ご質問を頂きました。
全てのご著書とブログをいつも拝見しており、生活改善に努めているものです。一つご質問がございます。糖質制限関係の色々な本などを読んでいますが、肝臓自体のエネルギーについてあまり詳しく書いていません。江部先生のブログに、ケトン体は肝臓のエネルギーにはならないと書いてありました。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6243.html
ブドウ糖や脂肪酸が肝臓のエネルギー源なのでしょうか?そして、糖質制限をしていても肝臓のエネルギーは不足しないものなのでしょうか?肝臓もかなりエネルギーを使うとの記述をどこかのページで見た記憶があります。しかし、肝臓自体のエネルギーの具体的な必要量などがいまいち分かりません。お忙しいとは思いますが、ご教授頂ければ幸いです。
上の江部先生の記事にも書いてあるように、肝臓は脂肪酸とブドウ糖をエネルギー源にしています。
ハーパー生化学にも次のように書かれています。
肝臓 おもな基質:遊離脂肪酸、グルコース(十分な摂食時)、乳酸、グリセロール、フルクトース、アミノ酸、アルコール
ブドウ糖(グルコース)はエネルギー源にはなりますが、十分な摂食時とわざわざ書いてあるので、糖質制限であれば脂肪酸がエネルギー源でしょうし、人類の本来の肝臓のエネルギー源は脂肪酸と考えられます。現代では体に脂肪がいっぱい保存されているので、肝臓だけでなくどんな臓器も糖質制限でエネルギー不足になることはありません。
興味深いことに、フルクトースおよびアルコールが肝臓のエネルギー源に含まれています。
肝臓も心臓も腎臓も重要な臓器は当然脂肪酸が主なエネルギー源です。そうでなければ、飢餓を切り抜けれられず、人類は滅亡していました。逆に考えると、それらの重要臓器をブドウ糖で働かせようとするから様々な異常が起きてくるのだと思います。人間の初期設定では主なエネルギー源は脂肪酸、ケトン体です。
そして、厚労省のe-ヘルスネットには次のような図があります。
臓器・組織 | 重量 (kg) | エネルギー代謝量 | 比率 (%) | |
---|---|---|---|---|
(kcal/kg/日) | (kcal/日) | |||
全身 | 70.0 | 24 | 1700 | 100 |
骨格筋 | 28.0 | 13 | 370 | 22 |
脂肪組織 | 15.0 | 4.5 | 70 | 4 |
肝臓 | 1.8 | 200 | 360 | 21 |
脳 | 1.4 | 240 | 340 | 20 |
心臓 | 0.3 | 440 | 145 | 9 |
腎臓 | 0.3 | 440 | 137 | 8 |
その他 | 23.2 | 12 | 277 | 16 |
肝臓はエネルギー消費量の21%もエネルギーを使っています。1日でおよそ360calです。脳とほぼ同じです。非常に重要な臓器だということがわかります。
そして様々なエネルギー、重要な物質を分泌し供給したり、解毒したりしています。
糖質過剰摂取で脂肪肝などになると、様々な不調が起きてくるのは当然かもしれませんね。
答えになりましたでしょうか?
清水先生、いつも拝見させて頂いております
肝臓に関しては不思議に思っております
私は1年以上スーパーケトジェニックをしており、BMIも16でハイパーレスポンダーでもあります。おそらく清水先生も体型から私と近い体質だと想像しております
この間、総ビリルビン値は1.0から0.5に、γ-GDPは40から20に改善しました
一方、astは16から28に、ALTは18から29に、4型コラーゲン7sは3.5から4.9と上昇しております。
これをどう読み取るべきか、いつも悩んでます。私は内臓脂肪が相当に少ないので、ケトン体代謝のためにある程度肝臓に予め脂肪を蓄えてるのかなと想像しております
また、大阪大学の研究で絶食によりオートファジーが亢進すると脂肪肝になるというのがあり、常に血液検査で5000μmol/lの血中ケトン体濃度になる私はオートファジーが亢進(1日一食でもあります)しているせいかもとも思っております
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220317_1
私自身はケトジェニックで肝臓に少し脂肪が増えるのはそこまで問題はないと思っておりますが、先生の考えをお聞きできれば嬉しいです
いのっちさん、コメントありがとうございます。
何をどれだけ食べているのかわからないので、コメントだけですべてを判断はできませんが、推測できる範囲でコメントします。
例えば、飢餓や神経性食思不振症で肝機能障害が起きるのも、オートファジーが主因だと考えられています。
BMI16、体脂肪率3%は危険な状態だと私は考えます。
オートファジーは阻害されても、過剰に活性化しても恐らく肝臓の線維化を起こす可能性があります。
体脂肪3%だと肝臓のエネルギー源の脂肪酸も危険なほど非常に少ないと体が判断し、オートファジーを亢進させはじめている可能性があります。
ケトン体が非常に高く、他の臓器にはそれを供給できますが、肝臓はケトン体を使えません。
早急に食事を見直した方が良いと私は考えます。
清水先生 ありがとうございます
おそらく代謝が良すぎるのかもしれず食事の見直しを至急考えます。ちなみに1日1食で大体こんな感じです
肉と魚 あわせて600g前後
卵 8個前後
梅干し 2個
木綿豆腐 1丁
自家製アーモンドフィッシュ 100g以上
清水先生
こんにちは質問させていただきました岩吉です。
お忙しい中、ありがとうございます。
確かに他の臓器含めて脂肪酸が本来はメインのエネルギー源であろうとのこと納得できます。糖質メインであれば1〜2日で枯渇してしまいますね。
肝臓は、アルコールまでもエネルギーにするという点でも、エネルギー消費量が高いという点でも重要性を感じられます。
疑問がさらに解消されたので、糖質制限食をどんどん続けていて体調の良い変化を楽しみたいと思います。