赤肉は2型糖尿病のリスクを増加させる? いい加減やめてほしい

赤肉(牛肉や豚肉などの肉)を週に2回以上食べると2型糖尿病のリスクが増加するそうです。(記事はここ

赤肉を週2回以上食べると「2型糖尿病」リスク増加 ハーバード大学が発表

11/4(土) 7:03配信

アメリカのハーバード大学らの研究グループは「牛や豚、羊などの赤色の肉(赤肉)を週に2食以上食べると、2型糖尿病の発症リスクを高める可能性がある」とした研究結果を発表しました。この内容について、中路医師に伺いました。

この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております

ハーバード大学らが発表した内容とは?
編集部:
アメリカのハーバード大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

中路先生:
今回紹介するのは、アメリカのハーバード大学などの研究グループが実施した研究で、学術誌「The American Journal of Clinical Nutrition」に内容が掲載されています。研究グループは、牛や豚、羊などの赤色の肉、いわゆる赤肉の摂取と2型糖尿病の関連を調査しました。21万6695人の健康状態を、最長36年間にわたり追跡したデータを分析する形で調査は実施されました。

調査の結果、1日に赤肉を1食分食べるごとに、2型糖尿病の発症リスクが1.28倍上昇していたことがわかりました。赤肉を摂取する量の違いを調べると、1日に1.56~1.97食分の赤肉を摂取する人は、1日に0.26~0.45食分摂取する人と比べて、2型糖尿病の発症リスクは1.62倍でした。1日1食の赤肉をナッツや豆類などの植物性タンパク質に置き換えると、2型糖尿病のリスクは30%低下し、赤肉1食を乳製品に置き換えるとリスクは22%低下するという結果も出ました。また、肉の加工の有無によるリスクを比べてみると、加工済み赤肉の摂取で2型糖尿病の発症リスクが51%上昇し、未加工の赤肉の摂取で40%上昇しました。

研究グループは、今回の結果について「赤肉の摂取制限を推奨する食事ガイドラインを強く支持するものであり、それは加工した赤肉と未加工の赤肉の両方に当てはまります」とコメントしているほか、「我々の知見とほかの研究者の過去の研究結果を考慮すると、健康と幸福を最適化したい人々にとって、赤肉は週1食程度に制限するのが妥当であろう」とも述べています。

ハーバード大学が言うのですから間違いない?(ここ参照)さらに、この記事は医師が「医療情報の信憑性について確認後」公開しているので間違いない?

ホンマかいや。私は週の半分以上で赤肉をたっぷり食べていますが、2型糖尿病にはいまだなっていません。

ハーバード大学は本当に肉が嫌いなようです。

とりあえず中身を見てみないとなりませんね。原文を手に入れられていないので、わかる範囲の内容で考えていきます。

対象は看護師健康研究 (NHS)、NHS II、および医療専門家追跡調査 (HPFS) の参加者216,695人 (81%が女性) です。赤肉の摂取量は、研究のベースライン以降、 2~4年ごとに食事アンケートで評価されました。食事アンケートのデータなので当然質が低いデータです。5,483,981人年にわたる追跡調査で、22,761件の2型糖尿病症例が記録されました。

赤肉と2型糖尿病の関連を調べました。

結果は、赤肉全体、加工赤肉、未加工赤肉でどれも摂取量が増加するほど2型糖尿病の発症リスクは高くなるようです。1日に1食分食べるごとに赤肉全体では1.28倍、加工赤肉では1.5倍、未加工赤肉では1.24倍です。摂取量で5つのグループに分けて、最高の摂取量の群では最低の摂取量の群よりもリスクは赤肉全体で1.62倍、加工赤肉で1.51倍、未加工赤肉で1.40倍です。ん?赤肉全体は加工赤肉と未加工赤肉の合計ですよね?2型糖尿病リスクが加工赤肉や未加工赤肉のリスクを上回るなんて変な気がします?

赤肉を他のタンパク質源に置き換えたときのリスクはどうでしょう。赤肉全体をナッツと豆類に置き換えることによる2型糖尿病リスク低下率は30%、加工赤肉で41%、未加工赤肉の場合は29%でした。赤肉の代わりに乳製品を1食分/日摂取すると、リスクが大幅に低下していました。でも赤肉全体および未加工赤肉を魚に置き換えると1.11倍リスクが高くなっていますし、未加工赤肉を卵に置き換えると1.14倍です。じゃあ、魚とか卵の方が赤肉より危険ということでしょうか?

この論文は以前2011年にハーバード大学が行った研究の焼き直しでしょう。(その論文はここ、下の図はこの論文より)

基本的な内容や結果は同じなので、ちょっと2011年の論文も見てみましょう。知りたかったのはベースラインのそれぞれの群の特徴です。

上の図を見ると、最も赤肉摂取量が多い群は最も少ない群と比較して、BMIが高く、喫煙率が高く、エネルギー摂取量が高く、糖尿病食事スコアが低く、トランス脂肪酸摂取が多く、ソフトドリンク摂取が多く、ポテト摂取量が多いのが特徴です。(グリセミックロードは低くなっていました。)つまり、最も赤肉摂取量が多い群は不健康な集団であり、最も少ない群とは比べる集団が違いすぎます。このような研究にはありがちな比べる集団の大きな違いです。さらにエネルギー摂取量を見てください。NHSⅠの最も赤肉摂取量が低い群のエネルギー摂取量は1日1,200kcalです。そんな少ないことはあり得ません。超過少申告です。データの質が低すぎます。

ハーバードが用いる食事アンケートのサンプルは次のようです。(ここ参照)

実際にはこの用紙が使われたかどうかはわかりませんが、これに近いものだと推測されます。上の図は卵と肉と魚の項目です。

「リストされている各食品について、過去1年間に指定された量を平均どのくらいの頻度で使用したかを示す〇を塗りつぶしてください」と書かれています。過去1年!みなさん1年間も覚えてます?毎日違う食事をしているのにこのアンケートに正確に答える自信あります?自信があるかどうかの前に、このアンケートにまじめに答えようとする気持ち湧きます?赤肉にしても1食分は4~6オンスと書かれていますが、100gちょいから170gほどです。例えば1回に250g食べる人はちゃんと計算して換算して、このアンケートに答えるでしょうか?私なら適当に答えます。

ホットドッグ、サンドイッチ、ハンバーガー、ミックス料理(シチュー、キャセロール、ラザニア、冷凍食など)がこの項目に含まれています。ホットドッグやサンドイッチやハンバーガーはハーバード大学では肉という扱いのようです。たっぷりの糖質を含んでいて、しかもアメリカでは頻繁に摂取されているであろうこれらの料理が肉という判断をされてしまっています。

単純な日本のホットドッグでは、1個157gで、糖質が40.42g、脂質が22.07g、タンパク質が14.51gとなっています。肉の主成分のタンパク質よりも糖質がおよそ2.8倍です。マクドナルドのチーズバーガーでは、タンパク質15.7g、糖質29.5gです。やはりタンパク質の2倍の糖質です。

こんなアンケートで本当に赤肉と様々な疾患などの関連がわかるのでしょうか?ハーバードさん、いい加減混乱を生む無駄な研究はやめてください。

糖尿病は糖質過剰症候群です。肉とは関係ありません。

 

「Red meat intake and risk of type 2 diabetes in a prospective cohort study of United States females and males」

「アメリカの女性と男性を対象とした前向きコホート研究における赤肉の摂取と2型糖尿病のリスク」(原文はここ

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