現在、GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の治療に積極的に使用されています。血糖値も改善し、体重も減少するという、一見非常に有用な薬のように見えますが、これまでもいくつもの記事で示してきたように様々な副作用があります。
今回の研究では、肥満の減量のためではなく、2型糖尿病の治療のためにGLP-1受容体作動薬を使っている人が対象で、GLP-1受容体作動薬のみを処方されている7,746人と、治療対照群として、メトホルミンのみを使用している124,371人、およびインスリンのみを使用している36,146人とを比較しました。
その結果、GLP-1受容体作動薬は様々な副作用のリスク増加が認められました。
まずは、インスリンとの比較です。
12か月未満のGLP-1薬の使用では、急性腎炎1.62倍、甲状腺がん1.61倍、皮膚毛包嚢胞2.03倍の発生リスクの上昇が観察されました。 12か月以上使用したグループでは、急性腎炎リスクはさらに上昇し2.24倍、甲状腺機能障害1.57倍、ニキビ4.29倍の発生リスクも有意に増加しました。
そして特に、インスリン群と比較してGLP-1薬の12か月を超えての長期使用のみ、すい炎2.12倍、白血病6.88倍のリスク増加になりました。
次にメトホルミンとの比較を見てみましょう。
メトホルミンのみ群と比較した場合、12か月未満のGLP-1薬の使用で、すい炎2.01倍、、急性腎炎3.20倍、腎不全3.73倍、甲状腺がん2.25倍、甲状腺機能障害1.27倍、皮膚毛包嚢胞1.50倍の発生リスクの上昇でした。 GLP-1薬の12か月以上使用した場合、すい炎3.48倍、急性腎炎4.11倍、腎不全3.16倍、甲状腺がん3.43倍、甲状腺機能障害1.65倍、ニキビ5.32倍と、ほとんどの副作用リスクが短期間の使用よりも高くなりました。
さらに、インスリン群と比較と同様に、メトホルミン群との比較でも、GLP-1薬の12か月を超えての長期使用のみ、白血病の発症リスクは15.09倍とリスクの大きな増加が確認されました。
メトホルミンはがんを抑制する可能性があるので、GLP-1薬の方ががんのリスク増加が認められても不思議ではないですが、逆にインスリンはがんを促進する可能性があります。そのインスリンよりもGLP-1薬は一部のがんを増加させる可能性があるのです。
この薬は本当に安全なのでしょうか?また、マッチポンプ薬の仲間入りなのでしょうか?
できる限り薬には手を出さない方が良いですね。
「The potential adverse effects of hypodermic glucagon-like peptide -1 receptor agonist on patients with type 2 diabetes: A population-based study」
「2 型糖尿病患者に対する皮下投与グルカゴン様ペプチド 1 受容体作動薬の潜在的な副作用: 集団ベースの研究」(原文はここ)