子供へのPPI(プロトンポンプ阻害薬)は感染リスクを増加させる

PPI(プロトンポンプ阻害薬)のネキシウムには日本でも小児への適応があります。なんと1歳以上です。大丈夫なの?と思ってしまいます。人間にとって胃酸分泌は初期設定であり、重要なメカニズムです。それに小さなころから逆らってしまっていいのでしょうか?フランスでは2歳未満の子供のPPI使用率は、2010年の3.6%から2019年の6.1%に増加しました。ニュージーランドでは、生後1年間のPPI使用率は2005年から2012年の間に2.4%から5.2%に増加しました。 スウェーデンやノルウェー、デンマークでは2000年と比べて3~5倍に増加しました。海外では1歳未満でも使用されているようです。凄いですね。

今回の研究では小児へのPPI投与と重篤な感染症との関連を分析しています。研究対象集団は1,262,424人の小児で構成され、そのうち606,645人が追跡調査中に少なくとも1回のPPIを投与されました。PPIを投与された小児の年齢中央値は88日!。合計152,055人の子供が新たに重篤な感染症と診断され、発生率は100人年当たり2.99人でした。(図は原文より)

上の図は重篤な感染症のリスクを示しています。長期にわたるPPI曝露は、1.34倍重篤な感染症のリスク増加となりました。過去の使用でも1.07倍とわずかに増加、現在も使用が続いていると1.36倍です。PPIを使用していない子供と比較すると6か月以下であっても1.34倍になっていました。PPI使用中止からの経過時間が増加するにつれて、重篤な感染症のリスクは徐々に減少した。3か月以内では1.13倍、12か月以内で1.03倍でした。

感染症の部位別では、長期にわたるPPI曝露は、消化管で1.52倍、耳鼻咽喉科領域で1.47倍、下気道では1.22倍、腎臓または尿路で1.20倍、筋骨格系で1.17倍、神経系で1.31倍でした。

細菌感染が1.56倍、ウイルス感染症が1.30倍でした。

胃酸分泌が強く抑制されると、腸内細菌をはじめ様々な部位の細菌叢も変化するのでしょう。免疫系にも大きな影響がある可能性があります。

胃食道逆流、逆流性食道炎の多くは糖質過剰症候群でしょう。間違った食事で起きている症状、疾患を食事を変えず、人間の初期設定に反した薬を使うのは非常に危険です。しかも生まれて間もない子供たちの免疫、代謝を薬で変え、重要な栄養素の吸収低下が起きると、その後の体は大きな影響を受け、様々な弊害を来す可能性があります。安易な薬は慎むべきです。

「Proton Pump Inhibitor Use and Risk of Serious Infections in Young Children」

「プロトンポンプ阻害薬の使用と幼児における重篤な感染症のリスク」(原文はここ

2 thoughts on “子供へのPPI(プロトンポンプ阻害薬)は感染リスクを増加させる

  1. 安易な薬頼りも心配ですが、ピロリ菌除去で胃癌予防はどうなのでしょうか?

    病院嫌いの養老孟司先生は心筋梗塞で入院の際、ステント治療は勿論、
    白内障治療も「ついでに」行なって、
    退院後は糖尿病治療薬など9錠毎日服薬。
    しかしピロリ菌除去は敢えてしなかったと御著書にありました。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      拙著の「糖質過剰症候群」で書いたように、ピロリ菌は恐らくは糖質過剰摂取状態であると胃がんの原因となると思っています。
      除菌すると糖質過剰摂取では逆流性食道炎が増加しPPIが処方され、結局PPIによる胃がんリスク増加があります。
      糖質制限+除菌なら良いと思います。

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