スタチンは筋肉障害だけでなく腱障害のリスクを高める

スタチンの筋肉障害の副作用は有名ですが、筋肉だけではなく「腱」にも有害な副作用がある可能性が高いです。

今回の研究では、韓国の国民健康保険サービスのデータベースを使用して、2002年に合計594,130 人の参加者がこの研究に登録され、2015 年まで評価されました。傾向スコア マッチング分析を使用して、スタチン使用者84,102人と非使用者(対照群)168,204人を対象としました。

腱障害は、ばね指、橈骨茎状突起炎(ドケルバン病)、肘上顆炎(テニス肘)、肩腱板障害、アキレス腱炎です。(表は原文より改変)

腱障害の種類HR (95% CI)
様々な腱障害
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.435 (1.411-1.460)
ばね指
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.609 (1.512-1.714)
橈骨茎状突起炎
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.365 (1.247-1.495)
肘上顆炎
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.350 (1.309-1.393)
肩腱板障害
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.425 (1.392-1.459)
アキレス腱炎
 非ユーザー
 スタチンユーザー1.516 (1.380-1.667)

上の表のように、スタチンを使用している人は様々な腱障害のリスクが1.35倍~1.6倍ほどになっています。

上の図は腱障害の累積発生率です。Aは全体の発生率で、先ほどの表と同様に、スタチン使用者(点線)のリスクが高くなっています。図のBはスタチンの種類による違いですが、ほとんど大きな違いはないようです。

図のCは累積投与量による違いですが、180以上だとリスクが低下して、スタチンを飲まない人と同様になっています。推奨処方量通りだとすると180は6か月でしょうか?つまり、腱障害はスタチンを飲み始めて間もないときに起きる可能性があるようです。

スタチンを処方されるときに、どれほどの人が腱障害のリスクについて説明されるでしょうか?まあ、ほとんどないでしょうね。

でも、腱障害の程度によっては手術が必要です。大きなリスクです。インフォームドコンセントが必要なレベルだと思います。

もちろん、スタチンが必要な人と、腱障害を起こす人では背景が重なるので、ただの相関関係だと考える人もいるでしょう。そうかもしれませんが、他のいくつかの証拠はそれを否定しています。それについては次回以降で。

 

「Effects of Statin Treatment on the Development of Tendinopathy: A Nationwide Population-Based Cohort Study」

「腱障害の発症に対するスタチン治療の影響: 全国規模の人口ベースのコホート研究」(原文はここ

2 thoughts on “スタチンは筋肉障害だけでなく腱障害のリスクを高める

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      山中先生はスタチンも推奨しているんですか?
      猛毒ワクチンだけではないんですね。
      研究するにはお金が必要ですからね。

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