2型糖尿病のリスクです。どうやら、全粒穀物はリスク低下に働き、全体的に見ても精製穀物も全穀物もリスク増加になっていないように見えます。
この研究が言いたいのは、2型糖尿病のリスク増加は精製された穀物の摂取量の増加ではなく、不健康ないわゆる西洋型の食事のパターンが問題だということです。つまり、不健康な食事パターンでは、通常、精製穀物を赤肉や加工肉、加糖飲料、フライドポテト、高脂肪乳製品と共に分類しているので、赤肉、加工肉、加糖飲料のような高リスクのカテゴリと精製穀物カテゴリを厳密に区別するべきだと言いたいようですが、ちょっと無理があります。
さらに、アメリカで消費されるほとんどの精製された穀物は、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、鉄が豊富で、葉酸で強化されているそうです。だから2型糖尿病のリスクも上げず、不足しがちな栄養を摂取するうえで必要なんだ、アジアでは白米を食べすぎなんだ、と言いたいようです。
ちなみに、この論文を書いたの人は、Grain Foods Foundation と Wheat Foods Council という企業または団体の科学諮問委員会のメンバーです。精製穀物を悪く言うはずがないのでしょう。
このような観察研究の限界はデータの質の低さでしょう。食事アンケートに依存してしまうため、正しい摂取量がわかりません。報告者の曖昧な記憶、そして自分を良く見せるためのウソによってデータがいい加減となってしまいます。そのような質の低いデータの研究をいくつ集めても結局質の低い研究に変わりがありません。このような研究が出ると、糖質制限反対派は喜んで取り上げるかもしれませんので注意が必要です。
精製穀物はもちろん、全粒穀物でも血糖値は上がります。日本で考えれば玄米でも血糖値は上がります。糖質を摂取すれば血糖値が上がることは当然です。
糖尿病は血糖値が上がる病気で糖質過剰症候群です。何が悪いかは明らかであると私は思います。
「Refined Grain Intake and Risk of Type 2 Diabetes」
「精白穀物の摂取と2型糖尿病のリスク」(原文はここ)
冷静に考えると、
何が悪いかは明らかなので、
バイアスがかった情報で目眩して
商売をしているのですね。