スタチンの臨床効果はLDLコレステロールや非HDLコレステロールの低下では説明できない

LDLコレステロールも非HDLコレステロール(non-HDL-c)も心血管疾患のリスクを予測する因子だと信じられています。スタチンでLDLコレステロールや非HDLコレステロールが低下すると、本当に心血管疾患リスクが低下するのでしょうか?ウソです。

今回の研究では、20件のランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスです。治療の効果を推定するための臨床エンドポイントに代わる代替指標として、LDLコレステロールや非HDLコレステロールが妥当な物かどうかを分析しています。合計194,686人の参加者が含まれ(1試験あたりの中央値は4,614人)、追跡期間の中央値は4.85年でした。追跡終了時のLDLコレステロールの群間差の中央値は0.99 mmol/L(日本の単位で38.3mg/dL)、非HDLコレステロールでは1.21 mmol/L(46.8mg/dL)でした。ほとんど(15件)の試験ではプラセボが比較対照薬とされ、スタチンは一次予防が8件、二次予防が8件、またはその両方が4件に使用されました。

今回の研究は、決定係数(R²)を使っているので、ちょっとだけ説明します。R²は構築した予測モデルが、目的変数の値の変動をどれくらい説明できているかを示す指標です。値の範囲は0から1までの値(または0%から100%)です。解釈としては、1に近いほど、モデルの当てはまりが良く、説明変数が目的変数の変動をよく説明できていることを意味します。0に近いほど、モデルの当てはまりが悪く、説明変数が目的変数の変動をほとんど説明できていないことを意味します。この研究で言えば、R²は、LDLコレステロールまたは非HDLコレステロールがどれだけ低下したかによって、心血管疾患の結果の違いをどの程度説明できるかを示します。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は、横軸が非HDLコレステロールまたはLDLコレステロールの平均変化量を示し、縦軸は、主要な心血管イベント(MACE)、全死亡率、心血管(CV)死亡率、心筋梗塞(MI)、および脳卒中の対数リスク比(RR)です。非HDLコレステロールまたはLDLコレステロールの減少に対する治療効果と臨床転帰の相対的減少との関連があるようには見えません。関連があるのであれば、右肩下がりのグラフになるはずです。

LDLコレステロール 非HDLコレステロール
結果 傾き(95%信頼区間) R²(95%CI) 傾き(95%信頼区間) R²(95%CI)
MACE −0.12 (−0.31, 0.07) 0.1 (0, 0.5) −0.04 (−0.21, 0.12) 0.02 (0, 0.36)
全死亡率 −0.1 (−0.28, 0.07) 0.08 (0, 0.56) −0.06 (−0.22, 0.1) 0.04 (0, 0.45)
心血管死亡率 −0.02 (−0.29, 0.2) 0 (0, 0.22) −0.05 (−0.25, 0.15) 0.02 (0, 0.23)
心筋梗塞 −0.09 (−0.38, 0.2) 0.03 (0, 0.49) −0.03 (−0.28, 0.22) 0.0 (0, 0.44)
脳卒中 −0.12 (−0.44, 0.19) 0.04 (0, 0.39) −0.01 (−0.29, 0.27) 0.0 (0, 0.34)

先ほど説明したR²を見てみましょう。最大でも0.1です。ほとんどすべてが0に近い値です。実際には、95%CIの下限が ≥ 0.65 の場合に、試験レベルの代替指標が達成されると一般的に認められているそうです。今回の分析では95%CIの下限はゼロです。

つまり、ほとんどまたは全く非HDLコレステロールもLDLコレステロールも、どちらもスタチンの試験における臨床結果の代替として使用できるものではないことを示しています。スタチンの投与によってスタチンが効果を示し、LDLコレステロールは低下するかもしれませんが、その低下が心血管イベントリスクの低下を意味するものでは全くないということです。スタチンでLDLコレステロールおよび非HDLコレステロールが低下した。めでたしめでたし、ではないということです。

LDLコレステロールや非HDLコレステロールが低下したら、健康になれるわけではありません。本当の効果を説明できない検査値で医師は納得しているのです。LDLコレステロールが下がったのに、心血管疾患を発症すれば、それは患者の体が問題だと考えるでしょう。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限で代謝異常を改善しましょう。

「Trial-level surrogacy of non-high-density and low-density lipoprotein cholesterol reduction on the clinical efficacy of statins」

「非HDLおよびLDLコレステロール低下のスタチンの臨床効果に対する試験レベルの代替効果」(原文はここ

One thought on “スタチンの臨床効果はLDLコレステロールや非HDLコレステロールの低下では説明できない

  1. 「スタチン」って知れば知るほど
    「夢の薬」ですね、
    処方する側には夢のような利益、
    される側にも健康になる夢を
    見させてくれる意味で。
    実際には
    夢の(理想の)健康を
    もたらしてくれるのは
    「糖質制限」だと思います。

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