以前の記事「簡単に言えば、脂肪は「善」、糖質(炭水化物)は「悪」」で示したPURE試験で述べられたように、炭水化物(糖質)をたくさん食べるほど死亡率は上昇し、脂質をたくさん食べるほど死亡率は低下します。また、糖質の過剰摂取ががんと関連していると考えられています。
がんとしては比較的数の少ない頭頚部のがんですが、その頭頚部がんの死亡率や再発率は有意に糖質の摂取量の高さと関連し、およそ2~3倍になり、脂質の摂取量は逆に死亡率の低下や再発の大きな低下と関連しているという研究が発表されました。
やはり、「糖質はがんのエサ」ですね。
「Higher carbohydrate intake is associated with increased risk of all-cause and disease-specific mortality in head and neck cancer patients: Results from a prospective cohort study」
「高炭水化物摂取量は頭頸部癌患者における全原因および疾患特異的死亡率の増加したリスクと関連している:前向きコホート研究の結果」(原文はここ)
要約
炭水化物摂取と頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)予後との関連性を評価した研究はない。我々は、新たに診断されたHNSCC患者414人において、治療前後の炭水化物摂取量と再発率、全原因死亡率、およびHNSCC特異的死亡率との関連を前向きに検討した。すべての対象者は、治療前および治療後の食物頻度アンケート(FFQ)および疫学調査を完了した。再発および死亡事象は毎年収集された。
多変量コックス比例ハザードモデルは、関連する共変量を調整して、炭水化物摂取量(低摂取、中摂取および高摂取に分類)と再発の時期や死亡の間の関連性を調べた。
研究の期間中、70人の死亡および72人の再発があった。治療前の分析では、全炭水化物の高摂取量(HR:2.29)、全ての糖(HR:3.03)、グリセミックロード(HR:2.10)および単純炭水化物(HR:2.26)は、炭水化物の低摂取と比較して全原因死亡のリスクが有意に増加していた。炭水化物の高摂取(HR:2.45)および全ての糖(HR:3.03)はHNSCC特異的死亡リスクの増加と関連していた。 治療後の分析では、中程度の脂肪摂取量は再発リスク(HR:0.08)および全原因死亡率(HR:0.27)の低下と有意に関連していた。
治療の前の分析で腫瘍部位および癌のステージによる層別化は、これらの要因による効果の改変を示唆した。我々のデータは、治療前の高い炭水化物摂取がHNSCC患者の有害な予後と関連している可能性があることを示唆している。この仮説をさらに検討するための臨床的介入試験が正当である。