ポリオール経路は認知症にも関連

アルツハイマー病は3型糖尿病です。糖質過剰症候群です。

今回の研究では、アルツハイマー病9人と対照の9人で死後の脳の状態を比較しました。

平均年齢はどちらの群も70歳です。脳重量の中央値は、アルツハイマー病で1062g、対照群で1260gで、アルツハイマー病の方が約16%軽くなっていました。

上の図は7つの脳領域におけるグルコースと、ポリオール経路で増加するソルビトール、フルクトース(果糖)の濃度です。それぞれの左側がアルツハイマー病、右側が対照群です。対照群の中の■はMCI(軽度認知障害)より前段階の「前臨床期アルツハイマー病」です。グルコース、ソルビトール、フルクトースのどれも対照群よりもアルツハイマー病群で高く、前臨床期アルツハイマー病は対照群の中では高いことを示しています。

 

上の図(a)は脳の領域別で対照群よりも何倍グルコース、ソルビトールおよびフルクトース濃度が高いかを示しています。小脳の5.2倍から中側頭回の16.4倍まで変化しています。中側頭回などのより深刻な影響を受けた領域で血糖値が高くなる傾向があるようです。ソルビトールとフルクトースはそれほど領域間での差がなく、4倍~5倍前後です。

アルツハイマー病では脳のブドウ糖の取込みが低下すると考えられていますが、もしかしたら脳のグルコースレベルが上がり過ぎて、脳のブドウ糖を取り込むGLUT活性の低下が起きているのかもしれません。そして、脳に溜まったブドウ糖の利用、クリアランスが低下し、ポリオール経路が増加し、ソルビトールやフルクトースが増加しているのかもしれません。ポリオール経路などの回路が促進されると酸化ストレスが増加し、解糖系が最後まで回りづらくなり、さらにポリオール経路が促進されてしまいます。

グルコースの増加、フルクトースの増加は有害なAGEs(終末糖化産物)の増加をもたらします。脳はブドウ糖も上手くエネルギーにできないし、AGEsも増加するので、どんどん機能低下を起こすのでしょう。

糖質過剰摂取が続くと、ますます悪化します。脳のエネルギー源であるケトン体を早期に増やせば、恐らく脳のダメージは少なく済むでしょう。そのためには糖質制限しかありません。認知症は症状が出る20年前から起きていると考えられています。40歳を過ぎても糖質過剰摂取を続ければ、アルツハイマー病になるリスクが高くなるでしょう。

「Elevation of brain glucose and polyol-pathway intermediates with accompanying brain-copper deficiency in patients with Alzheimer’s disease: metabolic basis for dementia」

「アルツハイマー病患者における脳内銅欠乏症を伴う脳内グルコースおよびポリオール経路中間体の上昇:認知症の代謝基盤」(原文はここ

 

One thought on “ポリオール経路は認知症にも関連

鈴木 武彦 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です