以前の記事で、「うつ病の大きな原因のひとつは炎症である」ということを書きましたが、うつ病における自殺思考も脳の炎症により起こる可能性が発表されました。
「Elevated Translocator Protein in Anterior Cingulate in Major Depression and a Role for Inflammation in Suicidal Thinking: A Positron Emission Tomography Study」
「大うつ病の前頭葉における上昇したトランスロケータータンパク質と自殺思考における炎症の役割:ポジトロン放射断層撮影法の研究」(原文はここ)
ミクログリアと呼ばれる細胞が身体の炎症に対して活性化するので、活性化されたミクログリアにおいて増加するトランスロケータータンパク質(TSPO)と呼ばれるものを測定することにより、そこに炎症があることが確認できるそうです。
今回の研究での解析では、対照被験者と比較してうつ病の患者におけるTSPOが前帯状皮質で有意に高いことを示されました。この前帯状皮質は気分調節に関与し、うつ病の生物学的起源に関与する脳領域です。前頭前皮質、島では少しの増加を示しましたが有意な上昇ではありませんでした。
TSPOは自殺思考のない患者では上昇しなかったのですが、自殺思考を有する患者では、前帯状皮質で最も増加したのです。つまり、炎症によるミクログリアの活性化が自殺思考の患者で最も顕著であることを示唆しているのです。
そうすると、うつ病の治療、特に自殺思考(念慮)のある方の第1選択の治療法は、消炎鎮痛薬+炎症を起こしにくい食事療法、つまり糖質制限ということになるでしょう。
やはり、炎症が多くの病気のキーワードです。できる限り炎症を起こさない食事を心がけなければなりません。食事をすること自体が体に異物を入れることです。それに対して、体を免疫機能を発動させます。必要以上に体を刺激すると炎症が広がり、様々な問題を起こします。