慢性腎臓病の高齢者でもタンパク質摂取量が多いほど死亡率は低下する

慢性腎臓病(CKD)を患う高齢者がタンパク質摂取量を減らすと、腎機能低下のリスクが軽減される可能性があるといまだに信じられています。恐らくウソです。

今回の研究では、CKDの高齢者のタンパク摂取量と死亡率の関連を調べています。データが食事アンケートなので、質は低いです。14,399人が対象で、そのうちCKDは4,789人で、CKDの平均年齢は78歳、CKDの無い人の平均年齢は70歳でした。CKDのある人のうち49人 (1.0%) がステージ1、726人 (15.2%) がステージ2、3,323人 (69.4%) がステージ3A、691人 (14.4%) がステージ3B でした。CKDのある人の平均総タンパク質摂取量は 1.15g/kg/日でした。総タンパク質の68%が動物性タンパク質からでした。

最大10年間の追跡調査後、1468人が死亡しました。下の図では0.8g/kg/日をタンパク質摂取量の基準値としています。(図は原文より)

上の図は、75歳未満と75歳以上の人で分けた10年間での死亡リスクです。横軸は1日あたりのタンパク質の体重当たりの摂取量です。オレンジは慢性腎臓病の人、青が腎臓病のない人です。

総タンパク質摂取量が多いほど死亡率が低く、特に75歳以上では顕著ですね。特に腎臓病のない人の方がタンパク質摂取量増加で死亡リスクの低下が大きいようです。

上の図は動物性タンパク質(左)と植物性タンパク質(右)の摂取量での10年間での死亡リスクです。75歳未満でははっきりしませんが、75歳以上では動物性タンパク質が摂取量が増加するほど死亡率が低下しています。植物性タンパク質は、75歳未満では摂取量が増加すると死亡リスクは低下していますが、多すぎると有意差がなくなっています。75歳以上では植物性タンパク質摂取量増加に伴いリスク低下が認められます。

上の図はCKDの有無での死亡リスクを示しています。CKDの有無に関わらず、総タンパク質では0.8g/kg/日と比較して、動物性タンパク質では0.6g/kg/日、植物性タンパク質では0.25g/kg/日と比較して、それよりも摂取量が増加すると死亡リスクは低下し、0.20g/kg/日の増加ごとに死亡リスクが一貫して低下しているのがわかります。CKDのない人で、総タンパク質が1.6g/kg/日だとほぼ死亡リスクが半減しています。

上の図は、CKDの有無と75歳未満、75歳以上で分けたときの死亡リスクです。死亡率との関連性は、75歳未満のCKDでは低下傾向はありましたが有意ではなく、75歳未満のCKDなしの動物性タンパク質でも有意ではありませんでした。しかし、75歳以上ではCKDの有無に関わらず、タンパク質摂取量が増加するほど死亡リスクは低下していました。総タンパク質1.6g/kg/日、動物性タンパク質1.2g/kg/日というのは、現在の推奨量よりもはるかに多い量です。

老化は、タンパク質の利用を低下させ、その必要量を増加させます。年をとると食欲は低下し、活動性が低下して安静にしがちな行動、インスリン抵抗性による利用可能な栄養素の不足により、タンパク質合成が減少するでしょう。その一方で、タンパク質の分解、タンパク質の酸化の増加、炎症性疾患などにより、タンパク質の必要性が増加します。筋肉をはじめ身体機能を維持し、健康を維持し、病気から回復するために、高齢者に対するタンパク質摂取量はもっと増やすべきです。軽度または中等度のCKDの高齢者でさえ、タンパク質のメリットがデメリットを上回る可能性があります。

現在の医療で推奨されている食事の反対の食事を食べた方が健康になりそうですね。3食しっかりと、バランスの良い食事、肉より野菜中心の食事、すべてやめましょう。

「Protein Intake and Mortality in Older Adults With Chronic Kidney Disease」

「慢性腎臓病の高齢者におけるタンパク質摂取と死亡率」(原文はここ

One thought on “慢性腎臓病の高齢者でもタンパク質摂取量が多いほど死亡率は低下する

  1. 医師始め、こういう真実に気がついて
    らっしゃる医療関係者や、
    もしかしたら管理栄養士の
    方々も多いのかもしれませんね。
    医療会の「天動説」、常識と言われる
    ものは中々覆りませんね。

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