アントニオ猪木さんを偲んで

元気ですかー!元気があれば何でもできる。

アントニオ猪木さんが2022年10月1日、心不全で79歳で亡くなりました。(記事はここ)ご冥福をお祈りいたします。

私が小学生のころプロレスは全盛期でした。毎週ゴールデンタイムに放送していました。それを猪木さんの新日本プロレスとジャイアント馬場さんの全日本プロレスがあり、私は新日本プロレスの方が大好きで、毎週欠かさず見ていました。

子供ながらにいつも放送終了時にちょうど勝負がつくのが不思議でしたが、個性のあるレスラーがたくさんいて、様々な技が繰り広げられ、夢中でした。アンドレザジャイアントを見て、こんなでかい人間がいるんだ、こんなでかいなんて体格差があり過ぎて卑怯だ、と思いました。また、今ではあり得ないことなのかもしれませんが、タイガージェットシンはサーベルという武器を持っていつもリングに上がっていました。彼が出てくるといつも流血が起こります。もちろんサーベルの先で刺したりはせず、持ち手の方で殴るだけですが、映画のダースベイダーのようにわかりやすい悪役でした。いつも反則ばかりします。子供心にインド人は怖いなあ、と思い、その悪役と戦う猪木さんは正義のヒーローに見えていました。

そして、今考えてみれば非常に危険なんですが、そのプロレスの技を友達同士でかけあうことはしょっちゅうでした。コブラツイスト、4の字固め、卍固めなど、いろいろ試しましたが、卍固めはなかなかうまくできなかったこと覚えています。一番危険だったのがブレーンバスターですね。日本語にすれば脳天砕きでしょうか?体育館のマットの上で、私は友達にブレーンバスターをかけました。そうしたら脳天が砕けたのは技をかけた私の方でした。実際には砕けてはいませんが、恐らく脳震盪を起こしていたのでしょう。気が付いたらたくさんの友達に囲まれていました。

もちろん、モハメドアリとの戦いも夢中で見ていましたが、あの試合は子供ながらに残念でした。ずるい感じでしたね。でも、ルール上、あのようにしなければならなかったのでしょう。大人の事情は子供にはわかりませんでした。

そんな猪木さんは、かなり若いころから糖尿病だったようです。(ここ参照)39歳、血糖値はなんと590!一度の食事で、ラーメン丼で10杯以上のごはん、焼き肉を2キロ平らげるくらいは当たり前、日本酒の一升瓶のラッパ飲みなども時々、接待の席の食事も残してはいけないと途方もない量を律義に食べ続けた、そうです。それでも、1991年からやっと血糖値を下げる薬を飲み始めたそうです。その後インスリン注射をするようになっています。インスリンを注射しながら食事をとり、血糖値を測る。分厚いステーキよりも、炭水化物のおにぎり1個の方が血糖値が上がりやすいことなど、自己管理のコツも少しずつ分かってきた、そうです。「分厚いステーキよりも、炭水化物のおにぎり1個の方が血糖値が上がりやすいこと」は糖質制限では当たり前のことなのですが、今でもこのことを教えてくれる医師や栄養士は少ないでしょうから、当時は誰も教えてくれなかったのでしょうね。

猪木さんは2019年に国の指定難病にもなっている「心アミロイドーシス」を発病しています。アミロイドーシスはアミロイドという異常なタンパクが様々な臓器に沈着し、その臓器の障害を引き起こす疾患です。アルツハイマー病は脳にアミロイドが沈着します。以前はこのアミロイドの沈着がアルツハイマー病の原因ではないかと言われていましたが、最近そのもととなった論文の捏造が発覚しています。おそらくアミロイドの沈着はどの臓器でも根本原因ではなく結果でしょう。

このアミロイドが沈着する原因は実際には完全にわかっていませんが、私は恐らくインスリンだと考えています。それはインスリンを自己注射している人で「インスリンボール」と言われている、アミロイドが沈着した硬い腫瘤ができることがあるからです。インスリンはアミロイドを形成することがわかっています。

2型糖尿病のすい臓でもアミロイドの沈着が認められる場合があります。アミロイド沈着は欧米人では90%以上の患者にみられますが(ここ参照)、アジア人では低く、中国人の糖尿病患者ではほぼ40%(ここ参照)、日本人では28%で膵島内占有面積も17.5%と軽度でした(ここここ参照)。アミロイド沈着はBMI高値で頻度が高く、インスリン抵抗性と関連していると考えられます。

2 型糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病などはアミロイド疾患とも言われています。おそらくインスリン分泌が大きく増加したり、インスリン分解酵素の相対的な不足または何らかの要因で分解酵素の障害が起きているのではないかと思います。いずれにしてもインスリンがアミロイドーシスの原因だと思います。しかし、根本原因はインスリンの過剰分泌をもたらす糖質過剰摂取でしょう。糖尿病になり、インスリンの注射を使用しなければならない場合も、そのインスリンによりアミロイドーシスが起きてしまうこともあると思います。アミロイドーシスも糖質過剰症候群である可能性が高いでしょう。

元気であれば何でもできる。でも元気でいるには適切な食事が必要です。私は元気でいるために今日も糖質制限です。

アントニオ猪木さん、ありがとうございました。お疲れさまでした。どうぞ安らかに眠ってください。

「1、2、3、ダーッ!」

5 thoughts on “アントニオ猪木さんを偲んで

  1. 本職でも脊髄損傷全身麻痺
    の方もるぐらい。
    見た目よりプロレスは危険。
    パイルドライバーの真似とか良くしてましたが、今考えると怖い。

  2. 猪木さんの病名を聞いて食生活が関係していると思いました
    高血糖によりたんぱく質の変性を促進し全身性の疾患の起因になるのだと想像します
    そう考えると力士も結構糖尿病や心疾患、脳疾患などに罹患する方が多いようです
    江部先生は糖化食物に関しては気を付けておられて素晴らしい健康状態です
    私は江部先生のブログから緩い糖質制限を始めましたが、つい気が緩んでしまう状態でした。
    ドクター清水の糖質制限に関するエビデンス表示ブログに出会い、3食のしっかり糖質制限
    とオイルをしっかり採るように心がけココナッツオイル入りバターコーヒー、ヨーグルト、
    昼はカロリー維持のためクリチ+生クリームを混ぜたもの、チーズ、バターなどを採るようにしたところ
    (主食はなしです。乳製品を取りすぎなのが気がかりですが)、
    中性脂肪値は45、HDL値は100前後、今までなかなかさがらなかったA1Cは5.4から5.2に下がりました。
    心、頸動脈エコーともきれいな状態でした、ただ体重は3kg増えましたが
    これらの結果が自分の食生活のエビデンスなのではと思います
    改めて食生活の大切さを再認識しました

    1. T.Iさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限で中性脂肪、HDL、HbA1c改善良かったですね。
      人間の体が食べたものでできている以上、食生活の間違いが病気や症状を作り出していると思います。

  3. 清水先生、こんばんは。
    アントニオ猪木さんは、まさに燃える闘魂でした。ご冥福をお祈りします。
    アミロイドーシスもやはり糖質そして本質的にはインスリンが関わっているのですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です