「超」加工食品はがんのリスクを高める

世の中は本当に便利になりました。狩猟採集生活では、食材を集めるために歩き回ったり、獲物を捕らえるために走り回ったり、危険な目に会うことすらありました。

しかし、今では日本のほとんどの地域、特に都会ではスーパーやコンビニ、レストランなどに行けば、もうすでに「獲物」は捕らえてあるばかりでなく、料理まで済んだ状態で手に入ります。

ただ、簡単に食事が手に入ることの恩恵と共に、その裏にあるリスクも同時に背負うことになってしまっています。しかし、そのリスクは目に見えないので、あまり真剣に考える人は多くはないかもしれません。

自然のものを自然のままに食べることが最も人間にとって望ましい形だと思います。しかし、世の中に溢れている食事は自然とは程遠い別の食べ物になってしまっています。「食材」とは呼べないものを混ぜ込んであるのが今の食事です。それによって腐りにくくなり保存期間が延びたり、見た目を良くしたり、風味を良く感じたり、おいしさや刺激的な味を感じたりしますが、体には負担をかける可能性があります。

最も私たちが警告しているのは、「糖質」です。砂糖のいっぱい入った食事、お菓子などは美味しく感じますが、それによって様々な病気が劇的に増えてしまっています。

糖質を加える以外でも、様々な加工が行われています。

加工食品の分類で、NOVA分類というものがあります。グループ1~4まで分類していて、グループ1は加工していなかったり最小限の加工しかしていないものです。通常の野菜や肉、卵、果実、種、藻類などがこれに当てはまります。また、最小限の加工とは、食べられない部分や不要な部分の除去、乾燥、粉砕、ろ過、焙煎、煮沸、低温殺菌、冷凍、凍結、容器に入れる、真空包装などであり、元の食物に塩、砂糖、油脂などの物質を追加しないものをいいます。

グループ4の超加工食品とは、5つ以上の、通常は多くの成分を含む工業的な配合物です。このような成分には、例えば砂糖、油脂、塩、酸化防止剤、安定剤および防腐剤などが使用されている加工食品が含まれることが多く、超加工食品のみに含まれる成分には、調理用食品には一般的には使用されていない物質、グループ1の食品または調理用食品の感覚的性質を真似る目的の添加物、または最終製品の望ましくない感覚的性質を隠すための添加物が含まれています。グループ4のみに含まれるものとして、カゼイン、ラクトース、ホエー、グルテンなどの食品から直接抽出されたものや、水素化またはエステル交換されたタンパク質、加水分解されたタンパク質、大豆タンパク質単離物、マルトデキストリン、転化糖および高フルクトースコーンシロップなどが挙げられます。さらに添加剤として、染料および着色剤、色安定剤、香味料、非糖甘味料、脱泡剤、乳化剤などが挙げられます。

実際の典型的な超加工食品としては、炭酸飲料、甘くて風味の良いパッケージスナック、アイスクリーム、チョコレート、キャンデー(菓子)、大量生産され包装されたパン、マーガリン、クッキー(ビスケット)、ケーキ、朝食用のシリアル、エネルギーバー、エネルギードリンク、ミルク飲料、「フルーツ」ヨーグルト、「フルーツ」飲料、ココア飲料、、乳児用調合乳、他のベビー用品、あらかじめ調理され加熱するだけで食べられるパスタやピザなど、ソーセージ、ハンバーガー、ホットドッグ、「インスタント」スープ、カップヌードルなどです。ほとんど多くの人が毎日口にしているようなものです。

これらの超加工食品を食べる量が多くなると、がんのリスクが増加するという研究が発表されました。

「Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort」

「超加工食品の摂取とがんのリスク:NutriNet-Santéの前向きコホートの結果」(原文はここ

要約

目的 超加工食品の摂取とがんリスクとの関連を予測する。

設定と参加者 フランスのNutriNet-Santéコホート(2009-17)から18歳以上(年齢中央値42.8歳)の104,980名。食事摂取量は、繰り返し24時間の食事記録を用いて集められ、参加者の通常の消費量を3300の異なる食品に登録するように設計されている。これらは、NOVA分類による加工の程度に応じて分類された。

結果 超加工食品の摂取量は、全体的ながんリスクが高かった。食事中の超加工食品の割合が10%増加すると全体的ながんのリスクが12%、乳がんのリスクが11%高かった。

結論 この大規模な前向き研究では、食事中の超加工食品の割合が10%増加すると、全体的ながんおよび乳がんのリスクが10%以上高くなっていた。

 

欧米などでは超加工食品の割合がエネルギー摂取量の25~50%にまでなっているそうです。もしかしたら半分以上超加工食品の人もいるかもしれません。超加工食品が10%増加するとがんのリスクが10%以上高くなります。50%超加工食品を摂取するのではがんのリスクも50%以上高くなるということになります。

コンビニ弁当やカップラーメン、ファストフード、ジュースなどジャンクフードばかり口にしている現代の人を見ていると非常に心配になります。特に子供や若い人たちは意識して加工食品を食べないようにしたり、親がちゃんとした料理を作ってあげないと、将来後悔するかもしれません。

パッケージの裏の成分表示を確認するようにしましょう。そして、できる限り自然の成分だけでできているものを選び、添加物等が少ないものを選択した方が良いと思います。

食材から料理をすることを基本としていなければ、病気になるのは当たり前なのかもしれません。便利さを優先させるか、健康を優先させるかですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です