女性の飽くなき美の追求に付け込んだのか、変なサプリメントもあるものです。私はこのプエラリア・ミリフィカというのは知りませんでしたが、調べると様々な企業からサプリメントが発売されているようです。
プエラリアはタイやミャンマーに生息する植物だそうです。その根には強力なエストロゲン作用を持つ成分が含まれているようです。Wikipediaによると、その由来は、ミャンマーのかつての首都・ブーカムにある仏塔の下から見つかったビルマ語の古文書の中に、「高齢の女性がプエラリア・ミリフィカを食し、美しさと健康をいつまでも保っていたという趣旨の内容が記載されていた。」
現地の方たちは植物という形で摂取していると思われますが、日本で手に入るのはサプリメントという形です。サプリメントは有効成分を濃縮した状態です。つまり、急速に大量のエストロゲン様の成分が体内に入るのです。「植物由来だから安心」ではありません。事実かどうかは調べていませんが、日本でもすでに死亡例が確認されているようです。もし本当なら、なぜここまで放っておいたのでしょうか?
エストロゲンはみなさん知っている通り、女性ホルモンです。女性ホルモンは当然体内で作っています。人間の体は様々なメカニズムにより自分で調節を行っています。ホルモンも複雑なメカニズムで調節されています。そこに、体の外から、ホルモンを摂取してしまったら体がおかしくなるのは当然です。これまでしっかり調整していた体のホルモンバランスが崩れるからです。体内で作る物質を、体外から摂ると、人間の体は「その物質が体内に十分存在している」と思います。エストロゲンを通常通り作っていても、サプリメントでエストロゲン様の成分を摂取すれば、体は「エストロゲンは十分だ!エストロゲンの生産を少なくしよう!」と体内での産生を減らしてしまう可能性があるのです。どのような物質も足りないのも困りますが、過剰も問題になるので、このような自己調節を行うのです。一時的には体内のエストロゲンとサプリのエストロゲンで通常よりも増えた状態になるかもしれませんが、そのうちに体内の生産量が減少すれば、プラスマイナスゼロになるばかりか、一度減産体制になった体は、サプリメントをやめた後もかなりの長い期間しないと元の状態には戻らない可能性があります。
体内のエストロゲンが減産体制にならない場合も問題です。もともとのエストロゲンの分泌量が正常であれば、サプリメントの分は過剰な状態です。過剰なエストロゲンは、現在様々な話題になっている「乳がん」のリスクを上げてしまいます。体の分泌量なんてお構いなしに、このようなサプリメントを摂取すれば、その「つけ」は大きいものになるかもしれません。
先ほども書きましたが、ある成分が健康にとって良いというのは、食事として摂っているからです。これを濃縮して大量に急速に吸収した場合に、その成分が果たして健康に良いかどうかはわかりません。逆に問題になる場合も多いのです。
毎日の食事をしっかり見直すことが第一です。サプリ業界に騙されないように気を付けてください。
プエラリア・ミリフィカ含む健康食品 安易な摂取注意
プエラリア・ミリフィカという植物の根を原材料に含む美容目的の健康食品で月経不順などの症状が出たという女性からの相談が相次いで寄せられ、国民生活センターは、ホルモンのバランスが崩れて健康被害が生じるおそれがあるとして、安易な摂取を控えるよう注意を呼びかけています。
国民生活センターによりますと、東南アジアなどで採れるプエラリア・ミリフィカというマメ科の植物の根を原材料に用いて、バストアップなど美容効果を目的とした健康食品で、健康への影響が出たという相談がことし4月までの5年余りの間に209件寄せられています。
多くはおう吐や腹痛、発疹などの症状ですが、月経不順などの症状が出たという女性からの相談も33件あったということです。
このため、国民生活センターがこの植物を原材料に含む12の商品について調べたところ、このうち11の商品に女性ホルモンの1つ、エストロゲンと同じような働きをする成分が含まれていました。
プエラリア・ミリフィカは、産地や収穫時期によって含まれる成分の量に違いがあり、商品によっては量が多いものもあったということです。
国民生活センターは、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品を摂取することでホルモンのバランスが崩れて健康被害が生じるおそれがあるとして、安易な摂取は避け、特に妊娠中や授乳中の女性、子どもなどは摂取しないよう注意を呼びかけています。
国民生活センターの亀山実佳子さんは「症状が出ていても商品の影響と気付かずに飲み続けてしまう人もいるが、体調に異変を感じたらすぐに摂取をやめて医療機関を受診してほしい」と話しています。